■「スポーティ」はそのままに「上質さ」をプラス
近年ではクロスオーバーSUVが人気のボディタイプとなっている一方で、セダン需要は低迷しています。そのため、新車で販売されるセダンは徐々に少なくなっています。
そんななか、スバルはスポーツセダン「WRX S4」を販売しています。どのような点が魅力なのでしょうか。
【画像】まさかの鮮烈オレンジがカッコよすぎ! スバル唯一のセダン「WRX S4」を画像で見る(40枚)
WRXは2014年に登場しました。
世界ラリー選手権(WRC)などでも活躍したスポーツセダン「インプレッサ」の系譜を受け継ぎ、歴代WRXモデルの高いパフォーマンスに加え、上質さや快適性能をプラスした新たなセダンとしてデビューしました。
また、ハイパフォーマンスモデル「インプレッサWRX STI」に準じた「WRX STI」も設定され、上質な「S4」とスポーツ向け「STI」の二本立てで展開。
現行モデルは2021年11月に登場した2代目で、WRXシリーズでは通算5世代目となりました。
スバルのセダンは、フラッグシップの「レガシィB4」が2020年、スタンダードな「インプレッサG4」が2022年にそれぞれ生産を終了しており、WRX S4は唯一のセダンです。
そんな現行WRXですが、7年ぶりの全面刷新で動力性能を高めています。
従来の2リッターから2.4リッターへと排気量をアップした水平対向4気筒直噴ターボエンジンは、最大出力275馬力・最大トルク375Nmを発揮。低速域から力強いトルクを発生させ、高回転域でもトルクが落ち込まない特性としました。
これに組み合わされるトランスミッションはCVTですが、従来の「スポーツリニアトロニック」ではなく、新開発の「スバルパフォーマンストランスミッション」を採用。8速マニュアルモードによってトルコンATのようなリニアで自然な変速を実現しています。
さらに、電子制御AWDシステム「VTD-AWD」も合わせ、歴代WRXシリーズから踏襲されてきた高い走行性能を実現しています。
また、先進運転支援システムも大幅に刷新されました。
スバル車に継続採用されている「アイサイト」は広角化したステレオカメラや性能向上した認識・制御ソフトにより、ブレーキアシスト性能を強化。さまざまなシチュエーションにも対応できるようになっています。
さらに「EX」系グレードでは2代目「レヴォーグ」から搭載された高度な「アイサイトX」を採用。
高速道路走行中にステアリングを制御して車線変更する「アクティブレーンチェンジアシスト」や、アダプティブクルーズコントロールを作動させたまま料金所を通過できる「料金所前速度制御」、「渋滞時ハンズオフアシスト」「渋滞時発進アシスト」など、自動車専用道路を走行中にさまざまなアシストを利用することができます。
また、ハイパフォーマンスモデル「STI Sport R」も設定していることも特徴です。
パワートレインやステアリング、ZF製電制ダンパーに加え、アイサイトやエアコンまでを統合して制御する「ドライブモードセレクト」を搭載しています。
これにより、各項目を快適寄りセッティングからスポーティなセッティングまでを選択でき、アグレッシブな走りからゆったりとした乗り味までをカバーしています。
さらに、STI Sport Rではスポーツマインドあふれるボルドー/ブラックのカラーを採用したレカロ製シートをオプション設定し、所有欲も高めてくれます。
これまでのWRXシリーズよりもグッと上質志向へと変化しましたが、価格についても400万4000円から482万9000円と、スバル車のなかではバッテリーEV「ソルテラ」に次ぐ高価格車に位置しています。
それでも2021年11月の予約開始から2023年2月までに約4500台を受注し、最上級の「STI Sport R EX」が7割以上を占めるなど、上級モデルを求めるユーザーが多いようです。
購入者層も50代がもっとも多く32.4%、次いで60代の24.3%と、子育てを終えた年代のユーザーがミニバンなどのファミリーカーを卒業し、趣味のクルマとして購入していることがうかがえます。
大幅に減少したセダンのなかでも、スポーツセダンとして走行性能面を強調している点ではニッチなクルマとも言えますが、こうした魅力を求めているユーザーが一定数おり、今後も貴重なクルマとして支持されることでしょう。
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