現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【モンスターマシンに昂ぶる・特別編】「猛虎(タイガー)」戦車伝説を現代に継ぐ「豹(レオパルト)」戦車

ここから本文です

【モンスターマシンに昂ぶる・特別編】「猛虎(タイガー)」戦車伝説を現代に継ぐ「豹(レオパルト)」戦車

掲載 2
【モンスターマシンに昂ぶる・特別編】「猛虎(タイガー)」戦車伝説を現代に継ぐ「豹(レオパルト)」戦車

かつてWebモーターマガジンで人気を博した連載「モンスターマシンに昂ぶる」。その特別編として、昨今、いわゆる西側/自由主義陣営の陸軍で最も認知度と評価が高い、ドイツのMBT(Maine Battle Tank)/レオパルト2を紹介しよう。

戦車の名門ドイツが21世紀に向けて開発したレオパルト2
以前に紹介したように、第二次世界大戦(WW2)後の最強戦車と称され実績があるのは、アメリカ陸軍のM1 エイブラムスだ。しかし、エイブラムスは動力装置が一般的なディーゼルエンジンでなくガスタービン式と特異なため、燃費やパーツの互換性、メンテナンスに高度な特殊性が求められることから「国際標準」にはなりえない戦車だった。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

経済力が高い西側諸国でも、自力で戦車を開発できる国は少ない。その中で突出した開発・製造力があるのはWW2で旧ソ連と苛烈な戦車戦を繰り広げたドイツだった。戦車の名門ドイツが21世紀に向けて開発したのがレオパルト2(以下、レオ2)なのだ。

現代の主力兵器はWW2以降から数えて何世代という分類をする。レオ2は第3~3.5世代MBTと呼ばれる。世代が違うと「勝負にならない」と考えてもらって間違いない。レオ2は、先代レオパルト1(以下、レオ1)シリーズ(生産は1965~75年頃)の後継として1979年に量産配備され、2023年現在も最新MBTだ。

当初の特徴は何と言っても、旧ドイツ陸軍が誇ったタイガー I 戦車を彷彿させる巨体と重厚な垂直装甲にある。先代レオ1に代表される第2世代戦車までの車体は、WW2後期から踏襲された避弾経始設計が主流だった。避弾経始は、車体の装甲板を傾斜または球面状にすることで、敵砲弾を跳弾させたり有効装甲厚を増やす設計をいう。

しかし1970年代、旧ソ連戦車がHEAT弾(成形炸薬弾)やAPFSDS弾(装甲を貫く徹甲弾の一種)といった従来の砲弾と一線を画す強力な対戦車砲弾を高初速の滑腔砲から撃ち出すようになり、また対戦車ミサイルが発達すると、傾斜装甲や球面状の避弾経始では防御できなくなり、戦車の装甲は大幅な見直しが図られた。

高速の新型対戦車弾対策には、異なる材質の装甲板を複層にする複合装甲や中空装甲と、着弾と同時に主装甲の表面に張ったブロック状の炸薬が爆発し、敵弾を吹き飛ばす爆発反応装甲が有効となった。前者を車体設計段階から本格的に採用したのが、第3世代MBTのレオパルト2なのである。以上の経緯から、レオ2ではWW2前期まで見られた垂直装甲が復活し、名戦車タイガー I を彷彿とさせる無骨で重厚なフォルムは、戦車ファンに驚きを与えた。

27.4LのV12ディーゼルツインターボは1500psを発生!
他方、側面から見ると、とりわけ砲塔が長大で後発の第3世代戦車の象徴ともなる、大型砲塔となっている。この長大な砲塔は、前部の乗員区画と後部の砲弾庫が完全に分離しており、砲弾庫に被弾爆発の際は爆発エネルギーから可能な限り乗員を保護できる構造になっている。

動力系はパワーパックと呼ばれる、エンジンと変速機が一体化されたユニットで、エンジン本体は自国のMTU社製 MB873型 4サイクルV型12気筒ツインターボ ディーゼルを搭載し、排気量は27.4L、最大出力は1500ps/2600rpmという最強クラスの出力を誇る。これに前後進各5速ATを組み合わせたパワーパックは、量産初期型以来継続され高い信頼性と部品互換性を持っている。パワーパックは迅速な換装も利点で、その全体像も公開されている。

主武装はラインメタル社製 120mm(口径)L44(口径長)滑腔砲で、第2世代までの105mmライフル砲に代わり多様な砲弾を発射できる戦車砲だ。米軍のエイブラムスが同じ戦車砲で多くのソ連製戦車を撃破したのは有名だ。同砲は自衛隊の90式戦車も搭載するなど、改良型を含め西側諸国の戦車砲でスタンダード的な存在だ。A6型以降は1.3ⅿも長砲身のL55となり、超射程と威力はNATO(北大西洋条約機構)陣営最強と謡われている。

レオ2はWW2から先代レオ1まで継承される、戦車王国ドイツの信頼性から、NATO加盟国のほとんど、シンガポールやインドネシア、チリなども採用している。また、空調・指揮統制システム・射撃管制機器など相手先への適応性や、拡張性の高さから第3.5世代に跨るロングセラーになっている。今後も西側世界で最も人気ある豹戦車「レオパルト2」の伝説は続くだろう。(文 & Photo CG:MazKen)

レオパルト2のパワーパック 概要
■MTU製 MB 873ka-501
●形式:液冷4ストローク V型12気筒 ツインターボディーゼル
●排気量:27.4L
●最大出力:1500ps/2600rpm
●燃料タンク容量:約1160L
●変速機:Renk製 HSWL354 前後進5速AT
●最大速度:約70km/h(整地)

[ アルバム : モンスターマシン「レオパルト2」 はオリジナルサイトでご覧ください ]

こんな記事も読まれています

手ぶらでサーキット体験!! レンタル車両にプロのレッスンまで! ブリヂストンのeスポーツとリアルのコラボが魅力満載
手ぶらでサーキット体験!! レンタル車両にプロのレッスンまで! ブリヂストンのeスポーツとリアルのコラボが魅力満載
ベストカーWeb
「マジでどうにかならないの?」 クルマの「水アカ問題」どう対処? “ガンコなこびりつき”を解決するアイテムとは
「マジでどうにかならないの?」 クルマの「水アカ問題」どう対処? “ガンコなこびりつき”を解決するアイテムとは
くるまのニュース
1987年に登場した「カローラFX16」の再来!? トヨタが米国市場で「カローラFXスペシャルエディション」を発表
1987年に登場した「カローラFX16」の再来!? トヨタが米国市場で「カローラFXスペシャルエディション」を発表
バイクのニュース
顔つき激変! トップグレードRSも登場! 何度も言うけど[いすゞ]は[MU-X]を日本に入れてくれ!
顔つき激変! トップグレードRSも登場! 何度も言うけど[いすゞ]は[MU-X]を日本に入れてくれ!
ベストカーWeb
セナ没後30周年。マクラーレンのモナコGPはセナ一色! モナコ大公アルベール2世が新型「アルトゥーラ スパイダー」をドライブして華を添える
セナ没後30周年。マクラーレンのモナコGPはセナ一色! モナコ大公アルベール2世が新型「アルトゥーラ スパイダー」をドライブして華を添える
Auto Messe Web
Good Bye!「アバルトF595/695」が日本市場向けの生産を終了。残るは在庫のみ
Good Bye!「アバルトF595/695」が日本市場向けの生産を終了。残るは在庫のみ
Webモーターマガジン
[Pro Shop インストール・レビュー]トヨタ アルファード(ショップデモカー)by サウンドエボリューション・ログオン
[Pro Shop インストール・レビュー]トヨタ アルファード(ショップデモカー)by サウンドエボリューション・ログオン
レスポンス
ボディサイズの割に4人快適に乗れる!! リッター30km超えの[フィット]でカッコ悪いと言われてる部分って?
ボディサイズの割に4人快適に乗れる!! リッター30km超えの[フィット]でカッコ悪いと言われてる部分って?
ベストカーWeb
僕のマシン、何か変だよ……ヒュルケンベルグ、カナダGPの入賞阻んだマシントラブルの究明求む「最初から感触は良くなかった」
僕のマシン、何か変だよ……ヒュルケンベルグ、カナダGPの入賞阻んだマシントラブルの究明求む「最初から感触は良くなかった」
motorsport.com 日本版
日産 新型「小さな高級車」初公開に大反響! 斬新「“卍型”ホイール」&迫力グリル採用! “高級感がマシマシ”の「ノートオーラ」に熱視線
日産 新型「小さな高級車」初公開に大反響! 斬新「“卍型”ホイール」&迫力グリル採用! “高級感がマシマシ”の「ノートオーラ」に熱視線
くるまのニュース
“直列6気筒ツインターボ”は529馬力を発生! 「BMWアルピナの中核モデル」に誕生した「エボリューションモデル」の気になる実力とは?
“直列6気筒ツインターボ”は529馬力を発生! 「BMWアルピナの中核モデル」に誕生した「エボリューションモデル」の気になる実力とは?
VAGUE
[15秒でわかる]ホンダ『N-VAN e:』…EV拡充計画の第1弾
[15秒でわかる]ホンダ『N-VAN e:』…EV拡充計画の第1弾
レスポンス
使いこなせば一流営業マンも夢じゃない? 紙カタログの廃止で変化する[新車営業術]
使いこなせば一流営業マンも夢じゃない? 紙カタログの廃止で変化する[新車営業術]
ベストカーWeb
ヘッドレストのレストは休憩の意味ではなかった! 正しい調整をしないと事故の際に「むち打ち」の可能性が大幅アップ
ヘッドレストのレストは休憩の意味ではなかった! 正しい調整をしないと事故の際に「むち打ち」の可能性が大幅アップ
WEB CARTOP
少しうるさい?ロータリーエンジン マツダMX-30 R-EV 長期テスト(3) 不調で車両交換
少しうるさい?ロータリーエンジン マツダMX-30 R-EV 長期テスト(3) 不調で車両交換
AUTOCAR JAPAN
碓氷峠最速の男は俺だ! 新井大輝選手が堂々の総合優勝 でも一悶着あったってマジ?
碓氷峠最速の男は俺だ! 新井大輝選手が堂々の総合優勝 でも一悶着あったってマジ?
ベストカーWeb
酷暑日要注意! うっかりNG行為と夏本番までに必ずやっておきたい寿命を長くするメンテナンスとは
酷暑日要注意! うっかりNG行為と夏本番までに必ずやっておきたい寿命を長くするメンテナンスとは
ベストカーWeb
MotoGPマシンがスーパーバイクに負ける日は来ない? 排気量ダウンで懸念もFIM会長は自信示す
MotoGPマシンがスーパーバイクに負ける日は来ない? 排気量ダウンで懸念もFIM会長は自信示す
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

2件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村