■欧州で認められ“スポーツツアラー”という新ジャンルを確立
2001年に初代がヨーロッパでデビューして以来、優れた高速巡航性能と運動性能を両立し、“スポーツツアラー”として根強い人気を誇っているヤマハの「FJR1300」シリーズ。そのルーツは1984年の「FJ1100」にさかのぼり、セカンダリーロードをタンデムでも素早く走り抜ける操縦性と、ハイウェイでの安定感が評価されました。また、他メーカーの空冷イレブンを凌ぐ最高出力125PSを発揮していたことも見逃せません。
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“Top of sport touring”をコンセプトに、1991年には搭載する空冷4気筒DOHC4バルブエンジンの排気量を1200cc化し「FJ1200A」へと進化。2ストロークスポーツモデル「RZ250」にも採用したオーソゴナルエンジンマウントで振動を低減し、快適性をさらに向上しています。
2001年に水冷1300cc化され、フューエルインジェクションを採用、エンジン幅をコンパクトにできるサイドカムチェーン方式となりました。2006年には“世界最高水準の欧州縦断ツアラー”をコンセプトに、クラッチレバー操作なしで変速できる「YCC-S(ヤマハ・チップ・コントロールド・シフト)」を搭載した「FJR1300AS」がデビューします。
2013年型で7年ぶりのモデルチェンジとなり「YCC-T(電子制御スロットル)」を装備。国内仕様も登場し、2001年から2015年5月末までで世界累計10万台以上の出荷実績を記録しました。
そして2016年モデルでトランスミッションを5速から6速化し、灯火器類もフルLEDになりました。ヤマハ初となるコーナリングランプも「FJR1300AS」で採用されました。
■乗り降りするときに車高を下げるなんて、驚き!
「FJR1300AS」は、スポーツバイクの血統と最新の制御技術が凝縮されひとつになった姿でもありますが、それは「レンジローバー」にも言えるようです。
今回乗ったのは「レンジローバースポーツ」の最上級モデルで、搭載するエンジンはマイルドハイブリッド48Vシステムを備えた3リッター直列6気筒、400PSを発揮します。
驚いたのは自動車高調整機能で、車高を最大50mm低くし、スムーズで快適な乗り降りをサポートしてくれるのでした。バイクにも近い将来、停車して足を地面につくときのみ車高を下げるというシステムが導入されるのもかもしれません。そういったコンフォート性を高める先進技術をいち早く採用するのは、ヤマハならきっと「FJR」でしょう。
■ロングライドするための先進装備たち
「FJR1300AS」の電動調整サスペンションは、フロントの減衰力やリアのイニシャル・減衰力を自動調整してくれます。
「1人乗り」「1人乗り+荷物」「2人乗り」「2人乗り+荷物」の4パターンをハンドルスイッチによって設定でき、減衰力はそれぞれで「ソフト」「スタンダード」「ハード」から選択可能。さらに7段階を微調整できるので、手元のスイッチひとつでセッティングが全84通りに。足まわりにこだわりはじめると、これを細かく変えて走るだけでも飽きません。
クラッチレバーを操作することなくギアチェンジできるのは、ロングツーリングでは疲労軽減に大きく貢献します。左フットペダルか、左ハンドルスイッチにあるハンドシフトレバー、いずれかでシフトチェンジが可能です。
したがってクラッチレバーを握って半クラ操作、と同時にスロットルをジワリと開けてレバーを離す、という操作は不要で、さらに停止時は自動的に1速となる「STOP MODEシフト機能」も装備します。ライディングを飛躍的にイージーにしてくれるのです。
電動式ウインドスクリーンも、左ハンドルスイッチを押すだけで130mmの範囲で上下動してくれるので、ウインドプロテクションをシーンに応じて変更できます。約50km/h以上、3速から6速ではクルーズコントロールシステムも作動でき、セット後も2km/h刻みに調整可能。これに慣れると高速巡航に欠かせない装備となります。
エンジンは2軸バランサーを備え、振動が少なくスムーズな吹け上がり。中低速域からトルクフルで、D-MODE(走行モード切替システム)を「Tモード」にすると扱いやすさが重視され、「Sモード」ではスロットルレスポンスがシャープになり、アグレシッブな走りが楽しめます。切り換えはハンドル右にあるスイッチ操作で即座におこなえるのでした。
長距離を思いっきり走れるときが来たら、スポーツツアラーでとことん遠くへ。そんな要望を応えてくれる頼もしい相棒となることは、間違いないでしょう。
今回試乗したモデルの価格(消費税10%込み)は、ヤマハ「FJR1300AS」が187万円、ランドローバー「レンジローバースポーツ」は936万円からとなります。
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