日産自動車は、自動車アセスメントで軽乗用車初の5スターをルークスで受賞したと発表した。
自動車アセスメントとは、安全な自動車やチャイルドシートの普及を目指し、国土交通省と自動車事故対策機構が一体となって進めている事業だ。
具体的には、新車として販売されるクルマを試験車とし、衝突事故を模擬するため、壁(バリア)へ衝突させたり、人の頭を模擬したダミーを試験車のボンネットフードなどに衝突させたりするなどによって、乗員や歩行者を守る技術の評価や、近年装備が進められている衝突しそうな場合の警告や、衝突を回避する自動ブレーキなど、運転支援による予防安全も評価している。
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結果は、5段階評価され、もっとも高く評価されれば最高の5つ星(ファイブ・スター)が得られる。5段階評価は、衝突安全、予防安全、総合評価の3分野で示される。加えて、2020年の最高評価=5スターを獲得するには、事故の際に自動的に緊急通報を行う装置の装備が求められる。
したがって、日産ルークスは、クルマとしての安全性能だけでなく、万一の事故に際して緊急通報する装置を装備することを含め、軽乗用車としてはじめて最高得点で受賞したことになる。
自動車アセスメントの取り組みと歴史をひも解きつつ、軽初5スターを獲得した日産ルークスのすごさを解説する。
文/御堀直嗣、写真/NISSAN
[gallink]
ドイツからはじまった自動車アセスメントの取り組み
自動車アセスメントの取り組みは、1995年にはじまった。
1990年代に入り、ドイツを中心に衝突安全に対する性能向上が強く求められるようになった。ドイツは、世界で唯一速度無制限区間を持つ高速道路=アウトバーンをもち、一般道でも、郊外では時速80~100kmで走行するのが当たり前の交通環境だ。もちろん、市街地では厳密に時速50kmの制限が課せられている。
とはいえ、日本や米国とは比べものにならない高速で日常的なクルマの利用がなされるなか、交通事故による被害の甚大化は想像するにあまりある。ドイツ以外の欧州域内でも、ドイツほどではないが日本や米国に比べ、高い速度でクルマは使われている。
以前から、衝突事故に対する対処は地域を問わず、各自動車メーカーが取り組んできたが、より現実の事故に近いオフセット衝突に対応した衝撃吸収車体構造の考えはドイツから、もたらされた。
車両の前面が真っすぐぶつかるのではなく、車体前面の半分ほどが衝突する様子は、実際の交通のなかで対向車との前面衝突にみられる事例だ。ダイムラー・ベンツはかねてより交通事故の調査をメーカー自ら行ってきた経緯があり、それを基にオフセット衝突の実験と、それに対処した車両開発の重要性を求めてきた。その考えが世界的に広まり、日本国内でも適用されるようになったのである。
進化し続ける評価項目
衝突安全に対する認識が高まるのに合わせ、国内において自動車アセスメントの取り組みがはじまった。
取り組み開始した初年(1995年)は、フルラップと呼ばれる前面衝突で試験が行われ、2000年からオフセット衝突がはじめられた。99年には、側面衝突が加えられている。2001年にはチャイルドシートについて、前面衝突と使用性の評価も行われるようになる。
2003年には歩行者の頭部保護性能、2008年にサイドカーテンエアバッグ、2009年には後面衝突頸部保護性能と後席乗員保護性能、2011年には歩行者の脚部保護性能というように、矢継ぎ早に衝突事故に対する性能評価項目が追加されていった。2011年には、2009年から電気自動車(EV)が発売されたのに対応し、感電保護性能も検査項目に加わっている。
そして2014年から、被害軽減ブレーキや車線はみ出し警報といった予防安全性能の評価もはじまった。2018年には高機能前照灯の評価や、ペダル踏み間違い時加速抑制試験のように、先進の照明技術や、交通事故の実態を反映した項目も採用されている。そして、事故自動通報装置についても項目に入った。
自動車安全性能2021で最高評価「ファイブスター賞」を獲得したルークス
運転支援技術「プロパイロット」をはじめとする多くの先進安全技術を搭載するルークス
日産ルークスは、2020年にフルモデルチェンジをした。これにより、2020年の自動車アセスメント対象車両となった。
3つの項目のうち、衝突安全では、10項目の試験のうち6項目でレベル5を獲得している。その他はレベル4だが、5段階での上位の成績であり、衝突安全の評価は86%の達成でAランクとなっている。
日産の軽で初めて「アダプティブLEDヘッドライトシステム」を装備することで、夜間の歩行者等の視認性を高め予防安全性能を向上
予防安全性能は、7つの試験項目があり、そのすべてでレベル5を達成し、評価100%でのAランクだ。
これに、事故自動緊急通報装置が装備されていることを加え、全体での評価判定は92%となって、5スターを獲得したのである。
現在、日産と三菱自動車工業はNMKV(日産・三菱・軽・ヴィークル)という合弁会社により軽自動車の企画、開発、生産を行っている。三菱自のeKスペースもルークスと同じ評価であるはずだが、事故自動緊急通報装置を装備していないため4スターにとどまっている。
日産が、軽自動車初として5スターを最新の自動車アセスメントで取得できた背景には、NMKVでの軽自動車専用企画・開発において、かつてGT-Rの開発に携わってきた実験部のテストドライバーが加わったことが大きいと考えられる。
彼にとって軽自動車開発は現行デイズから初めて携わる新しい作業だったが、登録車であろうと軽自動車であろうと、走行性能や安全性能はクルマとして同一であるべきという強い信念によって開発を実行してきた。GT-Rの乗員も軽自動車の乗員も、同じように安全が守られなければならないことになる。
そのためには、操縦安定性や安全性能に関わる機能や装備の充実によって生産原価が高くなる傾向となり、従来の軽自動車づくりでは考えられなかった工夫が不可欠となった。しかし信念を曲げることなく、様々な思案を織り込むことにより、軽自動車に見合う車両価格を実現しながら、操縦安定性と安全性能を高めていったのである。
したがって現在販売されている軽乗用車のなかでも、日産と三菱自の両車は、他社を超えた操縦安定性と安全性能が基本的に満たされているといっていい。試乗をしても、その手ごたえを感じることができる。
いっぽう、軽自動車の販売動向で両社は必ずしもベスト3をうかがう位置にこれまではなかったが、2021年10月の販売実績で、ルークスは2位を得ている。軽自動車初の5スターを獲得したルークスの本領が、市場で評価されてきたといえそうだ。
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アダプティブハイビーム、30kmから使えて進化に驚いた。
プロパイロットも運転支援としてきちんと機能するし。