現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「キャンピングカー横転事故」なぜ発生? 死亡例もあるが…問題点は? プロが語る事前に注意すべきコトとは

ここから本文です

「キャンピングカー横転事故」なぜ発生? 死亡例もあるが…問題点は? プロが語る事前に注意すべきコトとは

掲載 31
「キャンピングカー横転事故」なぜ発生? 死亡例もあるが…問題点は? プロが語る事前に注意すべきコトとは

■キャンピングカー横転事故…その原因は?

 2024年8月26日に上信越自動車道にてキャンピングカーが横転し、乗っていた子供が亡くなるという痛ましい事故が発生しました。
 
 度々、キャンピングカーの横転事故は発生していますが、それらの原因にはどのような背景があるのでしょうか。

【画像】2700万円超! これが超豪華な「高級キャンピングカー」です(60枚)

 夏のこの季節、キャンピングカーで車中泊旅を楽しむ人が多くなります。

 日本でもキャンピングカーが文化として定着し、本格的なキャンピングカー、いわゆるキャブコン(キャブコンバージョン)の台数が増えてきました。

 キャブコンバージョンは、トラックやキャンピングカー専用シャシーをベースにFRPやアルミ材で製作した居住スペースを載せたタイプのクルマです。

 小型のコンドミニアムのような快適な空間、中で調理などができる本格的な装備が特徴となっています。

 様々なキャンピングカーメーカー(ビルダー)から販売されていて、注文から納車まで1~2年待ちという人気商品です。

 昨今ではレンタカーも増加しており、気軽にキャンピングカーライフを楽しむ人も増えています。

 しかし、一方でその独特の形状や走行性から運転には十分な知識が必要とされており、レジャーシーズンには事故の発生が多くなります。

 つい先日も、前述の上信越道でキャブコンの横転死亡事故が起きたばかり。なぜキャンピングカーの事故は起きるのでしょうか。

 前述の通り、キャブコンはトラックなどをベースに、居住空間であるシェルを載せたクルマです。

 居住スペースを広く確保するため、後部シェルは箱形となり、投影面積が大きくなります。つまり、空力的に影響を受ける部分が大きくなるという特性があります。

 加えて運転席はキャブオーバータイプ、大きなキャブを載せるために後部はトレッドよりもボディが張り出していることが多く、後部オーバーハングも大きくなっています。

 こうした形状ゆえに、強い横風を受けてしまうとその後の車両コントロールが難しく、蛇行したまま横転してしまうという事故が後を絶えません。

 あるキャンピングカーメーカーのスタッフは、こんな要因についても指摘します。

「いわゆる過積載と、荷物の積む位置です。

 キャブコンはシャシーによって耐荷重性能が決まっているのですが、様々な装備を載せた段階で、まずその耐荷重の一部を使ってしまっています。

 ですので、大きなボディのわりには積載可能重量は想像以上に多くありません。

 しかし、それを理解せずに重い荷物を積んでいるユーザーさんをかなり見かけます。

 また積む場所も大切で、できるだけ車軸上やそれに近い位置に荷物を載せないと、運転した時のバランスが悪くなってしまうんです」

 こうした過積載や重量物の積載位置が原因となり、タイヤのバンク・バーストが発生することが指摘されたことがあります。

 これによりトヨタは、自社製キャンピングカーシャシーの「カムロード」の仕様を変更。

 後輪をダブルタイヤに変更することで、耐荷重性能の強化と走行安定性の改善を図りました。

 一般的なクルマでもタイヤは走行性、安全性を担保する大切なパーツですが、キャブコンではその重要性はさらに高まります。

■事故の背景には「タイヤ」の影響が大きい? そもそも運転の仕方にも注意が必要か

 今回、上信越道で事故を起こした車両も、右前輪タイヤのパンクが要因となって横転したと各メディアで報じられました。

 別のキャンピングカーメーカーの代表は、タイヤとキャブコンの関係の重要性について力説します。

「キャブコンの事故を検証してみると、大抵の場合はタイヤが原因となっていることが多いように見受けられます。

 劣化が激しいタイヤを使っていたり、空気圧が適正値より少し上でなかったりということが事故の要因につながるのです。

 よくキャンピングカーの事故ではリアタイヤへの負荷が話題となりますが、実はフロントタイヤにこそ十分な配慮が必要です。

 キャンピングカーの構造上、利車両後部が重かったり、また積載物や後付けの装備によってリアの重量が増えてしまうと、走行中に前後運動が激しく起こります。

 すると、タイヤやサスペンションに大きな負荷がかかり、直線などをハイスピードで運転するなど、いくつかの条件が重なるとバンクやバーストする恐れが高まるのではないでしょうか」

 さらにこの代表は、昨今の気象状況も影響しているのではないかといいます。

「ここ数年の夏は、各地で気温35度以上になることが当たり前になってしまいました。

 こういう条件だと、路面温度は大変な高温になります。タイヤはそれでなくても摩擦で温度上昇が生じるのに、さらに厳しい条件に追いやられることになります。

 それでなくともキャブコンのタイヤへの負荷は大きいのに、管理の悪いタイヤはパンク・バーストの危険性がさらに高まるわけです。

 マメにタイヤの空気圧をチェックし、圧は適正値よりも少し高めにしておく、そしてスピードは抑えるというのは、キャブコンでは鉄則です」

 キャブコンの事故を防止するには、よくタイヤの状態を気に掛けることだとこのメーカー代表はいいます。

「日常的にタイヤの劣化防止やチェックを心がけ、出発前、ドライブ中に空気圧調整をするのはマストです。

 さらに酷暑の中で高速道路を走る場合は、走行速度を80km/h以下に抑えて、2時間以上の連続走行をしないことです。

 できるだけ小まめに休憩を取ることでタイヤの温度上昇を抑えることも、パンク・バーストの予防になります。

 あと、とにかくキャピングカーには性能の良い新しいタイヤを履かせるというのも重要ですね」

※ ※ ※

 そして、レンタカーなどで初めてキャンピングカーを運転するという人は、一般のクルマとの違いを十分に理解する必要があります。

 とにかくスピードを抑えて走り、急激な車両の挙動を生じさせる操作はしないということが大切です。

 小さな子どもを乗せる場合は適切なチャイルドシートやジュニアシートの装着を必ず行い、走行中は車内の移動をさせないといった対策を十分に取る必要もありそうです。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ディーゼルターボ1位は[トライトン]に決まり!? ディーゼル搭載車のそれぞれの違いって?
ディーゼルターボ1位は[トライトン]に決まり!? ディーゼル搭載車のそれぞれの違いって?
ベストカーWeb
アルファードにはない[超絶加速]! ヴェルファイアの直4・2.4Lターボが気持ち良すぎる
アルファードにはない[超絶加速]! ヴェルファイアの直4・2.4Lターボが気持ち良すぎる
ベストカーWeb
流れるウインカー、デジタルサイドミラー…流行ると思ったけど流行らなかった装備3選
流れるウインカー、デジタルサイドミラー…流行ると思ったけど流行らなかった装備3選
ベストカーWeb
MotoGP最終戦の代替レースはバルセロナ・カタルーニャに決定。バレンシアGPは洪水被害により中止に
MotoGP最終戦の代替レースはバルセロナ・カタルーニャに決定。バレンシアGPは洪水被害により中止に
AUTOSPORT web
スイスポ年度内は新車買えるゾ!! ファイナルエディションはガチで出るっぽい
スイスポ年度内は新車買えるゾ!! ファイナルエディションはガチで出るっぽい
ベストカーWeb
「安い車トップ5」に日本車が2台もランクイン! 物価高で廉価車に注目集まるドイツ…他のアジア車よりも安くて大丈夫?【みどり独乙通信】
「安い車トップ5」に日本車が2台もランクイン! 物価高で廉価車に注目集まるドイツ…他のアジア車よりも安くて大丈夫?【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
ホンダ、電動過給機付き新型V型3気筒エンジンをミラノショーで発表。二輪車では世界初の試み
ホンダ、電動過給機付き新型V型3気筒エンジンをミラノショーで発表。二輪車では世界初の試み
AUTOSPORT web
「日本一長い道路トンネル」の新たな顔は“海外製”に 首都高の新型「黄色いバイク」披露 ホンダ製から入れ替え
「日本一長い道路トンネル」の新たな顔は“海外製”に 首都高の新型「黄色いバイク」披露 ホンダ製から入れ替え
乗りものニュース
トヨタとヒョンデが「民間外交」 クルマ好きTOPの交流で何が見えた? 協業もある得る? 「水素はアジアから」は実現するのか
トヨタとヒョンデが「民間外交」 クルマ好きTOPの交流で何が見えた? 協業もある得る? 「水素はアジアから」は実現するのか
くるまのニュース
「ステランティス」出資の新銘柄 リープモーターC10へ試乗 力強い加速に感心 平均以下の部分も
「ステランティス」出資の新銘柄 リープモーターC10へ試乗 力強い加速に感心 平均以下の部分も
AUTOCAR JAPAN
2022年に導入したばかりの共通ハイブリッド機構を破棄、来季より100%持続可能燃料を採用へ/BTCC
2022年に導入したばかりの共通ハイブリッド機構を破棄、来季より100%持続可能燃料を採用へ/BTCC
AUTOSPORT web
山本尚貴の「SFから退く決断」にチームは本人の意志を尊重。「一緒に戦えたことを誇りに」
山本尚貴の「SFから退く決断」にチームは本人の意志を尊重。「一緒に戦えたことを誇りに」
AUTOSPORT web
全日本トライアルで小川友幸が14回目のチャンピオンを獲得。12連覇で自身の最多記録を更新
全日本トライアルで小川友幸が14回目のチャンピオンを獲得。12連覇で自身の最多記録を更新
AUTOSPORT web
LEON AMGがランキング首位堅守の2位。タイヤ無交換で好ペースのカギと「欲をかかない」戦い方【第8戦GT300あと読み】
LEON AMGがランキング首位堅守の2位。タイヤ無交換で好ペースのカギと「欲をかかない」戦い方【第8戦GT300あと読み】
AUTOSPORT web
マツダの専売特許じゃない!? いまや幻の「ロータリーエンジン大国」ラインナップは驚愕の20種類!
マツダの専売特許じゃない!? いまや幻の「ロータリーエンジン大国」ラインナップは驚愕の20種類!
乗りものニュース
全長5m級! 三菱の「最上級セダン」!? 斬新「ジェットファイターグリル」×めちゃ“和モダン”デザイン採用! 「ランエボ技術」も搭載の「ZT」とは何だったのか
全長5m級! 三菱の「最上級セダン」!? 斬新「ジェットファイターグリル」×めちゃ“和モダン”デザイン採用! 「ランエボ技術」も搭載の「ZT」とは何だったのか
くるまのニュース
スズキが量産型EV「eビターラ」初公開 来年夏に発売へ 180馬力の四駆モデルも設定
スズキが量産型EV「eビターラ」初公開 来年夏に発売へ 180馬力の四駆モデルも設定
AUTOCAR JAPAN
コンストラクターズタイトルを目指すマクラーレン「今後も最優先事項であり続ける」と代表が主張
コンストラクターズタイトルを目指すマクラーレン「今後も最優先事項であり続ける」と代表が主張
AUTOSPORT web

みんなのコメント

31件
  • NAS********
    キャンピングカーはいわばサスペンション付き屋台みたいなもの
    走行性能なんてあってないようなもの
    そんなのをレンタカーで借りて普通の車の感覚で運転すれば転がるのは当然
  • ディア
    車全体のバランスが悪く 頭でっかちで一度ロールすると止まらず横転する 足回りの安定性が損なわれる 全体的見ればわかります。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村