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当時は最前線の小型車 ルノー5 同期のホンダ・シビック 日仏で生まれた新たな魅力(1)

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当時は最前線の小型車 ルノー5 同期のホンダ・シビック 日仏で生まれた新たな魅力(1)

英国で輸入車が頭角を表し始めた1970年代

サイケデリックなファッションが街に溢れた1970年代。英国の一般道では、国外の自動車メーカーが頭角を表し始めていた。1969年では、英国で売れる新車の約9割が国産車だったが、1975年には輸入車が約3割を占めるようになっていた。

【画像】日仏で生まれた新たな魅力 ルノー5 ホンダ・シビック 最新シビックとクリオ N360にeも 全126枚

ローバーやジャガー、MGなどを傘下に収める巨大メーカーへ成長していたブリティッシュ・レイランドの会長、ドナルド・ストーク氏は、輸入車が欲しいと考える人は1度頭を調べた方がいい、という発言を残すほど。それでも、人気は衰えなかった。

魅力的なコンパクトモデルが、海外からグレートブリテン島へ押し寄せていた。その中でも代表といえる2台が、初代ルノー5(サンク)とホンダ・シビックだろう。

特にルノーは、1971年11月までに英国最大の輸入車メーカーという座を掴んでいた。1950年代の同社といえば、リアに小さなエンジンを搭載したモデルが定番といえたが、1959年に前輪駆動の商用バン、エスタフェッテが登場。レイアウトの変革が始まった。

2年後の1961年には、前輪駆動のコンパクトカー、ルノー4が登場。1965年に16が発売され、1968年の6、1969年の12が続いた。

ルノー5の開発を、同社の企画責任者、ベルナール・ハノン氏が始めたのは1967年。1年を通じて仕事にも休日にも使え、都市でも田舎でも乗れる小型車、生活のためのクルマが目指された。

プロジェクトコードには122が振られ、高速道路を安心して運転できる性能が求められた。若いドライバーが、気兼ねなく運転できるクルマである必要もあった。

当時は最前線の1台だったルノー5

スタイリングを手掛けたのは、社内デザイナーのミシェル・ブエ氏。彼はルノー4をベースとしながら、上層部が納得するハッチバック・フォルムを描き出した。多くの前輪駆動のルノーと同様に、ボンネット内には小さなエンジンが縦置きされた。

当時のCEO、ピエール・ドレフュス氏は、自社初となる3ドア・モデルが支持を得られるのか疑問を抱いていた。ディーラーも不安を口にした。しかし、1972年1月28日の発売直後から好調に売れ、5月までに3か月の納車待ちが生じたという。

コンパクト・ハッチバックでは、横置きエンジンのFFが定石のレイアウトとされ、5をその起源として認めるべきではないとする人もいる。1971年の、フィアット127が正当だという主張もある。1967年の、シムカ1100を推すマニアもいる。

それでも、0.8Lエンジンの5は最前線の1台だったことは間違いない。1968年に生産を終えたルノー・ドーフィンを、違う世界のクルマに見せたほど。

1974年から1983年にかけて、5はルノーのベストセラーに君臨する。ところが、デザイナーのミシェルはガンを発病し、急死してしまう。自らの作品の成功を、目撃することは叶わなかった。

グレートブリテン島へ上陸したのは1972年の後半。「皆さんが求めていたモノです。過去のミニやビートルがそうだったように、時代に適したクルマです」。と英国のルノーは高らかに宣言した。

最後まで古びて見えなかったスタイリング

1台2役といえる能力を備えた5は、既存の4や6のユーザーだけでなく、他ブランドのユーザーも効果的に獲得。海外ブランドでありながら、修理や整備費用が安いことも大きな強みになった。

その頃のAUTOCARを読み返すと、「若々しいクルマ。新しいアイデアが輝き、目を楽しませてくれます」。と報じている。「ミニが直面した過去最大の困難」。だと別のメディアは優れた可能性を評価した。

1976年には、上級仕様の5 GTLが登場。1.3Lエンジンに、燃費を伸ばすハイレシオのトランスミッションと、ボディをブラックのサイドモールが覆う、オールラウンド・バンパーが与えられ、人気を後押しした。

1979年にフェイスリフト。新しいダッシュボードが与えられ、実用性を高めた5ドアボディが選べるようになる。そもそも、ルノーは1960年代後半に5ドアボディを検討しており、少々遅すぎる追加ともいえた。

その原因は、プジョー104だった。5の開発が始まった時には104の計画も進行中で、直接的な競合を避けたようだ。そのため、104も1972年に発売されるが、3ドア・ハッチバックが当初は提供されていない。

1981年に1.1Lエンジンが登場。同時に、2代目となるシリーズ2の開発が着手された。フランスでは1984年にモデルチェンジされるが、新しいフィアット・ウーノやプジョー205と並んでも、スタイリングは最後まで古びて見えることはなかった。

ちなみに5 シリーズ2は、1996年までフランス・ブーローニュ=ビヤンクール工場で生産が続いた。イランでは、2000年まで初代の5が作られていた。

現代の厳しい交通へ余裕を持って対応できる

今回ご登場願ったメタリック・ゴールドのルノー5は、1.3LのGTL。近年はすっかり珍しい存在となり、公道では多くの視線を集める。キラキラと陽光を反射する塗装は確かに目立つが、半世紀前を懐かしむ人も多いようだ。

インテリアも、外観に負けずオシャレでモダン。フロントシートはソファーのように上等で、現役の頃は新築のモデルルームへ近い印象を与えたに違いない。

KVX 997Yのナンバーで登録された5 GTLの初代オーナーは、学校の教師だったという。2000年に手放され、このクルマを販売したホッジス・ガレージ社が買い戻している。走行距離は4万kmを過ぎたばかりで、状態は素晴らしい。

ショールームのステージへ飾られても良さそうだが、同社を営むナイジェル・ハラット氏は積極的に運転している。「サンクはとても懐かしい。20代だった頃の記憶が蘇ります。自分が笑顔になれるだけでなく、周囲の反応もうれしいものばかりです」

「殆どの人には、サンクを所有していたという知人がいます。彼らから、そんな話を聞くのも楽しいですね」。ナイジェルが笑みを浮かべて話す。動力性能やブレーキ、ステアリングは、現代の厳しい交通へ余裕を持って対応できるそうだ。

他方、1970年代のモータースポーツ誌が危機感を示したのが、小さな日本車だ。「ライバルへ、正面から向き合うべきでしょう。優れたホンダ・シビックは、日本の自動車産業が英国へ立ち向かえることを示す1例です」。と伝えている。

この続きは、ルノー5 ホンダ・シビック 日仏で生まれた新たな魅力(2)にて。

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みんなのコメント

1件
  • RunBee
    結局、この言葉が仇となったのか、BLは斜陽しホンダの力を借りるも建て直せず。。。
    まあ、シビック開発に於いては、『世界戦略車』でしたからね。
    ルノー5は、安っぽいって感じを受けた記憶があるな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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