ベルリネッタvsスパイダー、どちらのアルファ8Cが人気?
はるか100年前には鉄道車両の点検・修理に使われていたという施設を改装した、自動車エンスージアストの楽園「モーターワールド・ミュンヘン」において、2023年11月25日、RMサザビーズ欧州本社が開催した「Munich 2023」オークションでは、素晴らしい施設に相応しいクラシックカーやコレクターズカーの数々が出品された。今回はその中から、それぞれ別のオーナーから出品されたアルファ ロメオ「8Cコンペティツィオーネ」と「8Cスパイダー」の概要と、注目のオークション結果についてお話しすることにしよう。
3700万円に高騰! 日本から流出したアルファ ロメオ「8C」はカロッツェリア・トゥーリングでモディファイされていた!
戦前の名作スーパースポーツの名を掲げた、21世紀のスーパーカー
今世紀初頭からアルファ ロメオ社内で模索されていたスーパースポーツ開発プロジェクト「スポルティーヴァ・エヴォルータ」計画。その成果として誕生した8Cコンペティツィオーネは、まずは2003年のフランクフルト・ショーにおいてコンセプトカーとして出品された。
「8C」の名は、アルファ ロメオが現在のフェラーリに相当する高級スーパースポーツ専業メーカーだった時代に製作された超高性能モデル、「8C2300」や「8C2900」にあやかったものである。
2023年にショーデビューしたコンセプトカーが、翌2004年の「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」のコンセプトカー部門で金賞を得たのち、2006年のパリ・サロンにて「500台を限定生産、2008年からEU圏内でデリバリー開始」という生産スケジュールとともに、市販モデルの正式なワールドプレミアが実現。直後から、世界限定500台のみが生産されたと言われる。
生産型の8Cコンペティツィオーネは、スティール製のプラットフォームと総カーボンファイバー製パネルを組み合わせたボディに、同時代のマセラティV8と基本を一にする4.7L V8・450psを搭載。パドルで変速するシングルクラッチ式6速シーケンシャルMT「Q-セレクト」を組み合わせて、最高速度290km/h、0-100km/h加速タイムは4.2秒以下という高性能を標榜する、正真正銘のスーパーカーとなった。
そして全世界で500台という限定枠を巡って、世界中のアルフィスタの間で争奪戦が展開されたうえに、現在のコレクターズカー国際マーケットにおいても、新車時の販売価格(日本国内では2259万円)を遥かに凌ぐ高値で流通しているようだ。
くわえて2005年の北米「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」にて、コンセプトモデルがデビュー。翌2006年にはオリジナルのベルリネッタ(クーペ)版と同様「ヴィラ・デステ」で金賞を獲得していたオープン版「8Cスパイダー」も、8Cコンペティツィオーネの生産が終了した2009年からシリーズ生産されることが決定。ベルリネッタと同じく世界限定500台のみが製作・販売されることになった。
ちなみに正規輸入された8Cスパイダーの日本国内への割り当ては70台。車両本体価格は、2650万円に設定されていた。
8Cコンペは約3530万円、8Cスパイダーは約3890万円で落札!
このほど「Munich 2023」オークションに、「ロード&トラック・コレクション」から出品された8Cコンペティツィオーネは、オーセンティックな色合いの「ロッソ・アルファ」にペイントされ、ポルトローナ・フラウ社製の表皮を用いたブラックレザーのインテリアと魅力的なコンビネーションを見せる。
この個体は2008年4月4日、オーストリアのアルタッハで最初のオーナーに新車として引き渡された。それ以降、付属のサービスブックにはランクヴァイルのマセラティ専門ガレージで定期点検を受けたことが記されており、次の点検は2014年9月、ベルギーのゲントにある「ACGマセラティ」で行われたことが記録されている。
現在では「ロード・アンド・トラック・コレクション」に保管されている8Cは、2021年2月にフェラーリの正規ディーラーである「ゴーデュエル・リヨン」社によって最新の点検整備が行われ、この時点でのオドメーターは1万8828kmを指していた。
そして約2年半後、今回のオークションカタログ作成時のオドメーターは1万9362kmを指していたこともあって、RMサザビーズでは落札者に対して、磨耗したタイヤを公道走行の前に交換するよう推奨していた。
いっぽう、8Cコンペティツィオーネとは別のオーナーによって出品された8Cスパイダーは、現オーナーからのリクエストにより、2009年12月17日に「フィアット・グループ・オートモービルズ・オーストリアGmbH」がオーダーしたもの。オーストリアに新車として登録された、唯一の8Cスパイダーと考えられている。
ボディカラーは、クーペのソリッドに対してメタリックの「ロッソ・コンペティツィオーネ」。ブレーキキャリパーは同系色のレッド。ポルトローナ・フラウのブラックレザーのインテリアに、センターコンソールやドアカードに施されたカーボンファイバー調のトリム、そしてブラックのソフトトップ・フードがアクセントを添えている。
この8Cスパイダーは2011年11月に納車されたのち、これまで完全なワンオーナーで12年間保管されてきたものの、ほとんどドライブに供されることはなく、オークションカタログ作成時の走行距離はわずか344kmに過ぎない。
さる2023年3月には、ウィーンのマセラティ正規ディーラーである「Keusch GmbH」社によって、6000ユーロを費やして整備されたほか、タイヤも新調されたという。
こうして11月25日に行われた競売において、2008年型8Cコンペティツィオーネは22万4250ユーロ、 日本円に換算すると約3530万円で落札。そして2010年型8Cスパイダーは24万6875ユーロ、つまり約3890万円でハンマーが落とされることになった。
クラシックカーおよびコレクターズカーの国際マーケットにおいて、大多数のスポーツカーではクローズド版よりもオープン版のほうが、同系モデルであっても市場における相場価格が高めに出るのが常である。しかしアルファ ロメオのスポーツモデルの一部では、たとえばES30系「SZ」および「RZ」などのように、オリジナルであるクーペのほうが高く評価されることもある。
じつは8Cコンペティツィオーネと8Cスパイダーでも、ここ数年のマーケット相場価格はクーペの方が高いのが実情。だから今回スパイダーの方が高値落札されたのは、走行距離やコンディションの差が明確なものだったと想像されるのだ。
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みんなのコメント
、147.159、ミト、ジュリエッタ
とか泣ける値段だし。
旧車と限定車が強いと、
現行に近い中古が地の底まで落ちるという、
具体例
ハッチバックはアルファといえども実用車
足車荷車の類
というよりも日本市場が特殊過ぎ、実用車としてのモデルを無理にスポーティー仕様に見せかけるから新車時は異様に高くイメージと実際の差がありすぎて化けの皮剥がれるから買取り額が低い
尚、電装系が弱いのでは?ということに対して実際は日本のサプライヤーが関わって以降不具合は少なくなっている
機械的にもドイツ車にだいぶよっているからイタ車のトンデも感は薄れている
良い車だが勘違いな市場リサーチで異様に高いのが結局ネック