「チャイルドシートを付けたら……」。もし、小さな子供がいるなら車を買う時必ず考えることだ。車を1台しか持てないなら、2シーターは対象外。だからこそ、走りもほどよく楽しめ、チャイルドシートの使い勝手もいい車を選びたいもの。チャイルドシートの取り付けが楽な車の条件や好ましい取り付け位置とともに、そんな車たちを紹介したい。
文:渡辺陽一郎/写真:shutterstock.com、HONDA、SUBARU
チャイルドシートは『後席右側』が好ましい
子供用のシートは3種類に大別される。誕生から1歳くらいまで使うベビーシート、1~4歳頃まではチャイルドシート、その後、大人用のシートに座れるようになるまでは、ジュニアシートを使って車両に装着されたシートベルトを着用する。
チャイルドシートなどを購入する時は、安全基準に適合した商品を選ぶことが大切だ。日本の基準に適合することを示す「E43」などの表示が付帯されているか確認したい。
チャイルドシートを装着する位置は、助手席エアバッグの展開範囲に含まれない後席で、安全を考えると右側が好ましい。
車両相互の事故統計を見ると、追突と出会い頭の事故に次いで、右折時の衝突が多いからだ。この時に大きな被害を受けるのは右折車両の左側面になることが多く、右側に装着するのが安全という判断が成り立つ。
ただし、車道の駐車枠に設置されたパーキングメーターを頻繁に使うユーザーなどは、右側から乗り降りすると危険を誘発する場合もある。このような時は、左側に装着することも検討したい。
チャイルドシートの付けやすさ左右する室内の広さ
チャイルドシートを設置する時は『ISO・FIX(アイソフィックス)チャイルドシート固定バー』を使うと安心だ。この装備は乗用車では2012年から装着が義務付けられ、金具を使って確実に固定できるメリットがある。
非装着車は大人用のシートベルトを使って固定するが、安全確保のために確実に取り付けるには、相応の体力が必要だ。シートベルトでチャイルドシートを締め付けて、装着後に揺すってもグラグラしないようにする。
そこで、チャイルドシートを装着しやすく、なおかつ運転の楽しい車を考えてみたい。
チャイルドシートは後席に装着するので、後席側のスペースに余裕のある車が使いやすい。大切な家族を同乗させるから、緊急自動ブレーキなどの安全装備が採用されていることも大切だ。
チャイルドシートの装着性を含めて、最も使いやすいのはミニバンだ。2列目のシートを後方にスライドさせると、足元の空間が広がって子供をチャイルドシートに座らせる作業がしやすい。前席がセパレートタイプでATレバーがインパネに装着されていれば、降車せずに車内で運転席へ移動できる。
ミニバンならステップワゴンスパーダ
ミニバンの中で、運転が楽しく子育て世代に合った価格の割安な車種としては、ステップワゴンスパーダが挙げられる(編注:9月22日に新型ステップワゴンスパーダハイブリッドが登場!)。
全高が1800mmを超えるミニバンでありながら、低床プラットフォームの採用で重心が比較的低く、走行安定性も優れているから、運転した時にミニバンながら腰高感が気にならない。
加えて乗り降りもしやすい。スポーティグレードのスパーダでは足まわりが専用タイプになり、走行安定性と乗り心地のバランスも優れている。
SUVならスバル XV
SUVもスペース効率が高く、2列シート車の中ではチャイルドシートを装着しやすい。価格の割安感も含めると、最も推奨度が高いのはスバル XVだ。
4WDと相まって走行安定性が優れ、操舵に対する反応の仕方が正確だから、スポーティな運転感覚を楽しめる。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)が2670mmと長いため、後席の足元空間にも余裕があり、子供をチャイルドシートに座らせる作業もしやすい。
また、SUVだから最低地上高が200mmと余裕があり、車高が適度に高まることも、子供を抱えた時の乗降性を向上させている。背中を丸めて乗り込む必要がない。
SUVでありながら全高が1550mmに設定され、立体駐車場を使いやすいこともメリットだ。XVと同じボディを使うインプレッサスポーツも、車高は少し下がるが同様の使い勝手を備える。
コンパクトならノートe-POWER
コンパクトカーではハイブリッド車のノートe-POWERを取り上げたい。XVに比べるとスポーティ感覚は下がるが、エコ/スポーツモードでは、アクセルペダルを戻すと即座に回生充電が開始される。
充電効率を高めると同時に、アクセル操作による速度調節がしやすく、加減速が緩やかな市街ではブレーキペダルを踏む機会はほとんどない。アクセルペダルだけで速度を自由自在に調節できる運転感覚が楽しい。
ノートは2600mmのホイールベースで後席の足元空間が広く、子供をチャイルドシートに座らせる作業もスムーズに行える。全高が1550mm以下に収まり、重心が適度な高さに抑えられて立体駐車場を使いやすいことも特徴だ。
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