■ついに登場! 「第3世代e-POWER」は何がスゴい?
2025年3月26日に日産は、日産・インフィニティの両ブランドの商品ラインナップと「第3世代e-POWER」を含む新技術の投入計画を発表しました。
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注目される「第3世代e-POWER」にはどのような技術が採用されているのでしょうか。
日産は経営危機の解消に向けてホンダとの経営統合検討を行なっていましたが、2025年2月13日にその協議が終了。
今後は自力での再建を含め、経営体制や戦略の見直しを行なう事を決めましたが、同年3月11日に経営体制の刷新を発表しました。
内田誠社長兼CEOの後任として、これまで商品企画を担当していたイヴァン・エスピノーザ氏が就任します。
エスピノーザ氏は25年前に300ZX(=フェアレディZ)に憧れて日産に入社した生粋のカーガイで、日本人よりも日本人的な考えを持っています。
もちろん、日産がこのような状態に陥ってしまった原因・課題は真摯に受け止め、今後日産を再建するために様々な改革を進める事を宣言しています。
経営再建のためには固定費削減といった無駄をなくすことも大事ですが、やはり商品つまり「いいクルマ」を世に出すことが最大の反撃と言えるでしょう。
現在、日産のモデルラインアップはグローバルでは豊富なバリエーションですが、各仕向け地に分類すると適正な車種が適正な地域に投入されていなかったのも事実。例えば日本は高付加価値モデル、北米はe-POWER/PHEVなどなど。
エスピノーザ氏はこの状況に対して「市場戦略に対してはしっかりとメスを入れて再構築していきます」と語っています。
具体的には2025年半ばに発表予定の3代目リーフ(クロスオーバータイプに刷新。3in-1パワートレインやCMF-EVプラットフォームを採用)を筆頭に数多くのモデルを投入。ちなみに日本向けは新型の軽乗用車、新型の大型ミニバンだそうです。
これから投入されるモデルの多くはEV/PHEV、そしてe-POWERを含めた電動車が主とですが、直近の主力となるのはe-POWERでしょう。
2016年に先代ノートに搭載されて発売されて以降、ミニバンやSUVなど様々な車種に水平展開され、日本はもちろん中国や欧州、ASEAN、メキシコなどを含めた68の国・地域で累計162万台を発売。更に2026年度には北米市場にも投入予定となっています。
e-POWERを少しだけおさらいすると、エンジンで発電した電力を用いてモーターで駆動を行なうシステムで、分類的にはシリーズハイブリッドになります。
口の悪い人は「EVが売れないため、付け焼刃的に生まれたシステム」と言いますが、それは大きな間違い。
2010年に登場した初代リーフ開発時に、日産は「電気自動車の普及が一筋縄ではいかない」と判断。
これは先駆者だからこその意見ですが、その一方で「電気自動車のあの走りをもっとインフラの不安なしに味わってもらいたい」と言う強い想いもあり、電気自動車の技術を水平展開したハイブリッドの開発を並行して進めたと聞きます。
当初は経営陣ですら懐疑的でしたが、先代ノートの大ヒットをキッカケにe-POWERは日産の基幹パワーユニットへと昇格。システム、、も年々進化を遂げ、現在はモーター/インバーターを一体化してコンパクト化された「第2世代」が投入。
ノートは進化版の1.2Lですが、エクストレイル/キャシュカイは可変圧縮エンジン(VCターボ)、セレナは1.4Lのe-POWER専用エンジンを組み合わせています。
■これは期待大! 「第3世代-POWER」は何がすごいのか?
そして、日産再建の強い武器の一つとなるのが「第3世代」と呼ばれる次世代e-POWERです。
2024年度第3四半期決算発発表会で開発を行なっている事を明らかにしましたが、一体どのようなシステムなのでしょう。
e-POWERは100%モーター駆動ならではの力強くレスポンスの良い加速を実現する一方、高速燃費が欠点と言われてきました。
それを解消するためには、ホンダのe:HEVのように「エンジンと車軸を直結できる機構」が必要であると言うのが一般論でした。
ちなみに日産もe-POWER開発時にエンジン直結機構のトライもしたそうですが、開発陣は「エンジン直結機構で高速燃費が良くなるのは都市伝説です」と。
更に聞いてみると次のように教えてくれました。
「構造的に複雑になってしまう事や、直結するが故に最良燃費点から外れるシーンが増えてしまうので効率の観点では旨味は少ないです。
e-POWERはエンジンを発電専用に特化できるので、内燃車のようなフィールや応答性などを気にすることなく高効率燃焼を突き詰めることが可能です。
とにかくエンジンをダラダラと無駄に動かさずに、瞬間的に発電を行ない必要ない時はすぐ止める……が大事ですね」
要するに第3世代はエンジンを直結することなく高速燃費を向上させているのが特徴になります。
その秘密はと言うと、発電用エンジンの「熱効率の進化」と電動パワートレインの「最適統合化」を日産独自の「制御技術」によって引き上げています。
第3世代e-POWERの専用エンジンは排気量こそ第2世代と不変ですが、定点に特化した専用設計を活かして燃焼室に入る空気流の安定を確保。その上で変動の少ない強力なタンブル流を導入し安定した燃焼を実現させる「STARCコンセプト」を採用しています。
電動ユニットはモーター/インバーターの効率向上による伝達効率の進化に加えて、モーター/インバーター/減速機、発電用の発電機/増速機をモジュール化した「5-in-1」を採用。
これにより小型化はもちろん、高剛性な構造(ボルトなどによる締結が不要)を活かした振動バランスや軸構造の最適化により静粛性アップも実現しています。
これらにより、第2世代に対して燃費は高速域で15%(モード平均9%)改善、静粛性は-5.6dB改善されているそうです。
■いざ「第3世代e-POWER」に試乗! これは期待できる仕上がりか
そんな第3世代e-POWERに一足先に、日産追浜試験場内の施設「グランドライブ」で試乗させてもらいました。
車両はこれから出る新型車ではなく、海外専用モデルのキャシュカイに第3世代e-POWERを搭載したテスト車両になります。
エンジンスペックなどの詳細は未公開ですが、開発者は「ハードは第2世代とほぼ同じ(=1.5Lターボ)ですが、発電に特化させたスペックですので可変圧縮機能は外しています」と教えてくれました。
試乗時間は僅か10分(=コース2周)のみと味見程度でしたが、そのポテンシャルは走らせてすぐに理解できました。
まず、とにかく「静か」である事です。バッテリー残量が多い時はEV走行なので当然なのですが、ハイブリッド走行に切り変わってもエンジンの存在はほぼ感じません。
この辺りは第2世代もなかなかのレベルですが、そこから加速のためにアクセルをグッと踏み込んでいくと、違いは明らかになります。
第2世代はアクセル操作に対してエンジン回転が必要以上に上がってしまいますが、第3世代も同じくらい回っているはずなのに体感的にかなり低い回転で回っているように感じます。
更にアクセル操作より穏やかな回転上昇も相まって「おっ、トルクフルだね」と思うくらい無理をしていない“大人”なフィーリングです。
その時に微かに聞えてくるエンジン音も、第2世代のような軽い音ではなく低めの音で質の高さも感じるほどです。
更に速度が上がるとそのエンジン音もロードノイズ/風切り音にかき消されてしまうので、何も知らされずに乗ったら「このクルマは電気自動車なのか?」と錯覚してしまうかもしれません。
アクセル全開の急加速も試しましたが、第2世代はエンジンがかなり騒々しく回り、「走行フィールは電動車だけど、エンジンが主張しすぎだよね」と興ざめしますが、第3世代はそんな状態であってもエンジンが唸るそぶりは一切見せないどころか、遠くで囁いているようなレベルに抑えられています。つまり、全領域でエンジンが「黒子」に徹しています。
絶対的なパフォーマンスと言う意味では、今回試乗した感じではほぼ同じレベルですが、上記のような静粛性の高さも相まって多くの人は「このパワートレインは余裕あるね」と感じるでしょう。これならば上級モデルに搭載しても不満はなさそうなレベルです。
注目の高速燃費の計測はできませんでしたが、試乗中はハイスピード領域もエンジン回転数はかなり抑えられているようなので、良くなっている事を期待。
この辺りは第3世代e-POWER搭載の新型車が登場した時に、改めてテストしてみて判断したいと思います(日本向けはあの新型大型ミニバンが最初か)。
ちなみにキャシュカイに乗るのは初でしたが、いい意味でおおらかさを持つエクストレイルとは異なり“俊敏”かつ“爽快”なハンドリングはスポーティ。
プラットフォームはエクストレイルと同じCMF-Cなので、サスペンションの味付けとタイヤの設定が絶妙なのでしょう。
見た目も都市型クロスオーバーのトレンドを抑えているので、日本でしっかりPRを行なえば戦力になってくれると思うのですが。
※ ※ ※
総じて言うと、第3世代e-POWERはシステムとしてはとても優れている事が理解できましたが、本当に大事な事はこのシステムを搭載した「商品」の完成度でしょう。
この辺りに関して開発チームに聞くと、「そこは強く認識しています。
そのための玉込めはシッカリやっていますので、期待してください」との事でした。
後はエスピノーザ氏率いる新執行チームの正しい判断(適切な商品を適切な時期に投入)を期待したい所です。
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みんなのコメント
e-POWERもいいけど せっかくの圧縮比可変ターボって技術があるんだから いいと思うけどな。