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「飛躍的」な進化を証明する ランドローバー・ディフェンダー アウディQ8 e-トロン キアEV9 3台比較(2)

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「飛躍的」な進化を証明する ランドローバー・ディフェンダー アウディQ8 e-トロン キアEV9 3台比較(2)

お高めの価格を裏付けるアウディの高級感

3台のリアシートへ目を向けると、3列シートを備えるのはキアEV9だけ。2列目は非常に広く、空間的な快適性ではライバル以上だ。しかもスライドでき、必要に応じて前方へ寄せて折りたためる。

【画像】プレミアムSUV ランドローバー・ディフェンダー アウディQ8 e-トロン キアEV9 写真で比較 全99枚

前列シートの上部に載る、独立したヘッドレストのデザインも良い。前方に突き出ていて、後ろに座ると圧迫感が少ない。

ランドローバー・ディフェンダーには、8シーターの130もラインナップされるが、プラグイン・ハイブリッドは設定されない。リアシートに座ると、天窓のおかげで明るく開放的。大きいサイドウインドウで、走行中の景色を楽しめる。

アウディQ8 e-トロンも、大人5名が問題なく長距離移動できる。他の2台のような、リビングルーム的なコンフォート感はなくても、内装の高級感はトップ。デジタル技術を好むなら、大きなタッチモニターが美点になる。シートの座り心地もベストだ。

既に登場から数年が経過し、Q8 e-トロンの新鮮味は薄れつつあるが、組み立て品質は高いまま。スイッチ類などはソリッドで、触感的にも特別感が漂う。お高めの価格を裏付けるように。

車内空間のゆとりや利便性では、EV9とディフェンダー 110が並ぶといえる。部分的には、前者の方が有利でもある。内装の高級感や知覚品質、素材選びという点では、Q8 e-トロンが2台を引き離している。

ドイツやスウェーデンの上級ブランドからEV9へ乗り換えを検討する人は、インテリアが期待値へ届いていないと感じるかも。もう少し、特別感があって良いだろう。

大きく重たいEV9が、より速く高効率

続いて、一般道での走り。高価な大型SUVにとって、重要視される部分だ。ロンドンの北、ノーサンプトンシャー州の郊外で乗り比べると、それぞれの強みが見えてきた。

車重を比較すると、19.2kWhの駆動用バッテリーを積むディフェンダー 110 P400eの方が、106kWhのQ8 e-トロン 55クワトロより重い。99.8kWhで全長が1番長いEV9の方が、さらに100kg以上も重い。

大きく重たいEV9が、Q8 e-トロンより速く、実環境でのエネルギー効率に優れているとしたら、きっと驚くだろう。まさに、筆者はその1人だった。

最高出力が383psと3台で最も低く、全長5015mmもあるEV9が、スペック表で0-100km/h加速5.3秒を主張するとおり、現実でも最も速い。2基の駆動用モーターはリニアに反応し、豊かなトルクを引き出しやすい。

8速ATを介する、プラグイン・ハイブリッドのディフェンダー 110のように、変速は不要。全力を解き放つため、2.0L直列4気筒エンジンの始動を待つ必要もない。

不思議なことに、2基の非同期モーターを積むQ8 e-トロンは、407psへ期待されるパワー感を得にくい。単体では不満なく速いものの、EV9並みの勢いは示さないようだ。

ドライビング体験で上回る英独の2台

ディフェンダー 110 P400eは優れたSUVながら、プラグイン・ハイブリッドがはらむ制約は小さくない。動力性能は充分以上で、22インチ・ホイールを選ばなければ、オンロードでのマナーも優れている。

だがバッテリーEVへのつなぎ役としては、及ばない部分が残されている。駆動用モーターの最高出力は143psで、2538kgのボディを60km/hで走らせるだけで精一杯。駆動用バッテリーの充電も、30kmほどで切れてしまう。

高価格帯のモデルらしく走るには、内燃エンジンと駆動用モーターが同時に機能する必要がある。駆動用バッテリーを使い果たすと、動力性能は明確に落ちてしまう。

だとしても、ディフェンダー 110のドライビング体験はEV9を上回る。Q8 e-トロンは、もっと良い。スチールコイル・サスペンションが支えるEV9の乗り心地は、上質さが乏しいのだ。

エアサスペンションを備える英独の2台は、それぞれ特性が異なるものの、路面の不整を効果的に均す。車内と隔離するように、ディフェンダー 110は穏やかに揺れを沈め、Q8 e-トロンはノイズや振動を一層なだめ込む。

EV9は、路面の凹凸で明確にボディが震える。ロードノイズは小さいが、乗り心地は落ち着きが乏しい。大きな不整を通過すると、リアアクスルが乱れる様子も伝わってくる。

その一方、EV9はエネルギー効率で巻き返す。冬場における実環境の電費は、3.7km/kWh対3.2km/kWhで、Q8 e-トロンより優勢。航続距離も386km対338kmと、小さくない差が出た。最大牽引重量では、ディフェンダー 110の2.5tに対し、3.0tで上回る。

ブランドの飛躍的な進化を証明する

かくして、記憶に残る見た目や、7シーターという実用性、インフォテインメント・システムの能力などを踏まえると、EV9が総合的に2台をリードするといっていい。

ディフェンダーのバッテリーEV版があったら、あるいは、準備できなかったBMW iXなどと比べていたら。EV9の内装や動的に劣る部分が、より明確に印象付けられていたかもしれない。

それでも今回は、大型SUVとしての技術的な完成度で、EV9が勝ることは否定できない。少し、腑に落ちない結果かもしれないが。

完全な勝利を収めたわけではない。クラスをリードする、7シーターの電動SUVをキアがリリースしたとまではいえない。しかし、欧州ブランドに伍する強みを複数備えた、優れたモデルが誕生したことは間違いないだろう。

ビッグネームへ挑むことを恐れないキアが、少なくとも幾つかの分野で、充分な競争力を示したことは明らかだ。EV9を通じて、ブランドの飛躍的な進化を証明することになったといえる。

アウディとキア、ランドローバーのSUV 3台のスペック

キアEV9 GTラインS(英国仕様)

英国価格:7万5995ポンド(約1413万円)
全長:5015mm
全幅:1980mm
全高:1780mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:5.3秒
航続距離:503km
電費:4.3km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2664kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
バッテリー:99.8kWh(実容量)
急速充電能力:−kW
最高出力:383ps
最大トルク:71.2kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

ランドローバー・ディフェンダー 110 P400e(英国仕様)

価格:9万1750ポンド(1706万円)
全長:4975mm
全幅:1995mm
全高:1970mm
最高速度:191km/h
0-100km/h加速:5.6秒
燃費:37.6km/L
CO2排出量:61g/km
車両重量:2538kg
パワートレイン:直列4気筒1997ccターボチャージャー+永久磁石モーター
使用燃料:ガソリン
バッテリー:19.2kWh
最高出力:403ps/5500rpm(システム総合)
最大トルク:65.1kg-m/1500-4400rpm(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

アウディQ8 eトロン 55クワトロ・フォアシュプルング(英国仕様)

英国価格:10万1345ポンド(約1885万円)
全長:4915mm
全幅:1937mm
全高:1633mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:5.6秒
航続距離:492km
電費:4.1km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:2510kg
パワートレイン:ツイン非同期モーター
駆動用バッテリー:106kWh
最高出力:407ps
最大トルク:67.6kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

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みんなのコメント

1件
  • まひろ
    御値段も重量も中々なもンだな、何処走るンだか知らンが。荒野に充電設備を期待は出来ないンだけど。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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