この記事をまとめると
■「ケンメリ」の愛称で知られる4代目スカイライン
生産台数わずか197台! 中古価格1000万円! 悲運の激レア名車「ケンメリ」スカイラインGT-R
■GT-Rはわずか195台しか販売されなかった
■ケンメリGT-Rについて詳しく解説する
悲運と呼ばれるケンメリGT-R誕生の経緯
3代目からフルモデルチェンジにより1972年9月に登場した4代目スカイライン。TVコマーシャルに恋人としてケンとメリーなる人物を登場させ話題を集めたことで、「ケンメリ」と呼ばれるようになりました。
4代目の登場から約1年後の1973年1月、ハコスカに設定されレースで大活躍した2000GT-Rが追加されます。
サーキットで通算50勝を実現し、多くの熱狂的ファンを抱えることになったスカイラインは4代目にもL20T型2リッター直6エンジンを搭載するスポーツモデルの2000GTや、2000GT-XをラインアップしていましたがGT-Rは別物。ファンからの熱い要望を受け、ケンメリGT-Rが登場したといっても過言ではないでしょう。
4代目スカイラインの2ドアハードトップをベースに開発されたケンメリGT-RはハコスカGT-RからS20型エンジンを引き続き搭載し、ほかのスカイラインファミリーにはない四輪ディスクブレーキを装備するなどGT-Rらしさを備えてデビュー。熱狂的ファンから圧倒的な支持を集めます。
一方、ハコスカGT-Rと比べてホイールベースが40mm延長されたことや45kg重くなったことで、スポーツカーとしてはマイルドになったとの声も……。
とはいえ当時の国産車において、圧倒的な走行性能を備えていたことは事実。グランツーリスモとして高い資質を備えたクルマに仕立てられていました。
ちなみに、ケンメリGT-Rの登場に先駆け1972年の東京モーターショーでレース仕様のケンメリGT-Rプロトタイプが出典されていますが、日産のワークス活動停止やベースとなるケンメリ自体が大きく重くなったことでレース参戦の予定はなかったとのことです。
高い走行性能を有していたケンメリGT-Rですが、公害問題に対応する排出ガス規制やオイルショックの影響を受け、デビューから4カ月後に生産中止。幻のGT-Rとなったのです。
ケンメリGT-Rの特徴
パワーユニット
搭載されるパワーユニットはハコスカGT-Rから引き続きS20型2リッター直6DOHCエンジンを継続。ミニソレックス3連キャブレターを備えた同エンジンは最高出力160馬力、最大トルク18kg-mを発揮しました。
先程もお伝えしたようにハコスカGT-Rにも搭載されたエンジンですが、燃料蒸発防止装置が新たに設置されるなど、排出ガス規制に備えた機構も組み入れられました。
足まわり
ケンメリGT-Rの前後サスペンションはベースとなるケンメリの2000GT系と同じフロントがストラット式、リヤがセミトレーリング式を装備。ただ、パワーが増したぶん、スプリングやダンパーが強化されています。
また、リヤスタビライザーも標準装備。コーナリング時に車体を安定させることに貢献しました。
ブレーキは6インチマスターバック付きの四輪ディスクブレーキを採用(ケンメリ2000GT系は前輪のみディスクブレーキ)。S20型エンジンがもたらすハイパワーに制動性能も高められています。
外観
ケンメリGT-Rで目を引くのが合成樹脂製オーバーフェンダー。ボディにビス止めされたオーバーフェンダーにより迫力ある見た目がより強調されていますが、ベースとなったケンメリ2ドアハードトップに対しフェンダーを拡大するために設けられました。
装着されていたタイヤは175HR14インチでしたが、レースでの使用も考え幅広のレーシングタイヤが収まるよう設計されています。
そのほか、フロントグリルもGT-R専用パーツ。トランクにはリヤスポイラーを標準で装着しました。
なぜ生産台数197台で終わったのか
ケンメリGT-Rが登場した1973年は世界一厳しい基準とされた「昭和53年度排出ガス規制」を目前に控え、規制対応に国内自動車メーカーが躍起となっていた時代。60年代後半にかけて盛り上がった国産スポーツカーが排出ガス規制に対応できないとして、モデルが次々と消滅していきました。
そんなスポーツカー暗黒時代に登場したケンメリGT-Rは、スポーツカー好きを中心に大きな話題を集めます。
先程お伝えしたように、パワーユニットは先代モデルとなるハコスカGT-R同様、S20型を搭載し標準ボディに対しオーバーフェンダーを身につけたケンメリGT-Rは“らしさ”満載! 当時としては最強のグランツーリスモに仕立てられたのです。
ただ、昭和53年排出ガス規制の前に施行された「昭和48年排出ガス規制」にもパワーユニットとなるS20型エンジンが適合しないことで、発表からわずか4カ月後に生産中止。結果、ケンメリGT-R は197台を生産し、195台を販売するに終わった希少モデルとなりました。
排出ガス規制が施行されることがわかっているのにケンメリGT-Rが登場したため、一説には「S20型エンジンの在庫を処理するため登場させたのではないか」などともいわれましたが、いずれにしろ歴代スカイラインにおいてもっとも希少なモデルとなっています。
ハコスカGT-Rとは
いまだに続く、スカイラインの名声を高めたのは間違いなく3代目スカイラインに設定された(通称ハコスカ)2000GT-Rでしょう。
1969年に登場した2000GT-Rはモータースポーツへの参戦を目的にレーシングマシンのR380に搭載されていたS20型エンジンを搭載し、トレッドを拡大。幅広タイヤを装着できるようリヤホイールアーチを広げるなどレースでの参戦を目的としたスポーツモデルです。
当初、4ドアをベースとしていましたが、3代目スカイラインに2ドアハードトップが追加されたことで1970年に同車をベース車に変更。
リヤにオーバーフェンダーを装着するなど見た目の迫力も増したハコスカGT-Rは、レースで通算50勝を達成したことでスカイラインの名声を高めるモデルとなりました。
ケンメリ(4代目スカイライン)を振り返る
ケンメリGT-Rのベースモデルとなったのは、1972年にデビューした4代目スカイライン。通称「ケンとメリーのスカイライン(ケンメリ)」は、シリーズ史上とくにユーザーからの人気を得たモデルとなっています。
累計販売台数はシリーズ最大の66万台。スポーツカーとしてはかなりの販売台数だと一見、思ってしまいますがスカイラインはGTカー、そして量販セダン、さらに商用モデルまでラインアップするなど量販モデルだったことがその理由です。
数多くのボディタイプを用意したことが特徴で4ドアセダン、2ドアハードトップ、さらにワゴンと商用バンをラインアップ。
またセダンとハードトップは直4(1.6リッター&1.8リッター)と2リッター直6エンジン搭載車それぞれの全長が異なることも特徴です。
さらにリヤサスペンションが直4エンジン搭載車と直6エンジン搭載車で異なるところもポイント。
直4車はリーフスプリング式のリジットアクスル、直6車はセミトレーリング式(独立懸架)を搭載し、ファミリーカーとスポーツセダンそれぞれの資質に合わせています。
まとめ
自動車ファンから「幻のGT-R」と呼ばれ、いまだに神格化されているケンメリGT-R。排ガス規制やオイルショックなどの影響を受け生産中止となった悲運のモデルです。
ただ、ハコスカGT-Rと比較するとボディが大型化されたことで、たとえ排ガス規制などがなくレースに参戦したとしても活躍できたかはわかりません。
ただ、高い走行性能を有しハコスカよりも快適性が向上した本格的なロードゴーイングカーとして名声を得たことは間違いないでしょう。
ケンメリGT-Rが生産中止にならなかった場合、どのように進化していったのでしょうか。
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みんなのコメント
まあ日産としてはレースに出すなんて考えてなかったからね。イメージ戦略ですな。
日産車でもケンメリは腐りやすいと有名です。それなのにこれだけ残されているのは稀な事です。