2022年には、ヴォクシー&ノア、ステップワゴン、セレナというミニバンの3車種がフルモデルチェンジ。このうちヴォクシー&ノアは、1月13日に新型が発売された。
現時点で注目されるのは新型ステップワゴンだろう。2021年12月10日にホンダのホームページでティザーキャンペーンが開始され、2022年1月7日には、もう少し詳しい情報が公開された。2月5日になると販売店では価格も明らかとなり、2月10日頃から予約受注も開始されている。
燃費・装備・価格から決定! 新型ステップワゴンのお勧めグレード 納期を完全詳報!
3月中旬にはボディサイズや燃費、主要諸元も公開。今後は、5月26日に正式発表され、詳しいデータがホンダのホームページなどで公開されることになる。
現時点でも販売店では大半のデータが公開されているが、それらが正式なものになるわけだ。5月27日には納車を伴う発売になる。販売店では「試乗車などが配置されるのは、5月下旬以降」としている。
そこで、公開された燃費や装備、価格などから買い得グレードはどのグレードか? そして納期は現在どうなっているのか? 新型ステップワゴンの購入ガイドをお届けしたい。
文/渡辺陽一郎、写真/ホンダ、奥隅圭之
■明らかになった新型ステップワゴンの新情報を網羅!
新型ステップワゴンの標準グレードとなる「エア」
■今後のスケジュール
・発表日:2022年5月26日/発売日:2022年5月27日
・予約受注の開始:2022年2月10日頃
■新型ステップワゴンの価格(2WDのみ)※販売店調べ
●1.5Lターボ/エア
・7人乗り:299万8600円
・8人乗り:302万600円
●1.5Lターボ/スパーダ
・7人乗り:325万7100円
・8人乗り:327万9100円
●1.5Lターボ/スパーダ・プレミアムライン
・7人乗り:346万2800円
●e:HEV(2Lハイブリッド)/エア
・7人乗り:338万2500円
・8人乗り:340万4500円
●e:HEV/スパーダ
・7人乗り:364万1000円
・8人乗り:366万3000円
●e:HEV/スパーダ・プレミアムライン
・7人乗り:384万6700円
■新型ステップワゴンの主要諸元 ※(内はトヨタ ノアの数値)
・全長:エア 4800mm/スパーダ 4830mm(4695mm)
・全幅:1750mm(1730mm)
・全高:1840~1855mm(1895~1925mm)
・最低地上高:145~150mm(125~140mm)
・室内長:2845mm(2805mm)
・室内幅:1545mm(1470mm)
・室内高:1425mm(1405mm)
・ホイールベース:2890mm(2850mm)
・最小回転半径:エア&スパーダ 5.4m/スパーダ・プレミアムライン:5.7m(5.5m)
・ガソリン1.5L、直4VTECターボ:150ps/5500rpm、203Nm/1600~5000rpm
・e:HEV:2L、直4i-VTEC(145ps/6200rpm、175Nm/3500rpm)+モーター(184ps/5000~6000rpm、315Nm/0~2000rpm)
※ノアはガソリン車(2WD)が2L、直4(170ps/20.6kgm)、1.8Lハイブリッド車(2WD)は98ps/142Nm+フロントモーター(95ps/185Nm)
■新型ステップワゴンのWLTCモード燃費
●1.5Lターボ
・エア……2WD:13.9km/L 4WD :13.3km/L
・スパーダ……2WD:13.7km/L 4WD :13.1km/L
・スパーダ・プレミアムライン……2WD:13.2km/L 4WD :13.1km/L
※ノアのガソリン車(2WD)は15.0~15.1km/L
●e:HEV(2WDのみ)
・エア……2WD:20km/L
・スパーダ……2WD:19.6km/L
・スパーダ・プレミアムライン……2WD:19.5km/L
※ノアのハイブリッド車は23.0~23.4km/L
新型ステップワゴンの納期は「2022年3月下旬に契約した場合で6~8月頃」だという。つまり納期は3~5か月だ。販売店は「ターボよりもe:HEV(ハイブリッド)の納期が少し長い」とコメントした。
ちなみにライバル車となるヴォクシー&ノアの納期は、ノアのノーマルエンジンが4か月で、ハイブリッドは8か月だ。
ヴォクシーはさらに1か月長く、両車とも安全装備のオプション装着の仕方によって2か月ほど伸びるという。
つまりヴォクシーの納期は最長で11か月だから、約1年に達する。これに比べると新型ステップワゴンの納期は、前述の通り3~5か月と短い。そこで新型ステップワゴンの推奨グレードを考えてみたい。
まずバリエーション構成は、パワーユニットが直列4気筒1.5Lターボと、2Lエンジンをベースにしたハイブリッドのe:HEVに分けられる。駆動方式は、ターボには前輪駆動の2WDと4WDがあり、e:HEVは2WDのみだ。
グレードは、従来の標準ボディに相当する外観が馴染みやすいデザインのエア、リアスポイラーなどを装着して精悍さや上質感を高めたスパーダ、装備をさらに充実させたスパーダ・プレミアムラインの3種類になる。
■新型ステップワゴンの売れ筋グレードは?
新型ステップワゴンの売れ筋No.1はエアログレードのスパーダだという
ホンダの販売店に売れ筋グレードを尋ねてみると、「1位はスパーダ、2位は最上級のプレミアムライン、3位はエア」との返答だった。
この販売順序には、各グレードの装備内容も影響を与えている。
「エア」は装備がシンプルで、後方の並走車両を検知して知らせる安全装備のブラインドスポットインフォメーション、合成皮革を使った上級シート表皮、2列目シートのオットマン(7人乗りに装着される足を支える機能)、電動開閉式リアゲートなどをオプションでも装着できない。
エア(e:HEVモデル)のインテリア。明るい雰囲気は魅力的だが…
販売店も「エアは装備が簡素だから、大半のお客様がスパーダにグレードアップする」という。
これは新型ステップワゴンが抱える重大な矛盾点だ。
新型ステップワゴンは「ミニバンを購入するお客様の70%は、存在感の強いオラオラ系の外観を好む」としながら、残りの30%をねらってフロントマスクなどをシンプルに仕上げた。
その目的は、ライバル車となるヴォクシー&ノアとの真っ向勝負を避けることだ。ヴォクシー&ノアの外観は、存在感の強いオラオラ系だから、新型ステップワゴンはシンプルな路線を選んだ。
このコンセプトに基づけば、新型ステップワゴンでは、外観が馴染みやすいエアこそが主力グレードになる。そこに共感を得たユーザーが購入を考えた時、肝心のエアで必要な安全装備を装着できなかったら、購入を諦めることも考えられる。
また「装備を充実させるために、中途半端なステップワゴンのスパーダを買うなら、精悍なカッコ良さを突き詰めたノアやヴォクシーのエアロ仕様を選ぶ」という判断も成り立つだろう。
■新型ステップワゴンの装備 ※販売店調べ
●エア
・ホンダセンシング
・後方誤発進抑制機能
・近距離衝突軽減ブレーキ
・トラフィックジャムアシスト
・フルLEDヘッドランプ
・オートハイビーム
・両側スライドドアの電動機能
・16インチアルミホイール
など
●スパーダ ※エアの装備に加えて
・ブラインドスポットインフォメーション
・パワー(電動開閉式)テールゲート
・2列目シートのオットマン(7人乗りのみ)
・運転席&助手席シートヒーター
・トリプルゾーンエアコン
・コンビシート
・パドルシフト(1.5Lターボ)
など
●スパーダ・プレミアムライン ※スパーダの装備に加えて
・アダプティブドライビングビーム
・2列目シートヒーター
・17インチアルミホイール
・プレミアム専用シート&インテリア
・マルチビューカメラシステム
など
●オプション
・マルチビューカメラシステム:8万8000円
など
■「ターボ」か「e:HEV」どちらを選択すべき?
ちなみにノアの標準ボディには、X/G/Zという3グレードが用意され、最上級のZを選べば、価格が最も高いエアロ仕様のS-Zと同等の装備を得られる。
オラオラ系とされるノアでも、標準ボディを充実させたのだから、ステップワゴンが「エア」に力を入れる必要があるのは当然だ。
この矛盾点を踏まえたうえで、ステップワゴンのグレード選びを考えたい。
最初に行うべきは、ターボとe:HEVの選択だ。e:HEVのWLTCモード燃費は、売れ筋のスパーダで見ると19.6km/Lだ。先代型は20km/Lだったから、数値が若干悪化した。それでも実用燃費は向上している可能性がある。
1.5Lターボを搭載するスパーダ2WDのWLTCモード燃費は13.7km/Lだ。先代型は13.6km/Lだから、ターボの数値は少し良くなった。
そしてスパーダ(7人乗り/2WD)の価格は、ターボが325万7100円、e:HEVは364万1000円だから後者が38万3900円高い。ただしe:HEVは購入時に納める環境性能割と自動車重量税が非課税だから、税額は約13万円安い。
この金額を価格差の38万3900円から差し引いた約25万円が実質価格差だ。
そこでレギュラーガソリン価格が1L当たり160円とすれば(今の170円を上まわる価格は高すぎる)、ターボの1km当たりのガソリン代は11.7円、e:HEVは8.2円になる。e:HEVは1km当たり3.5円安い。
そうなると7万km少々を走れば、ガソリン代の節約により、約25万円の実質価格差を取り戻せる。
ヴォクシー&ノアハイブリッドの6万kmに比べると少し長いが、同様の計算を行って、実質価格差を取り戻せる距離が10万kmを軽く超えるハイブリッド車も多い。
新型ステップワゴンは短い部類に入り、e:HEVが割安と判断される。
そしてe:HEVでは、エンジンは主に発電機を作動させ、発電された電気を使ってモーターがホイールを駆動する。そのために電気自動車と同じく加速が滑らかだ。
モーターは瞬発力が強く、動力性能にも余裕が生まれる。燃費に加えて加速力や走りの質も向上するので、e:HEVを推奨したい。
注意したいのは4WDを選ぶ時だ。
e:HEVの駆動方式は2WDのみだから、4WDが欲しいユーザーは、必然的にターボを選ぶ。今のホンダはe:HEVの4WDに力を入れているから、今後ステップワゴンe:HEVにも追加される可能性がある。
e:HEVの選択が決まったら、次はグレードを決める。
前述の通りエアはリラックスできる雰囲気が魅力で、新型ステップワゴンを象徴するグレードだが、ブラインドスポットインフォメーション、2列目シートのオットマン(7人乗り)、電動開閉式リアゲートなどをオプションでも装着できない。
特にブラインドスポットインフォメーションは、車線変更時の事故防止に有効だから、なるべく装着したい。
e:HEVエアの価格は338万2500円(7人乗り)と割安だが、必要な安全装備を装着できないため、推奨グレードになり得ない。
ブラインドスポットインフォメーションは、なるべく早くメーカーオプションとして、エアにも設定すべきだ。
■新型ステップワゴンの最もお勧めしたいグレードは?
ベストバイとなるスパーダのe:HEVモデル
そうなると最もお勧めしたいグレードは、「e:HEVスパーダ」になる。価格は先に挙げた364万1000円だ。
e:HEVスパーダの価格は、e:HEVエアに比べて25万8500円高いが、ブラインドスポットインフォメーション、上級シート表皮、2列目シートのオットマン(7人乗り)、電動リアゲートなどを標準装着する。
2列目キャプテンシートにオットマンを設定。スパーダ、スパーダプレミアムラインに標準装備
ピタっと止まるよう、開度を記憶できる「パワーテールゲート」。開閉操作は手動またはスマートキーから。後方に障害物がある場合などでは、任意の位置に止めることもできる。スパーダ、スパーダプレミアムラインに標準装備
リアスポイラーなどの外装パーツも充実するので、約26万円の価格差に見合う装備が加わる。従って推奨度が最も高いグレードは、e:HEVスパーダになるわけだ。
そして最上級のe:HEVスパーダ・プレミアムラインは、ハイビーム状態を保ちながら対向車などの眩惑を防ぐアダプティブドライビングビーム、2列目シートのヒーター、エアやスパーダに8万8000円でオプション設定されるマルチビューカメラシステムなどを標準装着した。
さらにシート表皮がスエード調レザー&合成皮革のプライムスムースに上級化され、アルミホイールのサイズもエアとスパーダは16インチだが、スパーダ・プレミアムラインは17インチに拡大される。
これらを備えたe:HEVスパーダ・プレミアムラインの価格は384万6700円で、e:HEVスパーダに比べて20万5700円高い。
装備や内装の違いを価格に換算すると合計23万円に相当するから、内容が気に入ったユーザーにとっては、e:HEVスパーダ・プレミアムラインも買い得だ。
以上のようにステップワゴンを購入するなら、e:HEVのスパーダか、スパーダ・プレミアムラインを推奨したい。ライバル車は、ヴォクシーであればハイブリッドS-G(344万円)あるいはハイブリッドS-Z(374万円)だ。
セレナならe-POWERハイウェイスターV(358万2700円)か、e-POWERハイウェイスターG(380万9300円)になる。
これらのミドルサイズミニバンは、競争が激しいので、装備と価格のバランスもほぼ横並びだ。比較して選ぶと良いだろう。
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みんなのコメント
外観はエアー、中身はスパーダを求めてるのは俺だけか?
これは最近の安全装備の中では一番使える。