目的地までの移動や荷物の運搬などがクルマの主な用途だ。しかし、クルマにはこうしたシンプルな目的のためだけではない機能が装備されている。それらの多くは運転を快適にすることや燃費の向上に効果を発揮するが、なかには正直「コレっていらないんじゃないの?」と感じてしまう装備もある。
今回は本当に必要なのか、疑問の声も上がっている装備を紹介していこう。異論反論は必至でも、やっぱり“なくてもいいんじゃないの?”という装備はコレだ!
雨後の筍状態のクルマの装備!!! いや、ちょっと待て!! 実は「ちょい使いづらいんじゃないの!?」な装備6選
文/長谷川 敦 写真/写真AC、トヨタ、日産
「習うより慣れよ」ができない自動駐車は余計なお世話?
日産がEVのアリアやリーフに搭載したプロパイロットパーキングは、ドライバーの操作を必要としない完全自動駐車機能だ。その信頼性も確立されているが……
技術の発展とともにクルマの装備もハイテク化している。将来的には完全自動運転の普及も予想されているが、その先駆けとして導入が始まっているのが自動駐車機能だ。
トヨタは「アドバンストパーク」、日産は「プロパイロットパーキング」、ホンダでは「スマートパーキングアシスト」などの名称で装備されるのが自動駐車機能で、一部の操作はドライバーが担当するものもあるが、なかにはほぼ完全に自動駐車が行われるシステムもある。
実際に駐車が苦手という人が多く、休日の混み合うショッピングセンターやサービスエリアの駐車場で、駐車に四苦八苦しているクルマが原因で渋滞になっているといった光景を目にする機会もある。そうした人にとって自動駐車機能はなによりの恩恵になるだろう。
だが、この自動駐車機能を迷惑に感じる人もいる。最初に考えるのは「システムをそこまで信用してしまっていいのだろうか?」ということ。技術が進んでいるとは言え、すべての操作をシステムに委ねてしまうことに抵抗を覚えるのは理解できる。加えてセンサーを使って駐車を行うため、隣のクルマや壁まで人間の感覚では「ホントに大丈夫?」と思う距離まで一気に詰める自動システムは、乗車していて怖いといった声も聞く。
もちろん、メーカーが長期間にわたるテストの結果市販車に搭載したシステムなので安全性は確保されていて、人間が行うよりも速く、そして正確に駐車されるケースも多い。しかし、自動運転に頼りきってしまうと、この機能がないクルマを運転する際にうまく駐車できないといったことも考えられる。
自分の操作でスムーズに駐車できるようになるまである程度の練習が必要なのも間違いなく、その機会を減らしてしまう自動駐車機能には、メリットもあるが同時にデメリットもあると言わざるを得ない。
デジタルインナーミラーは違和感の克服がカギ
後方の状況を鏡ではなく映像で見ることができるデジタルインナーミラー。多くのメリットがあるデジタルインナーミラーだが、違和感を覚えるドライバーもいる
クルマのフロントガラス後方に装着されるインナーミラー(室内鏡)。ここに鏡ではなく液晶ディスプレイをはめ込み、カメラでとらえた後部の映像を映し出すのがデジタルインナーミラーだ。
最近の市販車で採用例が増え、オプションでも販売されているデジタルインナーミラーのメリットは、後部座席に体格のいい人が座っても後方視界がさえぎられないこと、雨や曇りの日、そして夜間でも光学処理によってしっかりと後方が見えることなどがあげられる。また、物理的な鏡とは違って角度が変わっても同じように見えるため、運転手が交代しても角度を調整する必要がないのも利点のひとつ。
このようにメリットの多いデジタルインナーミラーだが、これを敬遠する人が多いのもまた事実だ。その理由として真っ先にあげられるのが、運転手が違和感を覚えてしまうこと。
視線を前方からインナーミラーに移した際に、通常の鏡であれば焦点を変化することなく見られるが、デジタル映像の場合は焦点距離が変化してしまう、目のいい人や若者にとってこの焦点変化は大きな問題にならないものの、加齢によってピントを合わせる速度が遅くなると、それはインナーミラーへの違和感となって現れてしまう
インナーミラーの映像そのものに違和感があるという人も多い。生の鏡像ではなく、あくまで映像であるため、後続車のライトと液晶ディスプレイの光が干渉してチラツキが現れることがあり、これが運転手に負担をかけてしまうのだ。
とはいえ、先にあげたようにデジタルインナーミラーのメリットは多く、ドライブレコーダーを兼用した便利なタイプもある。また、必要に応じてデジタルから普通の鏡に切り換えできるデジタルインナーミラーもあるので、慣れるまで双方を使い分けるという手もある。
新しい機能に最初は拒否反応がおきるのはある程度は仕方ないこと。まずは実際に使ってみて、それから成否を判断しても遅くないだろう。
補助ミラーって何が便利?
サイドミラーの左上に取り付けられているのがより広角で見るための補助ミラー。あると便利そうではあるが、実際に活躍する機会はそれほど多くない
街ですれ違ったクルマのサイドミラーに、もうひとつ小さなミラーが装着されているのを見たことはないだろうか? この小さなミラーは補助ミラーと呼ばれていて、広角で写し出す、あるいは本来のサイドミラーよりも手前下側を写すことによって、遠方の確認やバックでの駐車などをしやすくするためのもの。
一見便利に思える補助ミラーだが、実際に装着しているクルマはそれほど多くはない。つまり、そこまで便利なものではないということ。特に後方を写す補助ミラーは長い直線が続く高速道路など以外で活躍する機会はほとんどなく、ハッキリ言ってなくても問題ない。
補助ミラーを追加すると、本来のサイドミラー面積が狭くなってしまうのが難点になる。これを嫌って補助ミラーを装着しない、もしくは装着されていた補助ミラーを外すドライバーもいるという。
手前下側を写す補助ミラーも、便利に使えるケースはあるものの、やはり必須アイテムとは言えない。もちろん、補助ミラーを便利に使っている人もいるからすべて否定するわけではないが、やはり必要性の低い装備ではある。
スマートキーはハイテクゆえの盗難に注意!
リレーアタックを防ぐにはスマートキーからの電波をカバーする必要がある
ポケットなどに入れたままクルマに近づくと、ドアロックが自動的に解除されたり、ボタンひと押しでエンジンがでかけられたりするのがスマートキー。使い慣れると実に便利なキーなのだが、最近はこのスマートキーの特性を利用した盗難事件も起こっているという。
スマートキーは常時微弱な電波を発信していて、この電波を利用して解錠などを行っているのだが、近年発生しているリレーアタックという犯罪は、この電波を受信→増幅することにより、スマートキーを持っていない人でもドアロック解除とエンジン始動を行い、そのまま運転してクルマを盗んでしまう。
リレーアタックは複数人で行われる。まずはスマートキーの電波を受信できる機械を持った一人が運転手に近づき、スマートキーからの電波を受信し、増幅して仲間に送る。そしてクルマのそばにいる人間が、自身の持つ受信機でこの電波を受信→クルマに送って解錠するというわけ。
まさにスマートキーの利便性を逆手にとった犯行で、海外ではリレーアタックの被害が多数確認されている。我が国も例外ではなく、海外ほどの頻度ではないものの、リレーアタックの被害が報告されている。
リレーアタックの被害を防ぐには、電波を遮断するケースに入れてスマートキーを持ち歩くか、微弱電波の発信をオフにする必要がある。また、リレーアタック対策モードのある盗難防止装置も販売されているので、こちらを利用するのもアリ。
このような対策は施せるものの、対策によってスマートキーの便利さがやや損なわれてしまうのは避けられない。クルマを盗まれるよりマシだとは言えるが、やはりメーカー側に、より高度で安全なスマートキーシステムの開発と普及を進めてもらいたいところだ。
消えるの早すぎ!? ワンタッチウインカー
ウインカーの役割は後続車や歩行者などに方向を知らせることにある。それだけに、周囲が確認する前に点滅が終了してしまっては何もならない
公道車になくてはならないウインカー。近年では、このウインカーもハイテク化が進んでいる。それがワンタッチウインカーと呼ばれる装備で、レバーを1回操作すれば、3~5回ウインカーが点滅し、自動的に消灯する。
ワンタッチウインカー最大の利点は切り忘れが防止できること。ウインカーを点滅させたまま直進を続けるクルマいると、後続車や歩道者などは、いったいそのクルマがどこに行きたいのか戸惑うことが多いが、ワンタッチウインカーならばこうしたトラブルを回避できる。
反面、複数回の点滅でウインカーが消えてしまうと、肝心の曲がるポイントや車線変更時にウインカーが点滅していないといった本末転倒な状況になることも考えられる。つまり、ワンタッチウインカー装備車を運転している時は、ウインカーを点滅させるタイミングを慎重に見極めなければならない。
そしてもうひとつの難点は、一度作動させたワンタッチウインカーのキャンセルができないこと。間違って作動させてしまっても、一定時間はウインカーが点滅しつづけてしまうのだ。
このように、ワンタッチウインカーにはまだまだ解決すべき課題も多い。もちろん、こうした新機能は採用例が増えるに連れて改善されていくのは間違いなく、いずれは使いやすくて安全な機能になるはず。その日が来るまで人間側でうまく対応していくのが賢明だ。
エコを考えれば必須だけど、やっぱりアイドリングストップは使いづらい?
アイドリングストップをオフにできる車種もある。アイドリングストップ使用時はバッテリーやセルモーターへの負担が増えるため、こうしたデメリットとメリットを考慮して使い分けるとよいだろう
信号待ちなどの停車中に自動的にエンジンをストップし、青信号でアクセルを踏み込むと再びエンジンが始動するアイドリングストップ機構。現在ではメジャーな機能になっているが、この機能を好まないドライバーも存在する。
アイドリングストップがあれば停車中にガソリンを消費せず、排気ガスも出さないので環境負荷を減らせる。そのため現在の新車はほとんどがこの機能を搭載している。だが、再発進のたびにエンジンがかかることに違和感があったり、アクセルの踏み込みと実際の発進にタイムラグがあったりするのを不快に思う場合もある。
そしてエンジン停止中はエアコンもオフになってしまうため、特に真夏の信号や踏切での遮断機待ちの際に車内温度が上がるのも好ましくないと言える。こうした問題を避けることを目的に、アイドリングストップ作動中でもエアコン始動時にはエンジンをストップさせない機能が搭載されたモデルもあるほど。
なかにはアイドリングストップキャンセラーを搭載したクルマもあり、実際にアイドリングストップを解除しているドライバーも多い。とはいえ、アイドリングストップがガソリン代の節約や自然環境への配慮となるのもまた事実。やはり、これからの時代には必要な機能であり、運転者側が歩み寄るしかないのかも。
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みんなのコメント
運転が下手クソな輩が、増えすぎだろ…汗