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今年は「昔ながらのキャラクターが戻ってきた」と思えるクルマも?JAIA 2018 試乗会に参加して思うこと

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今年は「昔ながらのキャラクターが戻ってきた」と思えるクルマも?JAIA 2018 試乗会に参加して思うこと

毎年2月に開催される、JAIA(日本自動車輸入組合)主催の試乗会。今年も2月6日~8日の三日間、大磯プリンスホテルを拠点に開催されました。初日と二日目はメディア向け、三日目はライター/ジャーナリスト向けというスケジュールです。

メディア向けというのは試乗もさることながら、写真撮影もしなくてはなりません。そのため、一コマの枠が長いのです。とは言え、個人の日程で参加している人も乗ったクルマの写真くらいはほとんどの方が撮るわけでして。なかなかせわしい、しかし、最新の輸入車の試乗ができるわけですので、そういいつつも楽しい、夢のような三日間です。

クルマの神様はきっといる、きっといるのだ@車悦

夢のように楽しいから、というわけでもないのですが、私は毎年この試乗会に参加させていただいています。

普段から広報車をお借りして乗せていただく場合もあります。しかし「試乗会」で並んでいるクルマに乗るというのはまた少し違った意味もあるように感じるのです。一つは、圧倒的に効率的にさまざまなモデルに触れる効果があります。そして、こういう機会でもないとなかなか乗る理由のないようなモデルに乗ることができるという点は、この試乗会の大きな意味だと思っています。

大体何かの理由、事情があって拝借するのは広報車です。ライターやジャーナリストが、自分の足代わりにしていいですよ、と用意されているクルマではないので、一向に乗る機会の巡ってこないようなクルマも少なくありません。また「え?このモデルまだあったのね。」というクルマや「いつの間に、こんなグレードを!」というような、ピンポイントでメッセージを感じるクルマに出会えることもあるのがこの試乗会だと思っています。広報担当の方に直接いろいろと教えていただけるケースもありますし、いろいろな意味で筆者くらいのキャリアのライターにとっては、単にさまざまなクルマ乗れることで経験させていただける部分もあってとてもありがたい機会、というのが正直なところです。

とはいえ、すべてのクルマに乗れるわけではなく、人気のモデルなどは希望通り乗れるとは限りません。そのため、限られた機会、どれに乗るかもいろいろ考えたりします。前にあのクルマは乗ったから、派生車種のこれを先に乗っておこうか?とか、トランスミッションの印象を知りたいからこのクルマに乗ってみるか。このような理由付けがそれなりに合ったりします。もちろん、開いていたから乗るというものもあります。しかしそれはそれで、思いがけずいい発見や、何かトレンドのようなものを拾うことができたりする場合も多く、これもこれで勉強になります。

そんな意味でいうと、今年のJAIAで感じた事の一つに「昔ながらのキャラクターが戻ってきた」と思えるクルマが数台ありました。最近のクルマは味がない!などという声も時々耳にします。数年前には(こういうとアレですが)全体的に軽く、どこのくるまも似てきたかな、と思った年もありましたし、そのあとは、これ見よがしの高級感を追いかけすぎて、アシはふわふわだけど、大きなホイールの弊害が出ちゃってるのではないかな?と思ったこともありました。そんな中でいうと、今年は、昔から「○○と言えば」というキャラクターづくりがなされているクルマも少なくないという印象だったのです。

たとえば、メルセデス・ベンツS560 4MATICは「Sクラスと言えば560だろ」という雰囲気もあった「あの頃」のモデル、しかもその4MATICを彷彿とする乗り味じゃないか!と感じたものです。

基本的にはフラットながら、芯がある、というと悪く聞こえるかもしれませんが、そうではなくて、アルデンテと言いましょうか。シャキッとして重厚さがある上に、前輪が地面を捉える路面のグリップも常に意識させてくれる乗り味がしました。W124の4MATICに乗っていた筆者、とても通じるものを感じ「帰ってきたな」と感じてしまったものです。

正直ここ数年のメルセデスは新奇に過ぎたのではないか。今から思うと、そう感じていた面がありました。それに対して、ここにきて、多少あの頃のメルセデスに回帰しようとしているのではないか。そんな片鱗を見たような気がするのでした。

また、話題のモデルトゥインゴGT、あれなども、トゥインゴの際立つ個性は、正直ベーシックなモデルより希薄化と思った面はあります。そしてルノーのハイスペックモデルにありがちな独特のソフトな感じも希薄です。それなりに固さも感じました。けれどもそれは不快なのではなく、一般的なホットなモデルとしてのわかりやすさを有していると感じさせるものでした。そして、印象的だったのは、当初の限定版では設定がなく、カタログモデルになって追加されたEDC(AT限定免許で運転できる2ペダルモデル)の挙動が、それこそ「AL4の流儀」を感じさせてくれたことでした。段数も多いですし、変速スケジュール自体はかなりモダン。

一旦70km/hまで加速させないとトップに入らない、というような頑固さはありませんが、今、私が乗っている初代ラグナくらいの1200kgオーバーの車両とのマッチングで見せる、あの角のない優しい変速マナーがあるように感じてうれしくなりました。ちなみに、トランスミッションではなく、クルマの成り立ちにあの頃のフランス車の片鱗はプジョー5008でも感じさせてくれました。一見奇抜でしたが、フロントに荷重をあつめてすっとハンドルを切ったりすると「ああ、プジョーだわ。ムフフ」とかなってしまうのです。これも、なんだかとてもうれしくなってしまったのです。

こうしたことは、各社がそれぞれの歩んできた道を振り返り、先達の仕事に対するある種のオマージュなのではないか。そしてそれが表現できるだけの技術的材料がそろったということなのではないか。そんな風に感じます。そしてこれが大事なことですが、単なる解雇主義ではなく、「ステアリングを実際に体験した人だけがわかる価値」という技術的表現としての各社のキャラクターである、ということです。バーチャルな体験が可能だからこそ、実体験には固有の価値があって、それを体験した人どうしの共感が価値を帯びる今の時代らしさのようなものもむしろ感じたのでした。

そんなに希薄でもないですし、そんなに安直でもない。2018年の輸入車に乗って、そんなことを感じた、今年のJAIA試乗会でした。

[ライター・画像/中込健太郎]

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