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【「お迎えグルマ」に異変?】トヨタ・センチュリーとロールス・ロイス 共通点と相違点

掲載 更新 3
【「お迎えグルマ」に異変?】トヨタ・センチュリーとロールス・ロイス 共通点と相違点

そもそもショーファーカーとは何か?

text:Kenji Momota(桃田健史)

【画像】「狂気」に溜め息? ロールス・ロイスの「手仕事」【ディテール】 全50枚

日本のトヨタ・センチュリーと、英国のロールス・ロイス。

どちらも、ショーファーカーの代名詞である。

ショーファーカーとは、なにか?

一般的には、専属の運転手付きのクルマ。いわゆる「お迎えグルマ」というイメージだ。

運転することではなく、後席空間でゆったり過ごすことを優先する。

ただ、大型の高級セダンなら、どれもがショーファーカーと呼べるわけではない。そこには、ショーファーカーたる気品や伝統を兼ね備えていなければならない。

なかでも、ロイヤルファミリーとの繋がりが重要となる。

日本では、天皇陛下や皇族がお乗りになるクルマは御料車(ごりょうしゃ)と呼ばれる。

宮内庁によると、複数台の新旧センチュリーで対応しており、天皇皇后両陛下が国会開会式など公式なお出ましの際には、ナンバープレートに「皇」がある車両、その他の移動の際には、「品川」ナンバーの車両をお使いになる。

英国王室では、長年に渡り公式な行事ではロールス・ロイス・ファントムなどが使用された。その影響から欧州の複数の国では、王室対応でこれまで様々なロールス・ロイスが採用されてきた。

ロイヤルファミリー御用達という名誉が、最上級のショーファーカー作りの基盤となってきた。

だが、近年になりショーファーカーの在り方が徐々に変わってきた印象がある……。

近年ロールス・ロイスが変わってきた

ロールス・ロイスは、ショーファーカーというブランドイメージを積極的に変え、事業は成功している。

ロールス・ロイス・モーターカーズ本社によると、2019年の世界約50カ国での販売台数は前年比25%増の5152台となり、ロールス・ロイスの過去116年間に及ぶ歴史のなかで最多だった。

販売急増の最大の要因は、2018年発表のロールス・ロイス初SUV「カリナン」だ。

全長5340mm×全幅2000mm×全高1835mm、ホイールベース3295mm。最大出力571psのV型12気筒6748ccを搭載。

日本での販売価格は3920万円と、トヨタ・センチュリー(1960万円)の2倍という高値である。

その他、ファントム、レイス、ドーン、ゴーストも着実に販売を伸ばしたが、カリナンに代表されるように、自ら運転することが楽しいロールス・ロイスという商品戦略が目立つようになった。

ロールス・ロイスがBMW傘下となり、フォルクスワーゲン・グループ傘下のベントレーを意識した新たなるブランド戦略が必須となったことが起因し、ロールス・ロイスは進化した。

ファントムとゴーストは、ショーファーカーの代名詞であることは変わりないが、旧態依然としたロールス・ロイスではないことが、現時点でのラインナップと、市場からの需要によって証明されたといえる。

一方、トヨタの単独モデルであるセンチュリーはどう進化したのか?

センチュリー、21年ぶりのフル刷新

「センチュリーは1967年、トヨタグループの創始者である豊田佐吉の生誕100年を記念して発売しました」

「以来、50年にわたり『日本を代表するショーファーカー』として各界のエグゼクティブにご愛用いただいております」

2018年6月22日、21年ぶりのフルモデルチェンジを受け、トヨタ広報部が配布したプレスリリースには、そう記載されている。

実車を見ると確かに、トヨタがいう「日本の伝統美」を感じる。

日本車ではこれまで、コンセプトモデルを含めて、様々なかたちで日本の伝統美を表現してきたが、正直なところ中途半端なものが多かった。

センチュリーは違う。

職人による匠の技を駆使したボディ加工を施す「几帳面」について、製造現場であるトヨタ自動車東富士工場で加工の様子を実際にメディアに公開したが、確かに各部で本物へのこだわりを実感する。

広報車を運転してみたが、2代目と比べてかなり運転しやすい。レクサスの流れを汲む車体とハイブリッドシステム(V型8気筒4968cc+モーター:システム出力431ps)との相性は当然良い。閉鎖されて空間でS字スラロームを行っても、動きにもっさり感はない。

後席での乗車体験もしたが、各部での遮音効果とノイズキャンセレーション機能により静かでゆったりとした時間が過ぎていった……。

どうなる? 将来のショーファーカー

ロールス・ロイスの新たな展開、そしてトヨタ・センチュリーの進化。

こうした状況から、ショーファーカーの未来が少しづつ見えてきたように思える。

今後も、皇族や王室ではショーファーカー本来の姿は残ることは間違いない。政治家や企業経営者向けでも同じだ。

その上で、ショーファーカーであっても、「ファン・トゥ・ドライブ」であることが必要となる。

例えば、トヨタ系のレースやアフターマーケット商品と手掛けるTOM’sが東京オートサロン2020で発表した、車両価格2816万円にカスタマイズされたセンチュリー。

実車を見たが、センチュリーのショーファーカーからオーナーカーへの進化の可能性を感じた。

もう1点は、自動運転だ。日本では今年(2020年)から運転の責任は自動車のシステムが担うレベル3搭載車が、使用条件を限定するかたちで量産される予定だ。

また今後は、運転席に運転者がいない、レベル4やレベル5が現実に始まる可能性だってある。

そうなった場合、ショーファーカーはどうなるのだろうか?

運転はしなくとも、走行中・移動中に「おもてなし」をする、新しい形のショーファーが登場するのかもしれない。

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みんなのコメント

3件
  • お迎えグルマと言われるとつい寝台車のほう思い出す…今はアルファードとかもあるらしいね。
  • オーナーカーに変身しようとして、プレジデントやデボネアが消えていったという日本の歴史があるから、やめといたほうがいい。ルーチェもパッと咲いただけ。
    センチュリーとロールスの何が一番違うかといえば、客筋が一番違う。この差はなあ・・・・
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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