エンジン本体ノーマルで64馬力アップを達成!
イタリア発エイリアンテックのECUデータがK20Cを覚醒させる
「第二世代GT-Rの劣化したボディを蘇らせる匠の技術!」1台でも多くのGT-Rを救うために電着塗装まで取り入れた究極の再生法とは?
エンジン制御が緻密になり、純正ECUを介さなければ正常に機能しない最近のエンジン。シビックタイプRに搭載されるK20Cも同様で、書き込みツールを使ってどのような制御を行っているかを理解しなければECUチューニングは不可能とも言える時代となった。
ECUの改造ツールは海外が先行している。これは日本国内では純正ECUの中身をメーカーは公表していないからだ。ところが、EUのドイツやイタリアでは請求されればECUのデータを公表する決まりがあり、日本車と言えどもECU内のデータを見ることができる。そのため、改造ツールは海外メーカーが圧倒的に多いのである。
エイリアンテックもイタリアに本拠地を置くメーカーだ。日本では総代理店として鹿児島の富吉レーシングが契約。エイリアンテックジャパンを立ち上げ、その関東サービスに在籍するのが、レーシングエンジンの製作やチューニングパーツの開発に古くから携わってきた渡邊さんだ。
ここで紹介するシビックタイプRは、そんなエイリアンテック関東サービスのデモカーとなる。FK8用のECUデータは全5タイプ。このデモカーにインストールされるのは『ステージ3』というブーストアップ仕様だ。
本来はエアフロセンサーと圧力センサーを併用する制御を採用するが、吸気系チューンが施された車両ではトラブルを起こしやすいため、エアフロ制御をキャンセルし、圧力センサーのみで制御をするデータとなる。なお、最高出力はダイナパック計測で384ps/56.2kgmを達成。ノーマルが320psのため、64psものパワーアップを果たしているわけだ。
インタークーラーはHKS製に変更。吸入温度を引き下げることによって、点火時期の正常化やノッキングポイントを引き上げることが可能。エンジンやタービンの能力を使いきれるようなECUチューンを行える。限界値を高めるなら投入したいアイテムだ。
ターボの排圧を下げるために、フロントパイプ&マフラーもHKS製を装着。高いブースト圧を維持し、タービン負担を軽減することで高回転までブーストの制御が的確に行えるようになる。
足回りは、前後ともにRS-Rのローダウンサスとクスコの強化スタビライザーで車高を落としたセットアップ。電子制御ダンパーを活かすためのセレクトだ。
ホイールはウェッズスポーツRN55(9.5J×18+45)で、タイヤにはアドバンネオバAD08Rをセット。機械式LSDは組み込まれていない。
このチューンドを筑波サーキットで走らせた佐々木雅弘選手は「ストレートはとにかく速い。FK8レーシングカーのTCR仕様よりも圧倒的な速さがあるし、シフトアップ時のピックアップも良い。ただし、パワーに足が負けている。コーナーの立ち上がりで踏むと、アンダーで進んでいかないんだよ。このパワーを路面に伝えて前に走らせることができれば、すぐにタイムアップはできると思う」と評価。
気になるタイムは1分04秒894。エンジン以外のチューニングを考えると、仕様は完全にユーザー目線のストリートスペック。それでこのタイムは十分すぎると言える。K20Cを覚醒させるエイリアンテックのECUチューニング、恐るべしだ。
●取材協力:エイリアンテック・ジャパン TEL:0996-63-0783/関東サービス(コルトスピード内) TEL:046-220-5610
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