ベントレーが発表したサステナブルな取り組み「ケルプの森保護プロジェクト」「レザーナチュラリー加盟」とは？

ベントレーは、ビヨンド100戦略の一環として2023年に設立したベントレー環境財団が、カリフォルニア沿岸で行われる大規模な環境保護プロジェクトの一環である、ケルプの森保護プロジェクトへ資金提供を行い、支援することを発表した。同時に、サステナブルなレザーの業界を代表する国際団体レザーナチュラリーに加盟したことも発表した。なお、自動車メーカーとしてレザーナチュラリーに加盟したのはベントレーが初となる。

※ビヨンド100戦略とは、商品ラインナップの段階的な電動化を進め、2030年までにすべてのモデルを電気自動車（EV）とするベントレーの事業戦略

カリフォルニア沿岸とベンテイガ

ケルプの森保護プロジェクトについて

今回のケルプの森保護プロジェクトへの支援は、カリフォルニアで開催したモントレーカーウィークのぺブルビーチディナー中に発表され、プロジェクトの取り組みが紹介された。

ペブルビーチ

このケルプは、大気と海の両方から二酸化炭素を吸収し、また多くの海洋生物の生息地となっている。さらに、沿岸地域の保護にも役立ち、地域の文化や観光などのレクリエーション場所を守るためにも重要な役割を果たす。しかし、カリフォルニアでは気候変動により90％以上のケルプが失われている。

これは、ケルプを食べるムラサキウニの増加と、ムラサキウニを捕食するサンフラワースターの減少によってさらに悪化。ケルプを保護するため同プロジェクトでは、サンフラワースターを人工栽培し、海へ放つことで、ムラサキウニの数を減少させ海の生態系を保つ。今後、3つの主要な場所でケルプの森を再生し、状態を見守りながら保護する。

モントレーカーウィーク ペブルビーチディナー開催の様子

また、同プロジェクトは、ベントレー環境財団の設立パートナーであるシーツリーズによって推進している。シーツリーズは、リーフチェックカリフォルニアとサンフラワースターラボラトリーが共同でサポートし、この活動をより多くの人へ広め、同じような環境への取り組みを実施できるよう促進していく。

さらに、同プロジェクトは、カーボンニュートラルの未来に向けた第一歩となる。ベントレー環境財団は、カリフォルニアのNPOサステナブルサーフ（シーツリーズの運営元）とも提携しており、海洋環境の再生にも取り組んでいる。ケニアでのプロジェクトでは、100万本のマングローブの植樹が行われ、ポルトガルとスペインでも海草やケルプの再生プロジェクトを推進している。

シーツリーズ マイケル・スチュワート氏（写真左）とベントレーモーターズ ウェイン・ブルース氏（写真右）

■ベントレー環境財団 広報・DEI担当最高責任者 ウェイン・ブルース氏のコメント

ベントレーは、革新的な環境保護への取り組みと、問題を解決することに注力しています。シーツリーズや、他の先進的な組織と提携することで、未来のために地球を守り、再生していく長期的な取り組みを実現してまいります。今回の支援はこの取り組みを裏付けるものでもあり、今後も世界で重要なブルーカーボン生態系の保護と改善に貢献いたします。この取り組みは、私たちのビヨンド100戦略と地球環境を守るため継続的に取り組んでいくことを提示し、財団は環境改善を進める重要な役割を果たしています。

■シーツリーズ 共同創設者・ディレクター マイケル・スチュワート氏のコメント

ベントレー環境財団との提携は、カリフォルニアでのケルプ再生活動にとって大きな変革をもたらします。ベントレーからの資金提供と支援により、ケルプの森が直面している危機に対して、多面的なアプローチをすることが可能となりました。彼らの支援は、海洋生息地の再生を助けるだけでなく、気候変動の問題にも対応し、海を守るための革新的な協力です。

レザーナチュラリー加盟について

シートに使用するレザーの加工の様子

ベントレーは、サステナブルなレザー業界を代表する国際団体（NGO）レザーナチュラリーに、初の自動車メーカーとして加盟した。このレザーナチュラリーは、環境に配慮して調達し認定されたレザーを、循環経済の一部として使うことを推進している。今回の加盟は、ベントレーにとって新しい環境への取り組みであり、ビヨンド100戦略の一環でもある。

2021年には、ベントレーがレザーワーキンググループに加盟した初の自動車メーカーとなり、レザー業界のビジネス慣行と環境への配慮を進めてきた。今後は、サステナブルなラグジュアリー自動車メーカーのグローバルリーダーとなり、継続的に取り組んでいくとしている。

シートに使われるレザーを手縫いする様子

そして2021年にレザーワーキンググループに加盟してからベントレーが導入したのは、サステナブルなレザーのオプションとなる。このレザーは、オリーブオイル業界のオーガニックな副産物を使い、環境に配慮したタンニングプロセス（レザーを加工し耐久性を持たせるためのプロセス）で作られている。オリーブオイルを作る工程で生じる廃水を利用して加工されたこのレザーは、有害な重金属や鉱物、アルデヒドを含まない鞣し剤で処理されている。

レザーを使用した内装デザイン

レザーのシート

なお、レザーナチュラリーは、幅広い業界からのグローバルなメンバーで構成されている。今後も、食品業界の副産物である皮革を使用したレザーに焦点を当てた教育・広報活動を行い、環境や社会に配慮した循環経済を支援していくとしている。

コンチネンタルGT

■ベントレーモーターズ レザーおよびカラー開発担当テクニカルエキスパート マーク・スタング氏のコメント

レザーは時代を超越した高級素材であり、ベントレーの手作りの内装の優雅さ、耐久性、品質を体現しています。数十年にわたり私たちの車に使われてきた豊かな歴史があり、常に時代の試練を乗り越えてきました。最新のサステナブルなレザーを導入することで、さらに多くの選択肢をお客様に提供し、業界をリードするビヨンド100戦略をさらにサポートします。

■レザーナチュラリー 会長 デビー・バートン氏のコメント

レザーナチュラリーは、ベントレーをメンバーとして迎え入れることができ、大変嬉しく思っています。使用するレザーにも配慮し、サステナブルでラグジュアリーなオートモーティブライフスタイルブランドとしても知られるベントレーとパートナーシップを組んだことは、サステナビリティの推進とビヨンド100戦略による継続的な環境改善への取り組みを明確に示しています。

関連情報
https://www.bentleymotors.jp/

構成／土屋嘉久