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V12エンジンでFRの2+2 フェラーリ365 GT4 2+2 400 GTi 412 対極の3台 前編

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V12エンジンでFRの2+2 フェラーリ365 GT4 2+2 400 GTi 412 対極の3台 前編

純粋さを重んじる人の反応は冷ややか

1970年代から1980年代のフェラーリへ商業的な成功をもたらした、365 GT4 2+2に400、412という一連のモデル。後の4シーターモデル、456の3256台と比べれば合計2897台は驚くほどの数ではないが、当時としては記録的な売れ行きだった。

【画像】V12でFRの2+2 フェラーリ365 GT4 2+2 400 GTi 412 現行FRモデル ローマ他 全111枚

改良を加えながら17年も生産が続き、現在でも同社最長のモデルライフを誇る。フロントにV型12気筒エンジンを搭載する4シーターモデルは、レーシングカーの直系とは対極にあるフェラーリといえるが、気品ある趣で特定のドライバーを魅了した。

当初は、その頃のラインナップでは最も高価で、乗る人を選ぶ跳ね馬でもあった。1973年の365 GT4 2+2の英国価格は1万2900ポンドで、365 GTB/4、デイトナより2000ポンドも高かったほど。

ところが、生産終了後は取り引き価格が急落。多売だったことで希少性には欠け、維持費は高く、流行遅れのスーパーカーとして評価は軽んじられた。V型12気筒のクラシック・フェラーリだが、現在でも比較的現実的な価格で売買されている。

ブランドの高貴なアイデンティティから逸脱したように受け止められ、純粋さを重んじる人からの反応は、発表時から冷ややかだった。1976年に400 オートマティックが発売された時も同様。実用的な4シーターのフェラーリは、本物ではないとみなされた。

それでも、北米市場を中心に驚くほど良く売れた。カリフォルニアのおおらかなドライバーへ、見事に歓迎されたのだった。

365 GT 2+2より小柄ながら後席空間は拡大

パワーステアリングとセルフレベリング・サスペンションを備えた、クーペの365 GT 2+2は1968年から1971年に提供されていた。その後継モデルが、1972年発売の365 GT4 2+2に当たる。

ベースとなったシャシーは、GTC/4のもの。楕円形のパイプを組んだチューブラーフレームに、ダブルウイッシュボーン式のサスペンションという構成は継投された。

だが、先代から大幅な改良が加えられていた。特に、365 GT 2+2より全長を縮めつつホイールベースを約50mm伸ばし、後席側の空間が拡大されている。

車重は1500kgで、ボディサイズはジャガーXJ6とほぼ同等。左右のタイヤの間隔、トレッドが拡大され、上下方向の空間を確保するためルーフラインはフラットで長い。前後のオーバーハングは適度に切り落とされている。

スタイリングは、ピニンファリーナに在籍していたアルド・ブロヴァローネ氏が担当。エッジの効いたシャープなフォルムに、黒く大きなポリウレタン製バンパー、リトラクタブル・ヘッドライトなどを備え、308 GTBなどとの共通性が香る。

ボディはピニンファリーナ社のトリノ工場で成形され、塗装を終えてマラネロの工場へ届けられた。1台がラインオフするまで、約2週間が投じられた。

エンジンは、モデル名に「4」が付く通り、ショートストローク型の4.4Lクワッドカム・コロンボ・ユニット。4シーターのフェラーリとして初めて、2+2のGTC/4が積んだ、デチューン版のウェットサンプ・ティーポ・ユニットとは異なる。

6基のウェーバー・キャブで324ps

アルミニウムとシリコンの合金、シルミン材を用いたクランクケースとエンジンブロックに、ビレット加工された窒化処理スチール製のクランクを採用。ウェットサンプで、1940年代に起源を持つエンジンの最新版といえる設計だった。

マラネロの職人が丁寧に組み上げると、テスト運転を経て、チューブラーフレームの中心寄りに4点のマウントを介して収まった。殆ど隠れて見えない位置に、マレリ社の2基のディストリビューターがある。

ボンネット・ラインを低く抑えるため、6基のサイドドラフト・ウェーバー・キャブレターはカムカバーの外側。オイルフィルターはバンク内へ2基並んだ。

トランスミッションは5速マニュアル。トルクチューブで、リアのリミテッドスリップ・デフと一体化された。実用的なリアシートを配置する上で、トランスアクスル・レイアウトは理に適っていなかった。

快適性を求め、パワーステアリングとエアコンを標準装備し、内装はコノリー・レザーで仕立てられた。タイヤはミシュランXWXで、幅は215と当時の最新サイズ。クロモドラのセンターロック式ホイールが足元を引き締めた。

最高出力は324psで、最高速度は241km/h。燃費は3.9km/Lがうたわれ、ツイン燃料タンクを満タンにすれば640kmの航続距離が得られた。

365 GT4 2+2にATは採用されなかったが、同時期のマセラティやランボルギーニを考えると、フェラーリも念頭にはあったはず。実際、北米のディーラーは400型と呼ばれるGM社製のATへ換装して販売もしていた。

インジェクションの400 GTiへ進化

マラネロも、AT仕様の365 GT4 2+2を受け取り評価している。そして、1976年のパリ・モーターショーでマイナーチェンジ版となる400 GTと、400 オートマチックを発表。V型12気筒はロングストローク化され、4823ccへ拡大された。

キャブレターは変わらず6基のウェーバーで、8.8:1の圧縮比から344psを発揮。カムと点火タイミングの改良でトルク特性は大きく変化し、44.0kg-m/4600rpmから47.8kg-m/3600rpmへ増大している。

スタイリングでは、フロントのチンスポイラーと、テールライトが6灯から4灯へ変更された点がわかりやすい。ホイールは5本のボルトで固定され、ドアミラーは電動式に。インテリアもわずかにアップデートされた。

リアシートへの乗降性を高めるため、自動で前方にスライドするフロントシートも獲得。荷室が小さくなることを受け入れれば、リア用の2基目のエアコン・システムを組むことも可能だった。

1979年には、キャブレター仕様の400 GTはインジェクションの400 GTiへ進化し、環境負荷と冷間時の始動性を改善。ボッシュ社のKジェトロニック・システムと非接触式ディストリビューターを組み合わせ、2基並んだ直列6気筒のように制御された。

ただし最高出力は314psへ、最大トルクは41.9kg-mへダウン。英国価格は3万1809ポンドへ上昇したが、512 BB、ベルリネッタ・ボクサーより2000ポンド安かった。

また400 GTiには、新しいオプションとして電動サンルーフが登場。タイヤはミシュランTRXが選ばれた。

この続きは後編にて。

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