ホンダの新型「N-BOX」が3代目に進化する。ひと足はやくプロトタイプを見た今尾直樹がレポートする。
いま、モデルチェンジの理由
新型トヨタ・ランドクルーザー250のメカニズムを徹底解説──快適性を大幅に高めた本格オフローダーに迫る!
普通車を含む新車販売台数2年連続第1位、8年連続軽自動車販売台数第1位に輝くホンダの歴史的ベスト・セラー、N-BOXが6年ぶりに全面改良を受けた。発売は2023年秋。ホンダはそれに先駆け、自社ホームページで3代目となる新型のスタイリングを8月3日に公開、あわせて先行予約の受付を開始した。
N-BOXは2011年発売の初代からずーっと売れっ子ゆえ、今回のモデルチェンジでもキープ・コンセプトを徹底している。振り返ってみると初代N-BOXは地方の30代の女性をターゲットにして大ヒット。2017年に登場した2代目はターゲットを家族に広げて大ヒットしている。
N-BOXの魅力は軽自動車でありながら、普通車のミニバン並みの機能と性能を持っていることにある。とりわけ現行の2代目では動的性能をさらに高めるべく、プラットフォームとパワーユニットを一新。
初代同様、燃料タンクを前席の下に設ける、ホンダ独自の「センター・タンク・レイアウト」の採用により、軽スーパーハイトワゴンのなかでも居住空間はトップクラス、ボディ剛性が高くて乗り心地も良好で、おまけに静粛性も高い。乗ると欠点を見出すのがむずかしい総合力の高さを持っている。
唯一欠点があるとしたら、ま、軽であること。だけれど、それが長所でもある。実際、メインターゲット以外にも、20代独身女性から50代の子離れ男性、60代のシニア男性まで幅広いユーザーに支持されているという。その総合力の高さを、3代目ではさらに高い次元へと進化させることが狙いだとされる。
それにしても……、なぜいまモデルチェンジなのか? その目的は? 初代が6年でモデルチェンジしたから。としか筆者には思えない。というのも、2代目N-BOXは6年目を迎えた2023年上半期も11万2248台(全国軽自動車協会連合会調べ)を販売し、普通車、業界用語だと「登録車」を含む新車販売台数第1位を獲得、衰え知らずの人気を誇っているからだ。N-BOXは軽自動車市場の半数弱を占めるスーパーハイトワゴンのなかで、30%超という高いシェアを誇ってもいるである。このまま黙って2代目をつくり続けたほうが賢いのではないか。
“ハッピー・リズム・ボックス”の意味その点を3代目N-BOXの開発責任者の諫山博之に都内某所で開かれた事前説明会で確認したところ、「トレンドがちょっと変わってきている」という答だった。
安全運転支援のホンダ・センシングのさらなる充実と、軽としては初となる車載通信モジュールのホンダ・コネクトの搭載が大きな目玉らしい。そして筆者はいま、ようやく気づいた。新型N-BOXのグランド・コンセプト「HAPPY Rhythm BOX」の意味を。「わたしも、家族も、日本も、ハッピーになれる『幸せな生活リズム』をつくる」という惹句は、機能をそのままあらわしているのだ。
つまり、開発陣が目指したのは文字通り「ハッピー・リズム・ボックス」なのである。おそらく。コネクテッドにより、クルマをジュークボックス化、という表現はレコードの枚数が限られるから適切ではないですね。「アップルミュージック」とか「スポティファイ」とか「YouTube」とか、インターネットのストリーミングサービスを通じて、いつでも好きな曲を好きなだけ聴くことができる、そういうハッピーなリズムボックスをつくろうと考えた、ということではあるまいか。
事前説明会では、初代N-BOXのターゲットの30代女性が「私」だとすると、2代目ではそれを「大切な家族」に拡張、3代目ではもっと広く「大切なみんな」にまでその対象を広げた、と、説明する。「大切なみんな」って、なんだろう? という筆者の謎もこれで解けた。「大切なみんな」とは、N-BOXオーナーであるあなたがホンダコネクトでつながろうとする「みんな」のことを指しているのだ。おそらく。
このあたりについて事前説明会では、コネクテッドを軽で初採用、ということのみがサラリと紹介されただけだけれど、でも、コネクテッドというのはそういうものである。
あとはお値段次第ホンダ・センシングという安全運転支援の充実についても、事前説明会ではサラリと語られたのみである。
ところが、「トレンドが変わったというのはホンダ・センシングとかのことですか?」としつこく前出の責任者に問うと、こんな意味のことがかえってきた。
「ホンダ・センシングとコネクテッドといった電装関係の大掛かりな変更があるので、モデルチェンジしたほうがやりやすかった、ということです」
これらの機器をポンと後付けすればよい、というものではなくて、あれこれ、ややこしいらしい。ともあれ、3代目ホンダN-BOXがどんなハッピーなリズムを披露してくれるのか、それはあなたの選曲次第ということにもなる。
なお、プラットフォームとパワートレインは2代目を継承しており、マイルドハイブリッドを含む電動化は、今回は見送られている。その分、とりわけ内装のデザインには意が払われている。
ホンダの調査によると、若年層は車内空間に「自分だけのプライベート空間」だとか「自宅にいるような空間」を求めているそうで、N-BOX、N-BOXカスタムもそのような需要に応えるべく、よく考えてつくられている。事前説明会に持ち込まれた4台の実車はどれも軽自動車とは思えぬほど高い質感を備えていることが印象的だった。
ちなみにホンダは昨年公表した「2030年ビジョン」という中・長期戦略のなかで、量ではなく、「質の追求による成長」を目指すことを宣言している。
全長3.4m以下×全幅1.48m以下×全高2.0m以下という制限のある枠のなかで、たとえば、後席のショルダールームは2代目比、55mm拡大しているという。これはリヤのサイド上部の内側のハーネスの通し方を、あーだ、こーだ、吟味することで実現したという。AI(人工知能)は教えてくれなかったのですか? と、筆者が訊くと、「そういう時代になったらいいですねぇ」と、笑った。それくらい知恵を絞り合った、ということだ。
N-BOXを追いかけるライバルは元祖スーパーハイトワゴンのダイハツ「タント」である。タントの本年上半期の販売台数8万85台(全国軽自動車協会連合会調べ)で、軽自動車の販売ランキングの2位につけている。注目は前年同期比だ。N-BOXが108.0%にとどまるのに対して、タントはなんと181.2%という良好な数字を残している。
現行タントは2019年の発売ながら、昨年フェイスリフトを受け、ファンクロスというクロスオーバー風のモデルを追加している。このファンクロスが若者にウケているらしい。
このあたりも「トレンドがちょっと変わってきている」ことに含まれているかもしれない。
とすると、N-BOXのクロスオーバー風が登場するかもしれない。
いずれにせよ、3代目ホンダN-BOXは、軽市場をリードしようというホンダの意気込みがうかがえる。
未試乗ながら、製品は盤石。あとはお値段次第。というところでしょうか。
文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
ついにトヨタ「新型セリカ」復活!? 次期8代目登場か… 中嶋副社長「セリカ、やっちゃいます。」宣言! 会長も後押し!? ラリージャパンで語られたコトとは
マジか…? 新制度導入で「車検」通らないかも!? 10月から始まった“新たな車検”何が変わった? 覚えておきたい「OBD検査」の正体とは
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
日産が93.5%の大幅減益! ハイブリッドの急速な伸びを読めなかったのは庶民感覚が欠けていたから…「技術の日産」の復活を望みます【Key’s note】
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
一般車両侵入でSS12中止のラリージャパン、主催者に約800万円の罰金! 執行猶予付き1600万円の追加罰金も
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
きちんとユーザー目線で地味でもいいので進歩させてるからでしょう