4月8日、トヨタは、ハンズオフ機能を搭載した高度運転支援技術「Advanced Drive」を、レクサス「LS」とトヨタ「MIRAI」に搭載し、販売することを発表した。
人に寄り添った運転支援
トヨタが開発した「Advanced Drive」は、高速道路や自動車専用道路の本線上の走行を支援するシステムである。従来のミリ波レーダーとステレオカメラにくわえて、望遠カメラ、LiDAR(Light Detection and Ranging:光を活用したリモートセンシング技術)と高精度地図に基づく情報を組み合わせることで、実用化された。
ナビゲーションで目的地を設定すると、ドライバー監視のもと、実際の交通状況に応じて車載システムが適切に認知、判断、操作を支援し、車線・車間維持、分岐選択、車線変更、追い越しなどをおこないながら、目的地に向かっての運転を支援するという。
システムの支援中、ドライバーは、アクセル、ブレーキはもとより、ステアリング操作からも解放される。つまり、手放し(ハンズ・オフ)運転が可能になる。すでに販売中の日産「スカイライン」が搭載する「プロパイロット2.0」に近しいシステムである。
Advanced Driveは、「人に寄り添った運転支援」をアピールする。ひとつは走行状況に応じた細やかな支援だ。周辺を走行している車両との並走・追い越し時に、左右の間隔を十分に確保した状態で車線維持をおこなうという。
たとえば全幅が広い大型車を追い越す際、右に寄りながら走行するなど、車両間の距離が不安を感じるほど近くならないようにするそうだ。
もうひとつは合流してくるクルマへの配慮だ。合流地点では、本線に合流してくる車両のために早めに減速して車間距離を確保し、相手車両のスムーズな合流を支援するという。
ベース車プラス55万~98万円
Advanced Driveは、車線変更や追い越しも自動でおこなう。システム側が周辺の車両状況と道路環境を考慮したうえで車線変更可能と判断した場合、ドライバーがステアリングを保持し車線変更先を確認すると、自動的に車線変更をおこなう。また、ドライバーがターンレバー操作をすることで、システムに車線変更動作を要求出来る。
Advanced Driveの作動中、ドライバーは絶えず前方を注視していなくてはならない。ステアリングコラム上のドライバーモニターカメラがドライバーの顔の向き、目の開閉状態、視線方向、運転姿勢から運転状態を検知、脇見・閉眼状態をシステムが確認した場合、ドライバーに警告する。さらに、眠気の兆候も推定し、ドライバーの運転への関与度合いが低下し始めているとシステムが判断した場合、ブザーによる警告やシートベルトの振動、ヘッドアップディスプレイ表示の点滅が実行される。
また、Advanced Drive搭載車の衝突被害軽減ブレーキは、従来の検知対象よりも遠くにある自車進路上の前方車両を検知出来るようになった。衝突の可能性があると判断した場合、カラーメーターやカラーヘッドアップディスプレイの表示とブザーでドライバーに知らせ、衝突の可能性が高いと判断した場合は、高い制動力を発生させ、ドライバーの回避行動を支援する。
ドライバーの運転姿勢が大きく崩れた場合や、システムの警告に応答せず無操作状態が継続した場合は、システムはドライバーの運転継続が困難と判断し、ハザードランプの点滅など周囲に警告を発しながら緩やかに減速し、車線内または路肩に停車する。また、停車後にドアを解錠し、ヘルプネットへの自動接続による救命要請をおこない、早期のドライバー救命・救護に寄与するという。
ソフトウェアのアップデート機能も搭載された。無線通信、または販売店での有線接続により、つねに最新のソフトウェア(制御ソフトおよび高精度地図ソフト)に更新出来る。購入後も、クルマに新たな機能を追加出来るので、性能が絶えず向上し、最新の運転支援技術を利用出来る。
Advanced Drive搭載のレクサスLSは、ハイブリッドの4WD仕様のみになる。価格(カッコ内はベース比)は「“version L Advanced Drive”」が1632万円(98万円高)、「“EXECUTIVE Advanced Drive”」が1794万円(66万円高)。
トヨタMIRAIは、「Z“Advanced Drive”」が845万円(55万円高)、「Z“Executive Package Advanced Drive”」が860万円(55万円高)になる。
文・稲垣邦康(GQ)
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