BMWの2シリーズ・クーペの高性能版「M2 コンペティション」に今尾直樹が試乗した。
最高の走りだ!
BMW M2コンペティションは、サイコーのスポーツ・クーペだった。これぞ現代の“02ターボ”であり、初代「M3」のリ・インカネーション、輪廻転生。BMWの現行ラインナップのなかからどれか1台選んで乗って帰ってもよろしい。と言われたら、筆者は迷うことなくコレにする。いや、します。よろしくお願いします。
といって許してもらえるほど、世のなか甘くないわけですけれど、M2コンペティションと過ごした半日は、筆者の脳内にありし日のドルチェ・ヴィータとなって、その甘さの濃度を高くしてゆく。
まずもってサイズがイイ。全長×全幅×全高=4475×1885×1410mm、ホイールベース2695mmというのは、現在のBMWの最小の後輪駆動クーペである。これは直6を搭載した最初のM3、1990年代のE36型とほとんど同じであることを意味する。
前後フェンダーはセクシーに膨らんでいる。全幅はE36型M3比、90mmほども広い。そのグラマーなボディの下には、M3/M4用の、より軽くて、より剛性に優れたアルミニウム製前後アクスルが隠されている。スティール製比、フロントで5kg、リアで3kg軽いという。
この前後アクスルが正確に位置決めするホイールはM2コンペティション専用デザインの鍛造製19インチで、幾何学模様を思わせるそれは、いかにも軽くて精度が高そうに見える。タイヤは前245/35、後ろが265/35という、前後異サイズの、ぶっとくて薄い、ZR規格のミシュラン・パイロット・スーパー・スポーツを履いている。
ハイ・グロスのブラック仕上げになったキドニー・グリルにLEDのヘッドライト、それにエンジンの冷却用に広げられたバンパーのインテークがつくり出す表情には、日本の戦隊ものにも通じるスーパー・ヒーロー感がある。
素のM2に対しパワーアップしたコンペティション
乗る前からスーパー・ヒーロー感を漂わせるM2コンペティション、運転席に乗り込んで計器類を眺めれば、速度計は300まで、タコメーターは7000からゼブラ・ゾーンになっていて、思わず、いいですねーと呟いてしまう。
ダッシュボードの赤いスターター・ボタンを押してエンジンを目覚めさせると、バフォンッと爆裂音が轟き、しばらくドコドコドコドコという鼓動がいずこかから聞こえてくる。
フロント・ボンネットに潜むのは、M3/M4由来の2979ccの直列6気筒DOHC4バルブのガソリン・エンジンである。2015年の10月に本国で発表になったM2から、2018年の6月にその進化版として登場したM2コンペティションの最大のハイライトであるこれは、M2では1基だったシーケンシャル・ターボを2基に増やし、410psの最高出力を5250~7000rpmで絞り出し、550Nmもの大トルクを2350~5200rpmで発揮する。高回転とフレキシビリティを両立させた、BMW M社ならではの、モダンな高性能ユニットだ。
現行M4の同型エンジンは450ps/7000rpmと550Nm/2350~5500rpmだから、M2コンペティション搭載にあたって、若干デチューンしていることになる。けれど、M2の直列6気筒は370ps/6500rpm、465Nm/1400~5560rpmだったから、飛躍的にパワー&トルクを増したことになる。
新エンジン搭載により、0~100km/h加速は4.2秒(6速マニュアルだと4.4秒)、最高速度は試乗車のようにオプションの「M ドライバーズ・パッケージ」を選択すると、M2から10km/hアップの280km/hに達する。速度計の300とタコメーターの7000の数字は、いずれも伊達ではない……。
冷却システムはM4と共通だ。オイルの供給と冷却は、モーター・スポーツで培われてきた経験によってテスト済みだそうである。
コンパクトな分、ぎゅーっと濃縮
走り始めると、はっきりと乗り心地が硬い。足まわりには電子制御の可変ダンピングの類がない。朝から晩まで、ずーっと硬い。いかにも高性能スポーツカーの硬さである。カチンコチンの、衝撃で割れちゃうとかポキっと折れちゃうような硬さではなくて、柔軟さと弾性をともなった硬さだ。
随所に補強が施されていて、ボディ剛性はムチャクチャ高い。ステアリングは重めで、ずっしりとしている。この重さにも肉感的な重さがある。
ブレーキ・ペダルは右足を伸ばした正面にある。マニュアルとほぼおなじ位置にあるのだ。左足ブレーキは少々やりにくいけれど、すぐに慣れる。
ステアリング、エンジン、DCTの変速、それらのモードは個々に切り替えることができる。
DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)も切り替えられるけれど、若干雨で路面が濡れていることもあって、それには触らない。
フル・スロットルにすると、路面が若干濡れていたこともあって、リアが若干スライドする。ドッキン。おおおーっ。アクセル・ペダルをかまわず踏み続ければ、DSCが姿勢を即座に立て直し、怒涛の加速を見せる。マッスル・モンスターであることのスリルをドライバーに味わわせつつ、高いスタビリティを備えているのだ。
エンジンのモード切り替えは、エフィシェント、スポーツ、スポーツ・プラスの3種類あって、エフィシェントだとトルクがやや細いと感じるものの、むしろそれがターボ・エンジンっぽさを感じさせる。回転数がターボ・ゾーンに入ると、強烈なトルクとパワーが湧き出てくる。
スポーツ・プラスにすると、ターボのラグはなくなる。アクセルに対して瞬時にトルクで応えてピックアップ、サイコー。アクセル・オフでちょっとゴボゴボと咳き込むようなレーシーなサウンドを発しもする。電子制御のフラップが開かれ、3000rpmを超えると、野生的な野獣の咆哮をぐおおおおおおおおおっとあげまくる。
M8のようにトルク・コンバーター式のオートマチックではなくて、デュアル・クラッチ式だから、変速時、とりわけダウン・シフト時に中ぶかし、ブリッピングを自動的に入れてくれて、そのキレのいい演奏っぷりに陶然とする。
そのセクシーなサウンドによる挑発に、できれば私も応えたい。しかしながら、1日中だと、もっと、もっと、と求められているようで気疲れする。
サーキットがウチにあればなぁ……。
現代の高性能スポーツカーにおいて、電子制御によるモード切り替えは必須なのである。M2コンペティションの場合、エンジンのモード切り替えにより、直6ツイン・ターボは、いわば朝の顔、昼の顔、夜の顔を持っている。ときに朝の顔が夜の顔を思い出させ、昼の顔が……ってなんのことやらですけれど、つまり、貞淑さが制御不能の奔放さを際立たせて、官能がいや増す。
同型のエンジンを搭載する、フロント・エンジンの2ドア・クーペ だけれど、M4クーペは7速DCTが1265万円。M2コンペティションは923万円と、数字だけのお話にしても、グッとお求めやすいのもうれしい。
おまけに、M4よりもコンパクトな分、ぎゅーっと濃縮されている。M2コンペティションはBMW Mの真髄であり、現代のBMW Mの真髄は間違いなくM2にある。
文・今尾直樹 写真・角田修一
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みんなのコメント
20cm近くも幅広いクルマを「E36型M3と同等」とは、乱暴に過ぎます。