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“極上”という言葉がこれほど似合うクルマはない──新型ロールス・ロイス ファントム・シリーズII試乗記

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“極上”という言葉がこれほど似合うクルマはない──新型ロールス・ロイス ファントム・シリーズII試乗記

ビッグマイナーチェンジを受けたロールス・ロイスの「ファントム・シリーズII」に小川フミオが乗った。超豪華リムジンの世界とは?

シリーズIIの特徴

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もし幸運にも、最高のリムジンを選べる立場にあるひとがこれを読んでいたら、ロールス・ロイスのファントム・シリーズIIにまず乗ってみることを勧めたい。

2022年10月に発表されたファントム・シリーズIIは、従来の8代目ファントムをベースに、新機能「ロールス・ロイス・コネクテッド」搭載とともに、内外装に手が入れられた。

ユニークなのは、「“すでに象徴的な自動車であるファントムには大きな変更を加えないようにしてほしい”という(中略)お客様のご要望を指針としました」(プレスリリースより引用)という点。

5770mmの全長に、1646mmの全高の堂々たるシルエットをもつボディは基本的にそのまま。コーチ(馬車)ドアとも呼ばれる観音開きのドアを開けて乗りこむ贅沢な世界は引き継がれている。

ドライブトレインも同様。420kWの最高出力と900Nmの最大トルクを発生する6750ccV型12気筒エンジンに、後輪駆動システムの組合せも、ファントムを知るひとにはおなじみのものだ。

もちろん、シリーズIIと呼ばれるだけあって、新型には、キラキラするような特徴がいろいろ盛り込まれた。

ロールス・ロイス車のシンボルといえる「パンテオングリル」が代表的なもの。上部にポリッシュ仕上げの水平の部分を新設し、ヘッドランプのデイタイムランニングライトとラインを合わせている。

同時に、ヘッドランプには、580個の“星(LED)”をレーザーカットで施した「ベゼル・スターライト」採用。「シューティングスター・ヘッドライナー」と呼ばれるプラネタリウムのような室内天井の装飾とイメージが合致しているのも手が込んでいる点だ。

極上の乗り心地今回5月はじめに乗ったのは、ホイールベース3552mmの標準モデル。このうえに3770mmのエクステンデッドボディが用意されている。と、いっても、標準でも後席の快適性は特筆に値する。

コーチドアのおかげで乗り込みやすいうえに、フロアにはふかふかに厚いウールベースのクッションが敷かれている。おもてなし感覚は見事! なんでも裸足を載せると気持ちいいんだとか。

自分のクルマならそういう楽しみかたもアリ。裸足で乗るなんて、中途半端なラグジュアリーセダンだと思いつかないかもしれない。いや、やる気にならないだろう。

エアスプリングと連続可変ダンパーを使ったサスペンションシステムと、2690mmの重量級のバネ上荷重でもって、乗り心地のよさもすばらしい。

とくに感心したのは、道路の段差ごえなどのとき。まるでそこに突起がなかったかのように、乗り越えていってしまう。

しかも900Nmの大きなトルクの出かたが微妙に調整されていて、多少粗い運転でも、後席乗員の頭部が前後に動くような不快さが、やわらげられている。

後席ドアは内側から開けようとすると、けっこう力を要すること。好意的に解釈すると、うっかり開けて後続のクルマやバイクとの接触を防ぐ予防安全のためだろうか。

もうひとつの解釈は、自分で開ける必要はない、というもの。外側からドアが開けられ、もし雨が降っていれば、ボディに内蔵された専用の傘が取り出され、頭上に差し掛けられる。

今回の試乗車は、ブラックの外板色で、ドアを開けると「シヴァログレー」なる空色の世界が拡がる。やさしい青空のような色だ。

傘もやっぱり色を合わせてある。雨が降っていて、ちょっと気が向かない会合に行かなくてはならない……なんてときでも、すこし気が晴れそうな組合せだ。

“送りハンドル”が似合う一説によると、標準ボディは、オーナーが自分で運転してもいいらしい。まぁ、ロールス・ロイスのドライブを楽しみたいなら「ゴースト」や今後発売されるピュアEVの「スペクター」があるので、よっぽど奇特なひとかもしれないが。

運転自体はなかなか興趣に富んでいる。いまどきのクルマで、腕の位置を固定してステアリングホイールを操舵する“送りハンドル”が似合うのは、ファントムぐらいだろう。

すっすっすっと手の動きで操舵すると、車体のロールはいっさいなく、乗員はまるで空飛ぶじゅうたんにでも乗ったかのように、ふわりふわりと快適な乗り心地を味わっていられる。

ほとんどアクセルペダルを踏まなくても強大なトルクが、車体を押しだす加速感は、けっこうクセになる。これはやっぱり内燃機関ならではの感覚だろう。ピュアEVとは異なる味だ。

上記のように操舵感覚は独特なので、ドライブしているうちに、加速とハンドリングとの、バランスのとれたポイントがみつかる。あとは気楽に、静かな世界での移動を楽しめばよい。

ファントム・シリーズIIは後ろに座っても、運転しても、まさに異次元。その特異な世界観は、やはりロールス・ロイスだからこそ作りあげられるのだろう。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)

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みんなのコメント

5件
  • 海原雄山が持ってるファンタムⅥ は乗ってみたいな
    後ろはもちろん運転も
  • 朝鮮労働党総書記の重責を担う私もロールスロイスファントムの前期型を所有させていただいております。ファントムは単なるショーファードリブンでは無く、人間が作り上げた一つの芸術品であると感じております。所有する喜びや満足感といったものを満たす事ができるのです。ロールスロイスの伝統的デザインや細部の造形美、手の込んだ仕上げなどは、これぞロールスロイスと言えるでしょう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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