普段使い可能な1日中楽しめるスーパーカー
自動車ライターとして日々の仕事を楽しませてもらっている筆者だが、今ほど厳しい体験は珍しい。時間は午前3時45分。右側のお尻がしびれて、感覚がない。あばら骨がレザーシートに食い込んでいる。マクラーレンGTでの就寝は、難しい。
【画像】24時間をともにしたマクラーレンGTを写真でじっくり 過激なマクラーレン・エルバも 全87枚
マクラーレンはモデルレンジのなかで、このGTをグランドツアラーに位置づけている。その名の通り。普段使いにも困らない、1日中楽しめるスーパーカーということだ。
そんな売り文句へ釣られるように、筆者は24時間、GTと過ごすことにした。馬鹿げた企画に思えるかもしれないが、だからこそ試す価値がある。
テストのルールはシンプル。グレートブリテン島の東、リンカンシャー州を出発し、一般道で西のノースウェールズ地方を目指す。基本的に、クルマから降りられるのは給油か休憩のみ。それ以外の理由で外へ出ることは許されない。
別のクルマで同行するのは、フォトグラファーのマックス・エドレストン。必要な食料と機材を、すべて積み込んだ。
マクラーレンGTは、上質な走り心地と類まれな操縦性とが融合している。躍動的なスーパーカーでありながら、時にはドライバーにも優しい。そんなジキルとハイド的な二面性を、筆者は24時間堪能できるだろうか。
出発はお昼。まずはリンカンシャー州から西へ延びるA52号線を走り、A1に合流して中部のダービーシャー州に入る。ピークディストリクト国立公園に存在したパブ、キャット&フィドル・インを目指すことにした。
仕切りのない荷室から聞こえる雑音
かつてその付近には滑らかなアスファルトが続く、気持ち良く走れる道路が伸びていたが、近年は交通量が多くスピードカメラも設置された。それでも、景色は素晴らしい。比較的低めの速度域でも、グランドツアラーとしての能力の一部は確かめられる。
冬の英国だから、天気は冴えない。のっぺりとグレーの雲が空を覆う。空気は湿っている。春に向けて気温は徐々に高くなってきていて、車中泊への心配は多少薄らいだ。
しばらく、エドレストンのクルマを追いかける。マクラーレンも、何故かわたしのスマートフォンも、グーグルマップが動かないためだ。16万3000ポンド(約2526万円)のスーパーカーなのに、アップル・カープレイは実装されていない。
走りは快適。110km/hほどで流れる片側2車線の道を、順調に進む。乗員側の空間と、エンジンルーム上の荷室、パーセルシェルフ部分との間に仕切りはない。後方からの雑音が、ラジオの音楽や電話での会話を邪魔する。
出発から2時間。お尻が痛くなってきた。エコノミークラス症候群を避けるため、休憩して足を伸ばすことにする。
ダービーシャー州に入っても、空はグレーのまま。石垣もグレーだ。山頂から霧が谷間に沿って流れてくる。木々は湿っていて、うらびれている。マクラーレンGTのベリーズブルー塗装が際立つ。
観光シーズンは始まっておらず、歩みの遅いキャンピングカーは少ない。それでも、COVID-19の規制が緩み始めているから、交通量は多いようだ。
アクセルペダルを踏み込む恐怖感は少ない
路肩には、まだ凍結防止剤の塊が転がっていた。最近まで氷点下近かった証拠だ。
マクラーレンGTが履いているのは、サマータイヤ。路面温度は7度前後。アクセルペダルの操作には注意が必要だが、深く踏み込むことに恐怖感は少ない。
四輪駆動のベントレー・コンチネンタルGTなら、もっとリラックスして運転できるだろう。とはいえ扱い方を一度学べば、そこまで恐れる必要はない。
グレートブリテン島の中央、ピークディストリクト国立公園の山並みを登る。徐々に天候が悪化する。壮大な景色は霧に包まれて望めない。英国では2番目に標高の高い場所にあったパブ、キャット&フィドル・インも霧の中だ。
オープンは1813年。しかし、2015年に一度閉店してしまった。現在は蒸留所が買い取り、ウイスキーの売店になっている。
店に入ったエドレストンは、驚くほど居心地が良いと電話で教えてくれた。ノンアルコールのドリンクを飲みつつ、窓越しにマクラーレンGTを眺めながら。
天候悪化を避けるように、早々に西のノースウェールズ地方を目指す。ピークディストリクト国立公園を経由した理由は、エキサイティングな道をどれほど巧みに処理できるのか確かめたかったから。ポルシェ911も得意とするワインディングだ。
交通量は多いものの、60km/hから90km/hの間でマクラーレンGTをじっくり味わう。この程度のスピードでも、走りは充分にスリリング。とても充足度が高い。
80km/hでもマクラーレンGTは生き返る
油圧パワーステアリングは、マクラーレンGTの大切な要素。ライバルの多くは、経済性や効率性を求めて、電動パワーステアリングへ切り替えている。しかし同社は質感を保つため、従来のシステムを堅持している。素晴らしい。
カーブの続くA537号線で、ピークディストリクト国立公園を下る。霧は深く、80km/hで走ることも危うい。それでも運転が楽しい。マクラーレンGTを生き返らせるのに、300km/hなど必要ない。
途中、何本かのトンネルを通過する。サイドウインドウを下げて、2000rpm以上の回転域を試さずにはいられない。フェラーリのような沁みるファルセットではないものの、疲れ気味の筆者の心を目覚めさせるのに、不足ない美声がこだまする。
午後6時に、グレートブリテン島の西、スランディドノという海岸線の町へ着いた。エドレストンは、プレミア・インというホテルへチェックインする。彼がダブルベッドへ包まれる前に、もう少し撮影が必要だ。
エドレストンは、エンジンルームの上のパーセルシェルフで寝れるのでは?と話す。ガラスリッドが覆っているから、星空も眺められるだろう。
荷室部分の長さを図ると、確かに収まりそうだ。しかし、フロントシートの間からパーセルシェルフの上へ体を押しこむことが難しい。なんとかグラスリッドの下で横になれたが、夜を過ごすのに現実的な場所ではないようだ。
この続きは後編にて。
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みんなのコメント
まあ今はLGBTにも気を使わなきゃならないし。
実際の購入者はシャトーとか所有してるだろうけど