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庶民車になる? 時代が求める「自動運転と電動車」 需要は「安価&利便性」 ニーズと真逆の訳

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庶民車になる? 時代が求める「自動運転と電動車」 需要は「安価&利便性」 ニーズと真逆の訳

■過熱する報道が生む、一般ユーザーと専門家の壁

 自動運転車や電動車は昨今の自動車業界のトレンドといえます。
 
 ここでいう「トレンド」とは、単なる一過性のブームとは異なり、メーカーや地域による温度差はあれど業界全体がひとつの方向に向かっているということを意味しています。

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 振り返ってみると、「自動運転」というキーワードが一般に浸透してきたのは、2015年前後だったといえます。

 モーターショーなどで各メーカーがコンセプトカーとして自動運転車を発表したり、テスラのような新興メーカーが手放し運転できる様子をアピールしたりしたことで、一般認知が進みました。

 近年では、日産やBMWが日本国内でも一定条件のもとで手放し運転できるモデルを提供しているほか、2020年11月にはホンダが世界で初めてレベル3の自動運転を可能とする新型「レジェンド」の型式認証を取得したことが話題となりました。

「電動車」(EV、HV、PHEV、FCV)のなかで、HV(ハイブリッド車)についてはトヨタの2代目「プリウス」が登場した2005年頃には「燃費の良いクルマ」の代名詞として、すでに一般化していたとえます。

 また、電動車の象徴であるEVについては2009年に電気自動車である三菱「i-MiEV」、2010年に日産「リーフ」が国内販売を開始したことで、広く一般に認知されました。

 さらに、2020年12月には日本政府や東京都が「2030年から2035年をめどに、純ガソリン車の新車販売を規制する」、つまり電動車しか新車販売できないようにするという政策を検討していることが報道され、その関心はピークに達しています。

 自動運転車も電動車も、日本語としては決して難しくないものであることから、これらの言葉を聞いて、まったくイメージがつかないという人は少ないでしょう。

 一方で、自動運転におけるレベル0からレベル5の違いや、電動車におけるBEV(バッテリーEV)やPHEV(プラグインハイブリッド)、あるいはマイルドハイブリッドとストロングハイブリッドの違いについて詳しく理解している人はそれほど多くないかもしれません。

 センセーショナルな部分だけが切り取られて報道した結果、一般ユーザーと専門家の理解に大きな壁ができてしまうことは、どの世界でも起こりうることです。しかし、とくに自動運転車と電動車については、その傾向が強いように思われます。

■「ユーザーは求めてない?」 それでもメーカーが開発を進める意図とは

 ここである疑問が生じます。果たして、自動運転車や電動車は一般ユーザーが本当に求めているものなのでしょうか。

 確かに、まったくハンドルを握ることなく目的地にたどり着いてくれるクルマや、有害物質を含んだ排気ガスを一切出さないクルマが、現実的な価格で提供されれば、ユーザーは間違いなくこれらのクルマを求めるでしょう。

 ただ、現実的にいえば、まったくハンドルを握らずに運転できるクルマはほとんど存在せず、電動車(とくにEV)も航続距離や価格面でまだまだ従来型の内燃機関車にはおよびません。

 もちろん、「アーリーアダプター」と呼ばれる、いわゆる新しもの好きのユーザーや、特定の用途に限ってクルマを利用するユーザーであれば、自動運転車や電動車(EV)は、現時点でも一定のニーズがあるといえるかもしれません。一方で、従来型のクルマを求めるユーザーが少なくないのも事実です。

 顕著な例でいえば、機能が増えたり新しい機構が備わったりすることによる車体価格の上昇は、ユーザーへダイレクトに影響します。

 かつて200万円あればかなりの選択肢があったものですが、現在では軽自動車やコンパクトカーのなかでもごく一部のモデルしか買えません。

 インフレなどの影響もあるといわれますが、もっとも大きな要因は、エアバッグや衝突被害軽減ブレーキ(通称:自動ブレーキ)などが標準装備となったり、安全基準が厳格化されたことで車体コストが増したことなどが挙げられます。

 もちろん、こうした流れによるメリットも少なくありませんが、クルマを日常の足として活用する地方部などでは、最先端の機能が満載のクルマよりも、最低限の機能でかまわないので安価なほうが良いというユーザーも少なくないでしょう。

 このように考えると、自動運転車も電動車も、いま現在ユーザーが求めているクルマであるとは必ずしもいえないかもしれません。

 では、なぜ自動車メーカーは、自動運転車や電動車に注力するのでしょうか。

 自動運転車と電動車で細かな事情は異なりますが、どちらも共通していえるのが、潜在的にユーザーが求めているものといえ、言葉を換えれば、未来のユーザーが求めているクルマであるからでしょう。

 前述のまったくハンドルを握ることなく目的地にたどり着いてくれるクルマや、有害物質を含んだ排気ガスを一切出さないクルマが、現実的な価格で提供されれば、大多数のユーザーは間違いなくそれを求めることでしょう。

 当然、そこに達するまでは長い道のりを要します。しかし、そうした道のりがなければ、目標には到達できません。

 もうひとついえるのは、自動車メーカーは顕在化したニーズのみならず、潜在化したニーズを掘り起こす必要があるからです。

 1997年に初代プリウスが発売された時点で、「ハイブリッドカー」という顕在化したニーズがあったとはいえません。

 しかし、その後ハイブリッドが自動車業界のトレンドとなり、先行者となったトヨタは一躍世界最大級の自動車メーカーへと登りつめました。

 数十年単位で見れば、自動運転車も電動車も現在より確実に進化することは間違いありません。

 そうした未来が現実となった際、業界をリードするためには、いまから動き出しておく必要があるのです。

※ ※ ※

 自動運転車や電動車は、「現時点のユーザー」が本当に求めているものではないかもしれません。

 しかし、「未来のユーザー」が求めるであろうことは疑いようがないのも事実です。自動車メーカーはそうした未来を見据える必要があるといえます。

 もちろん、「現時点のユーザー」が無視されているわけではありません。

 各メーカーからは依然として内燃機関車も多く販売されているほか、自動運転機能もオプションで選択できる場合がほとんどです。

 メディアの報道から垣間見える「今後のトレンド」と、いま現在のユーザーニーズとは乖離があることが少なくありません。

 センセーショナルな部分だけに踊らされることなく、どの時間軸での話なのかをしっかりと見極める必要があるといえます。

文:くるまのニュース PeacockBlue K.K. 瓜生洋明
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みんなのコメント

18件
  • ごく近い将来、既存車企業ではない中国あたりの企業に安価なEV車をだされて、一気に市場を奪われますよ。
    家電みたいにね。
    高価な自動運転車なんて、誰も望んでないわ。
  • 再び高嶺の花、贅沢品になるでしょうね。
    車両価格は高騰する反面、収入は減る一方。
    新たな税の追加(揮発油税減)で負担増。
    充電設備工事で負担増+電気料金増。
    充電の為の時間ロス(収入減)、整備料金増。
    更に部品減で下請け倒産、連鎖で製油所閉鎖、原油輸出国存続危機。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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