■いま見ても魅力的な日産のコンプリートカーを振り返る
クルマのドレスアップやチューニングは、一般的に個人がショップなどに依頼しておこなうものですが、自動車メーカーやチューニングショップが独自に仕立てた「コンプリートカー」というジャンルのモデルもあります。
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コンプリートカーはクオリティが高く、車検などの問題もないため一定の人気があり、いまでは数多くのメーカーが市場に参入しています。
そこで、過去に販売された日産車をベースにしたコンプリートカーを、3車種ピックアップして紹介します。
●シルビア オーテックバージョンK’s MF-T
日産「シルビア」といえば、国産スペシャリティカーの先駆け的存在です。初代は1965年にデビューし、代を重ねるごとにコンセプトが変わっていき、1988年に発売された5代目はデートカーとして大ヒットを記録。
そして、1994年に登場した6代目ではトップグレードに220馬力を誇るハイパワーなエンジンを搭載するなど、スポーツカー色が色濃くなりました。
この6代目シルビアをベースに、日産の特装車などを製造するオーテックジャパンが「シルビア オーテックバージョン K’s MF-T」を製作。
1997年に発売されたシルビア オーテックバージョン K’s MF-Tは、後期型の「ツリ目」をベースとし、エンジンは専用のターボチャージャーなどでチューニングされた2リッター直列4気筒ターボを搭載。最高出力はベースの220馬力から250馬力に向上しています。
外観では専用フロントバンパーにサイドステップ、さらに最大の特徴が大型のリアスポイラーの採用で、ハイパフォーマンスさを強くアピール。
内装もホワイトメーター、MOMO製スポーツステアリングなどを装備し、専用の生地を採用したシートやドアトリムによって、スポーティかつ特別な1台であることを演出。
ノーマルとは明らかに異なるフォルムのシルビア オーテックバージョン K’s MF-Tは、ベース車のモデルチェンジのためわずか1年ほどで生産を終えてしまい、いまではかなり貴重なモデルです。
●セドリック ロイヤルリムジン
国産メーカーでは、あまり馴染みがないジャンルのクルマといえば「リムジン」ではないでしょうか。それでも過去に三菱やトヨタ、日産が、わずかながらリムジンを販売していました。
リムジンは専門の運転手がハンドルを握るショーファードリブンカーで、基本的にはメーカーの最高峰セダンをベースにするのが通例ですが、かつてパーソナルセダンの「セドリック」をベースにしたリムジンが存在。
それが、オーテックジャパンが7代目セドリックをカスタマイズした「セドリック ロイヤルリムジン」です。
1987年に発売されたセドリック ロイヤルリムジンは、ベース車のシャシを切って600mm伸ばしてつなぎ直す手法で製造された「ストレッチリムジン」です。
ストレッチリムジンはポピュラーな方法で、専門の架装業者も存在し、さまざまなベース車のリムジン化が可能となっています。
広大なスペースを実現したリアの居住空間に、前席と後席を隔離するパーテーションがある仕様では、後席専用のテレビやオーディオセット、ミニバーなどを装備。
外観では、セドリック ロイヤルリムジン専用のフロントグリルが装着され、長くなった分のBピラーに小窓が設けられているのが特徴です。
当時の価格は1000万円からで装備により価格が変動し、顧客の多くは法人だったといいます。
なお、ホイールベースを150mm延長し、大型のドアを装着した「セドリック ブロアムL」というモデルもあり、こちらは1996年に発売されました。
■究極のGT-Rを目指したコンプリートカーとは!?
●NISMO 400R
1989年に発売された「R32型 スカイラインGT-R」は、レースで勝つために開発されたモデルで、実際に市販車をベースにした「グループA」カテゴリーの全日本ツーリングカー選手権では、無敵の強さを誇りました。
そして、1995年に発売されたR33型 スカイラインGT-Rでは、さらなるパファーマンスアップが図られましたが、当時は最高出力280馬力という自主規制の足かせがあり、飛躍的な性能向上は難しい状況でした。
そこで、日産のモータースポーツ活動を支えるニスモによって、1996年に究極のスカイラインGT-Rを目指して製作されたコンプリートカー「NISMO 400R」が登場。
車名の400Rは、搭載されたニスモチューンの「RB-X GT2型」エンジンが、最高出力400馬力を発揮することに由来しており、まさにコンプリートカーだからなし得た数値です。
具体的なチューニング内容は、2.6リッター直列6気筒ツインターボ「RB26DETT型」をベースに、鍛造の専用ピストン/コンロッド/クランクシャフトによって、排気量を2.8リッターにアップ。
さらにN1タービン、強化エンジンブロック、燃焼室形状が最適化されたシリンダーヘッド、専用にプログラミングされたECUなどを装備。
なお、NISMO 400Rは中低速域のトルクアップを重視して開発されており、実際には400馬力以上の出力も十分に可能だったようです。
外観では専用のエアロパーツやボンネット、全幅を50mm拡大したオーバーフェンダーが装着され、軽量化とともに迫力あるリアビューを演出するチタン製マフラーも、400R専用に開発されました。
一方、サスペンションやブレーキなどは専用に開発されたものではなく、従来のニスモ製スカイラインGT-R用パーツが組み込まれています。
NISMO 400Rの価格は1200万円(消費税含まず)と、ノーマルよりも約700万円アップとなっていましたが、チューニングのメニューからすると打倒な価格ではないでしょうか。
※ ※ ※
日本のコンプリートカーの歴史は30年ほど前からですが、海外メーカーではもっと長い歴史があります。
プレミアムブランドではいわゆるオーダーメイドが可能で、外装色や内装の材質とデザイン、エンジンのチューニングなど、多岐にわたります。
さらに、ロールスロイスやフェラーリなどは、世界に1台だけのクルマを製作してもらうことも可能ですが、高額かつ特別な顧客に限られており、お金さえあればいいというわけではないようです。
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みんなのコメント
これなら付けない方が、シンプルで良いのに。