毎年9月1日は「防災の日」だ。1960年に制定され、日付は1923年(大正12年)9月1日に発生した関東大震災にちなんでいる。9月は毎年台風による被害なども多いことも考慮されたという。
ご存知の通り、日本は地震大国。今回、執筆いただいた防災アドバイザー・高荷氏によると「世界で発生するマグニチュード6以上の大地震の15%以上が日本で発生している」という。
普段から考えておきたい!! 地震・津波・豪雨… 災害時、クルマをどうする!?
日頃からの備えは必要だが、「クルマに乗っている時、どうする!?」もとても重要だ。クルマにまつわる災害対策、ぜひこの機会に知っておこう。
※本稿は2022年4月のものです
文/高荷智也(備え・防災アドバイザー)、写真/Adobe Stock(メイン写真=ONYXprj@AdobeStock)、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年5月10日号より
■運転中の地震対応
写真は東日本大震災での瓦礫跡。揺れはもちろん、海に近い場合は津波の危険もある。乗って避難するか、置いて避難するかは一律に決めずに臨機応変に対処するのが望ましい(L.tom@AdobeStock)
大地震が発生した際の基本行動は、クルマに乗っていても降りていても、とにかく「身の安全を確保すること」である。
例えば都市部のビル街を歩いているなら、落下物を避けるためにあえて頑丈なビルのエントランスに飛び込むこともあり得るし、電車の中であればつり革や手すりを掴んで吹き飛ばされないようにすることが重要だ。
ではクルマの運転中、突然強い揺れを感じたり、緊急地震速報の音を聞いたりした場合、「身の安全を確保」するためにはどうすべきか。
まず自分が急ハンドル・急ブレーキを行うことで事故を起こすことを避けるため、ハンドルを両手でしっかりキープし、ハザードを点灯してゆっくり減速、安全に停車させることが重要となる。前方車両の急ブレーキを避けるためには、日頃から車間距離を意識した運転が重要だ。
さらに後続車両からの衝突を避けるため、停車後は左車線や空いている駐車スペースにクルマを移動させ、災害時のトラブルなどを避けることが大切である。
■津波避難とクルマの利用
海で大地震が発生した場合、津波を伴う危険性がある。この時、クルマで逃げるべきか、徒歩で避難すべきか悩ましいところだ。
原則としては「クルマでしか避難できない要援護者」に配慮し、徒歩避難ができる場合はクルマを使わないことが望ましいといえる。その一方、クルマ避難を禁ずる法律などはないため、「自分と家族の安全を確保しやすい方法」を最終的には選択することになる。
都市部に居住しており、クルマで避難をすると渋滞に巻きこまれ、そのまま津波にのまれる恐れがある場合は徒歩が推奨される。地方などで渋滞の恐れがない場合は、素早く移動するための道具としてクルマを活用することも場合によっては有効。
一律で「クルマの使用は是か非か」ではなく、使えるならば使用する、邪魔になりそうなら置いて行く、この判断を状況に応じて下すことが必要だ。
■クルマで素早く避難!
実際、過去の災害においてもクルマを使うことで命を守った事例・命を落とした事例は両方存在する。
例えば2011年の東日本大震災では、避難場所が遠方にある平野部において、クルマを使うことで素早く避難できた事例がある。
その一方、1993年の北海道奥尻島地震では、津波が数分で到達したエリアもあり、クルマを取りにいこうとしたユーザーが津波に巻きこまれて命を落とすケースが多く生じた。
その時に備え、高台などの安全な場所へ「早く到達できそうな方法」を選択し、それがクルマであるなら利用してもよいという考え方もありだろう。
■外出先での被災とクルマ
満充電&ガソリン満タンの場合、「一般家庭の4日分」の給電能力があるプリウスPHV。高荷氏オススメだ
クルマで外出中に大地震が生じたり、また大雪などの影響で身動きが取れなくなったりした場合に備えて、日頃から最低限の備蓄品をクルマに積んでおくことは重要だ。
自宅に準備する備蓄品は、「最低3日分・できれば7日分」が基本的な目安となるが、クルマへこの量の備蓄品を積みっぱなしにすることは現実的でない。
まずは「一晩」車内に閉じ込められた場合を想定した準備をするといいだろう。
具体的には、安全を確保するための道具、徒歩避難に切り替える際の道具、車内で一晩を明かすために必要な道具を揃えたい。
なおクルマは夏の高温、冬の低温が生じやすい環境であるため、できればシーズン終わりの年2回、備蓄品の状態を確認する機会を設けていただきたい。
■走る高性能発電機、PHEVは最強の防災グッズ
クルマを活用した防災でよく挙げられる、PHEVモデルは、避難先での車中泊、自宅での在宅避難、いずれのケースにおいても有効なアイテムだ。
「数百kgの荷物を載せ、時速100km/hで移動できる高性能発電機」と考えれば、これに匹敵する防災用品はそう存在しない。豊富な電気を生かして、調理家電を動かしたり、冷暖房を用いたりと、避難生活の質を大きく向上させたりすることができる。
非常時に活用するため、日頃からマメに給油を行い、長めの延長コードを積んでおくといいだろう。
なお、個人的なオススメ車種は三菱アウトランダーPHEVか、トヨタのプリウスPHVだ。いずれも最新車種は、クルマと自宅を「接続」するV2H機器に対応している。
費用を度外視し、とにかく一番よいものを選ぶなら、ガソリンタンクおよびバッテリー容量が大きなアウトランダーを。費用を抑えたい場合は、プリウスが現実的だ。
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みんなのコメント
私は子供の頃に押入れの上段で目覚めたことが3回あります。床上浸水で親父が押入れに寝かせてくれた。この体験があるので、自分の家は絶対に自然災害を受けない場所。3年かけて探し出しました。
中で頑張って盗難に備えても流されたら終わり