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MINIカントリーマン(日本名クロスオーバー)は積極的に新機軸を取り入れた「新しいMINI」だった【10年ひと昔の新車】

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MINIカントリーマン(日本名クロスオーバー)は積極的に新機軸を取り入れた「新しいMINI」だった【10年ひと昔の新車】

2010年、MINIブランド第4のモデル「MINIカントリーマン」が欧州で販売開始された。2011年に「MINIクロスオーバー」として日本に上陸することになるモデルだが、Motor Magazine誌は欧州デビュー間もなく、このモデルの試乗テストを行っている。2023年に登場した最新型では日本でもMINIカントリーマンを名乗ることになったが、その初代モデルはどんなクルマだったのか。今回は当時の試乗テストの模様をお伝えしよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年10月号より)

ほかのMINIとはプラットフォームも異なる別系統
遠目で見ると「MINIの4ドアができたのか」と思った。しかし、近寄って実際に乗り込むとイメージより遥かに大きい。MINIという名前だが、これまでにない「大きなMINI」の誕生である。このクルマは、世界中でMINIカントリーマンと呼ばれるが、日本では商標の関係で「MINIクロスオーバー」になる。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

モデルコードはR60。これまでに登場したR55(クラブマン)、R56(ハッチバック)、R57(カブリオレ)、これから出る予定のR58(クーペ)、R59(ロードスター)はR55系の兄弟だが、MINIクロスオーバーはモデルコードからみても別もの。まったく新しいプラットフォームに、形式は同じだが寸法が大きい新しいサスペンションをつくりあげたというわけである。

MINIクーパーSクロスオーバーの全長×全幅×全高は4110×1789×1561mm、ホイールベース2595mm。ハッチバックのMINIクーパーSより396mm長く、106mm広く、154mm高いので、ふた回り大きなボディサイズと言っていい。幅はいいとしても高さが日本の機械式駐車場には引っ掛かる。つまり、X1より背が高いのだ。そのことをチーフデザイナーに質問したところ「日本仕様は11mm低い1550mmに合わせるから」心配は要らないそうだ。

エンジンも新しい。直噴、ツインスクロールターボ、バルブトロニックというBMWの三種の神器を揃えたN55B30A(6気筒)と同じ手法で、N18B16A(4気筒)をつくったのだとエンジンを開発したフブロアー氏が話していた。

1、4番と2、3番がペアになってツインスクロールターボを形成しているタービンの直径は45mmだ。直噴技術の採用でアイドリング時の燃費は8.4cc/分、欧州モードの燃費は6.7L/100km、CO2排出量は157g/kmを達成と優秀な出来である。最高出力は135kW(184ps)/5500rpm、最大トルクは240Nm/1600-5000rpmだがオーバーブースト時には260Nmまで増加する。0→100km/h加速は7.9秒、最高速は210km/hである。

ボディサイズは大きいがMINIらしさは継承
試乗車はMINIクーパーSクロスオーバーの6速MTだった。しっかりしたクラッチペダルとダイレクトな操作感のシフトレバーによって特別な気を遣わなくてもとてもスムーズなドライビングができる。ふたり乗車による試乗だったが、低速トルクが太いのでクルマの大きさを感じさせない軽快な走りができた。

アウトバーンに乗ってアクセルペダルを床まで踏み込んでいくとき6500rpmのレッドゾーンまで回さず、5500rpmくらいでシフトアップしていった方がトルクのつながりが良く、胸のすく加速を持続することができた。レッドゾーンに入って6700rpmでフューエルカットが作動するところまで回るが、6000rpm付近からは明確に伸びが鈍くなる。燃費と排出ガス、そして低速トルク重視にセッティングされたエンジンなのだ。

このふたまわり大きなMINIは路面を選ばず快適だった。騒音と乗り心地にこれまでのMINIのイメージはない。つまりクルマが大きくなった分だけ乗り心地や騒音対策にも余裕ができたのだろう。

装着されていた205/55R17 91Vのピレリ チントゥラートP7のランフラットタイヤに硬さは感じられないし、ホイールベースがハッチバックよりも延長されたことによって揺すられるような振動もなくなった。これなら、コンパクトなMINIには興味を持たなかった層にも訴えるものがある。また「MINIは欲しいけど家族がいるから」と諦めていた人にも受け入れられる要素があると思う。乗り始めたときには、名前にそぐわないこんな大きなMINIに存在意義があるのかと思ったが、しばらく走るうちにこのクルマの意図が見えてきた気がする。

大きくなってもMINIらしさは継承されている。ダッシュボード中央には大きなスピードメーターが備わる。タコメーターはハンドルの前にレイアウトしてある。

また、新しいものを積極的に投入するのもMINIらしさだろう。センターアームレストの中にiPodをセットするとスピードメーターの中のモニターに表示される曲名や演奏者で音楽を選べるし、仕様によってはセンターアームレストから後席に伸びるようにレールを敷き、そこにカップホルダーや携帯電話などを置く台もセットできるのだ。

BMWは2011年、このクルマでWRCに出場するという。しっかりしたボディとサスペンションは、このクルマの大きな自慢ポイントだということをアピールできそうだ。(文:こもだきよし)

MINI クーパーS オール4 カントリーマン 主要諸元
●全長×全幅×全高:4110×1789×1561mm
●ホイールベース:2595mm 
●車両重量:1380[1405]kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1598cc
●最高出力:135kW(184ps)/5500rpm
●最大トルク:240Nm(24.4kgm)/1600-5000rpm
●トランスミッション:6速MT[6速AT]
●駆動方式:4WD
●最高速:210[200]km/h
●0→100km/h加速:7.9[8.3]秒
※EU準拠

[ アルバム : MINI クーパーS オール4 カントリーマン はオリジナルサイトでご覧ください ]

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