数10万kmは耐える2JZ型ユニット
4代目トヨタ・スープラに載る直列6気筒エンジン、2JZ型ユニットは基本的に堅牢。適切なメンテナンスを怠らず、過度なチューニングをしていなければ、数10万kmは耐える。包括的に点検整備を受けてきているか、記録を確かめたいところ。
【画像】英国仕様は330ps! トヨタ・スープラ 同時期の3000GTと300ZX 最新スープラにGR86も 全110枚
試乗時は、走行中やアクセルオフ時に排気ガスが過度に濁らないか目視する。黒煙が出る場合は、ターボチャージャーの不調が疑われる。
1基目のターボが機能していないと、4000rpm以下でブースト圧が上昇しない。2基目のターボの場合は、4000rpmで1度ブースト圧が落ちる。その後、再び徐々に圧力は高まるはず。
ブースト圧の不全が、必ずしもターボ自体の故障とは限らない。アクチュエーターの不調という可能性も疑われる。
英国仕様には、排気ガス再循環装置が装備されている。基本的には、エンジンを好調に保つうえで好ましい装備とはいえず、過去のオーナーによって取り外されている場合が殆どのようだ。
ノーマル状態のスープラは非常に数が少なく、改造された部分はその内容を確かめたい。純正状態に近い日本仕様のツインターボに過度なハイフローマフラーを組むと、ブースト圧が25psi以上へ上昇し、エンジンブローを誘発する場合がある。
排気触媒が外された例も存在するが、英国でも車検には通らない。事故でシャシーに被害が及んでいる場合もある。どこが純正状態でどこが改造後なのか、徹底的に調べたい。
低域トルク重視の日本仕様 英国の正規車は673台
1995年式以前の日本仕様では、フロントが2ポッド、リアが1ポッドのブレーキキャリパーが組まれている。後期の大径ブレーキへ交換可能だが、アルミホイールも17インチへサイズアップする必要がある。
英国仕様のブレーキは、初めからフロントが4ポッドで、リアが2ポッドキャリパー。性能は高く、高速域からのフルブレーキングを何度も繰り返せる余裕がある。
また日本仕様には小型のセラミックターボが組まれ、低域トルク重視。公道の速度域では扱いやすい。インジェクターやカム、ECUの設定も英国仕様と異なる。180km/hでリミッターが作動するが、簡単にカット可能なようだ。
ローダウンされた例も多い。もちろん、硬いサスペンションは乗り心地が犠牲になるのと同時に、ボディシェルにも負荷がかかる。
4代目スープラの生産数は、初年度から1994年までは多かったが、その後は鈍化。海外仕様の生産は1998年に終了する一方、日本国内向けには2002年まで続いた。総生産数の7割は日本市場向けで、55%を自然吸気エンジンが占めている。
英国へ正規輸入されたA80型は、673台。レッドやダークブルー、シルバー、ホワイト、ブラックと塗装は多彩で、レザーシートはブラックだけでなくベージュも選べた。日本仕様の場合、さらに選択肢は広かった。タルガトップのオプションもあったほど。
購入時に気をつけたいポイント
ボディ
サイドスカート裏側のサイドシル、リアのフェンダーアーチ、リアサブフレームとサブフレーム・マウント、荷室の床面フロア、テールゲートのガラス周辺、シートベルト・マウント付近が錆びやすい。リア・サスペンションアームとブレーキパイプも同様。
ラジエターサポートに燃料タンクカバー、燃料パイプの状態も確かめたい。
エンジン
2JZ型の直列6気筒エンジンは、基本メンテナンスを怠らなければ30万km程度はオーバーホールなしで軽く耐える。ターボチャージャーから僅かに高い回転音が聞こえ、ブースト圧が上昇するか確かめる。
タイミングベルトは、8万kmか5年毎の交換が推奨されている。ウオーターポンプも含めて、履歴を確かめたい。ミスファイアは、点火コイルパックの不調を疑う。エンジンオイル漏れは珍しくない。
ラジエターの腐食や、リザーバータンクからの漏れがないか調べる。ラジエタークーラントが白く乳化しているなら、ヘッドガスケットの劣化が原因だろう。エンジンマウントの状態もチェックポイント。
内装と電気系統
パワーシートの動きや、エアコンが正常か確かめる。ダッシュボードの警告灯と、トラクション・コントロールの動作も試乗で確認したい。英国仕様のレザーシートは、簡単に修理できる。日本仕様のトリムグレードは、英国仕様より幅広い。
サスペンションとブレーキ、ステアリング
ダンパーとサブフレーム・マウント、トランスミッションとデフのマウント、サスペンション・ブッシュの状態を確認する。パワーステアリング・ラックからのフルード漏れも調べる。
ハンドブレーキ・ケーブルは腐食しがち。キャリパーの固着は想定の範囲。タイヤの偏摩耗がないかも目視する。
トランスミッション
マニュアルの場合は、試乗で滑らかに変速できるか確かめる。シンクロメッシュの調子が悪いと、引っ掛かりが生じがち。クラッチの滑り、フライホイールの異音がないかも確かめる。オートマティックでは、スムーズに変速できるか確認する。
トランスミッション・フルードは、激しく運転することも考慮し、2万5000km程度で交換した方が安心。ドライブシャフト・ジョイントの摩耗にも注意したい。
トヨタ・スープラ(A80型)のまとめ
4代目トヨタ・スープラは、世界的に需要が大きい。オリジナル状態は、極めて入手が難しいと考えていいだろう。現在は、高値ながらある程度落ち着いているが、更に上昇する可能性は高い。欲しいと思ったら、早めに行動した方がベターだ。
購入後は過去の整備記録を遡りつつ、徹底的に状態を確かめ、必要な整備を施したい。相当ハードに乗られてきた例も多いといえる。
良いトコロ
映画の影響で、ストリートのアイコンと化した高性能クーペ。エンジンは堅牢で、純正部品も改造部品も入手はしやすく、英国にも得意とするショップは多い。
良くないトコロ
多くは改造され、中には残念な状態のものも。事故歴を持つスープラも珍しくない。過去の整備状態によっては、購入後の不調に悩まされる可能性はある。
トヨタ・スープラ(A80型/1993~2003年/英国仕様)のスペック
英国価格:3万8989ポンド(1994年時)
生産数:4万5230台
全長:4514mm
全幅:1810mm
全高:1275mm
最高速度:251-289km/h
0-97km/h加速:5.1秒
燃費:3.5-10.6km/L
CO2排出量:−
車両重量:1549kg
パワートレイン:直列6気筒2997cc ツイン・ターボチャージャー DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:330ps/5600rpm
最大トルク:44.8kg-m/4800rpm
ギアボックス:6速マニュアル/4速オートマティック(後輪駆動)
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みんなのコメント
なぜ100㎞/ℏじゃないんだろう?