2025年1月、アメリカ・ラスベガスで開催されたCES2025に登壇した豊田章男会長が、2025年秋から実証が開始されるウーブン・シティに込めた想いを語った。「未来への責任」を負い、「モビリティの未来」を信じるリーダーの言葉とは!?
※本稿は2025年1月のものです
文:ベストカー編集部/写真:トヨタ、ベストカー編集部 ほか
出:『ベストカー』2025年2月26日号
【画像ギャラリー】想像してみてほしい……「もし自分がこの街で暮らしたなら」と!! ワクワクがとまらないトヨタ ウーブン・シティ(14枚)
豊田章男会長がCESでふたたび「ウーブン・シティ」を語る
CES2025でウーブン・シティへの熱い想いを語った豊田章男会長
2020年のCESで構想を発表して5年、ウーブン・シティのフェーズ1の建築が完了した。そのタイミングでCES2025のプレスカンファレンスに登壇した豊田章男会長は5年前と同じネクタイを締め、多くのカメラに撮影され、テイラー・スウィフトになった気分だと笑わせたあとスピーチが始まった。
豊田章男会長はたくさんのことを語った。15分あまりのスピーチはユーモアを交えながらも、心のこもったものだった。そのなかから、いくつかウーブン・シティの骨格となるポイントをピックアップしたい。
●ウーブン・シティのフェーズ1が竣工し、2025年秋から住民が住み始め、徐々にリアルな実証の場として発展させ、最終的には約2000名が住む予定であること
●ウーブン・シティでは、4つの領域の研究とイノベーション、つまりヒト、モノ、情報、そしてエネルギーのモビリティに注力し、ここを「モビリティのテストコース」とし、社会が抱える課題の解決策を開発していくことがミッションとなる
●インベンター(発明家)と呼ばれる人たちも開発に加わること。
●メディアを含め多くの人が自動運転に注目するが、自動運転は人工知能(AI)を含め、ウーブン・シティで開発予定の数多くのテクノロジーのひとつであり、もっと多くの技術が実証されていく
●ウーブン・シティはトヨタ自動車本体ではなく、ウーブン・バイ・トヨタのメンバーが中心に作っていくこと。多様性が彼らの強みだ
●ウーブン・シティに住む人たちは「Weavers(ウィーバーズ)」と呼ばれ、クルマのテストドライバーと同様にインベンターが開発した新しいプロダクトやサービスを体験し、意見や感想を述べ、未来をともに紡いでいく役割が期待される
●2025年夏から、経済的支援が必要なスタートアップや個人を募り、ウーブン・シティでアイデアを実現するための資金を提供する
などが語られた。
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豊田喜一郎から脈々と受け継がれる使命感
フェーズ1の建物は延べ42万4000人、工事日数620日、労働時間340万時間をかけて完成した
時間を4年ほど戻したい。2021年2月ウーブン・シティの地鎮祭が行われた後、豊田章男会長(当時は社長)はこんなことを語っている。
「これまでの私の人生を振り返ると、『あなたにはできない』『お手並み拝見』『失敗すればいいのに』『誰も応援しないからどうぞ』……etc。そう言われ続け、常に『孤独』の中で生きてきた、そんな気がしています。
だからこそ『誰かのため』『未来のため』に動きたいという想いが、自分の中で強くなったと思っています。
リーマンショックで赤字に転落し、東日本大震災が発生しました。さらに『100年に一度の大変革の時代』と呼ばれるほど、ビジネスを取り巻く環境も激変いたしました。
しかし、多くの困難に直面する中で、常に『孤独』を感じていた私の周りには、共に闘おうとする仲間が少しずつ増えてまいりました。
そんな仲間とともに、どんな形で、未来へのたすきを渡すべきか、悩み苦しんだ結果、たどり着いた結論は『ヒト中心』で、未来のための『実証実験』ができるプラットフォームをつくるということでした。
そして、そのプラットフォームに『今よりももっといいやり方がある』というトヨタのカイゼン手法を根付かせたいと考え、『未完成の街』とすることにしました。これがウーブン・シティの原点です」
その考えが4年たった今、いささかもブレていないことに驚かされる。なぜか? 豊田章男会長の想いにたくさんの人たちが共感したからに違いない。
答えが見つからない時代だからこそ、まずやってみる。やりながら改善していくことで、共感が生まれ、思いもしないイノベーションが生まれることがある。
モビリティもそうに違いない。広く大きな意味でのモビリティの可能性を一緒に考え、社会課題が解決できるようにしたい。「自分以外の誰かのために」という想いが豊田章男会長にあるからこそ、ウーブン・シティという途方もないプロジェクトが動き始めようとしているのだ。
今回のスピーチでも豊田章男会長はこう語っている。
「さて、皆さんは『ウーブン・シティはトヨタに収益をもたらすのか』と考えているかもしれません。おそらく、そうはならないかもしれません。しかし、それで構いません。
グローバル企業市民として、私たちの未来に投資し、トヨタが培ってきた知見や技術を他の人たちと共有し、地球と人々に幸せをもたらす新しいアイデアを支援する責任があると考えています。
新しいアイデアで人々を幸せにする、それがウーブン・シティをつくった理由です」
自動車からモビリティへの変革を恐れることなく、先手を打ち続けていく豊田章男会長には、「未来のために日本に自動車産業を興す」という挑戦を自らに課した、祖父の豊田喜一郎氏から受け継がれる強い使命感があるのだと改めて感じさせられたスピーチだった。
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ウーブン・シティを運営する「ウーブン・バイ・トヨタ」
ウーブン・バイ・トヨタは、北海道に本社をおきロケット開発を手がけるインターステラテクノロジズ株式会社に70億円を出資。トヨタのモノづくりの知見を活かしたロケット量産化のサポートも行う
ウーブン・シティを運営するのは、トヨタ自動車ではない。ウーブン・バイ・トヨタというトヨタ自動車が100%出資する別会社だ。
ウーブン・シティのほかに車両ソフトウェアプラットフォームのアリーンOSの開発や、AD/ADASといった自動運転や先進運転システムの開発、ベンチャーファンド、ウーブン・キャピタルの4つの事業からなる。
日本、アメリカ、イギリスに6つの拠点を持ち、66カ国2200人の多様な人材が働くグローバル企業だ。
トヨタ自動車からは生まれてこない自由な発想でモビリティの拡張によって人間の可能性が拡がる世界を創造することを目指している。2024年に18社目のトヨタグループになっている。
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投稿 [社会問題]解決に向けたトヨタの取り組みが壮大な件 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。
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みんなのコメント
宗教団体でも参考にしてるんだろ
騙して囲い込むことしか考えてなさそう😅