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運転の「本質」を味わえるスポーツセダン 10選 一流のドライバーズカーとは何か

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運転の「本質」を味わえるスポーツセダン 10選 一流のドライバーズカーとは何か

幸福な妥協点 親しみやすいスポーツセダン

最新のクルマをテストする仕事をしていると、本当に素晴らしいスーパーカーやスポーツカー、ホットハッチを、ただ単に良いだけのクルマと区別するために、多くの努力と頭脳と言葉を費やすことになる。

【画像】思わず走り出したくなるスポーツセダン【BMW、アルファ・ロメオ、メルセデスAMGなどを写真で見る】 全83枚

しばしば魅力的な作業ではあるが、ある普遍的な真実を覚えておくことが重要である。最高のドライバーズカーとは、逆立ちしても手の届かない高嶺の花では決してないということだ。このクルマを所有したい、乗りたいと思わせ、人の心を満たし、満足感や安心感を与えてくれるようなものが多いのである。

今回選んだ10台のクルマは、このような幸福な妥協点を目指しているのだ。スポーツセダンは古くからあるコンセプトでありながら、最近あまり語られることがない。なぜなら、もっと上位の「スーパー」セダンは、見出しを飾るのも、ラップタイムを記録するのも簡単だからだ。

一般的に、スポーツセダンはスーパーセダンと呼ばれるものよりもパワーが劣るが、より手頃な価格で、より実用的で、よりコンパクトで、物腰が柔らかく、公道で楽しみやすい。また、四輪駆動のものが多く、一年を通してほとんど場所を選ばずに運転するのに適している。もっと控えめで、ステルス的とも言えるモデルもある。いずれにせよ、その魅力と楽しさの度合いから、まさに一流のドライバーズカーと呼べるだろう。

1. BMW M340i xドライブ

BMW 3シリーズといえば、ターマックを駆け抜け、タイヤの白煙を披露するM3が有名だが、最近フェイスリフトされたM340i xドライブは、間違いなく多くの人にとってより魅力的な存在と言える。最高出力374psの直6ターボエンジン、機敏な全輪駆動のハンドリング、充実した装備と堅実な造りが自慢のインテリア、そしてBMWブランドの魅力が相まって、スポーツセダンとしての完成度は高い。3シリーズが長らくそうであったように、このクラスではデフォルトの選択肢となるに値する。

アダプティブダンピング機能付きMスポーツ・サスペンションを標準装備し、サスペンション・ジオメトリーとアクスル・キネマティクスを特別にチューニングしたM340i xドライブは、標準の3シリーズが持つ高いダイナミクス基準を超えている。乗り心地は標準よりソリッドで余裕が少ないため、厳しい路面では攻撃的な硬さを感じるものの、文明的に妥協できる範囲であり、日常生活には十分適していると、試乗した英国記者は書いている。

リアバイアスのかかった四輪駆動をさらに有効活用するために、トルクベクタリング・ロック式リアデフを標準装備している。これにより、選択した走行モードに応じて、スロットルで調整可能なコーナリング姿勢を付加している。このクルマは、必要なときには速く、滑らかで、甘美な回転を見せるが、悪天候でも確実な足取りを感じられるし、好みに応じて軽快で活発な動きをしてくれる。価格は6万ポンド(約975万円)近くまで上昇したが、すべてを兼ね備えていることを考えれば、飲み込むに値する薬と言えるだろう。

2. アルファ・ロメオ・ジュリア・ヴェローチェ

これまで数多のV6エンジンを人々の脳裏に焼き付けてきたアルファ・ロメオの中で、4気筒エンジンは見過ごされがちな存在である。加えて、洗練されたキャビンや調整可能な電子制御スタビリティコントロールと相まって、ジュリア・ヴェローチェがスポーツセダンとして認識されないこともしばしば。しかし、ハンドリングのバランス、鋭敏さ、そしてオールラウンドな能力という点で、傑出した存在であることは間違いないだろう。

比類なきダイナミクスと超ダイレクトなステアリングを持つシャシーは、このクルマを実用的な5シーターというよりも、時にはスポーツカーのように感じさせる。また、グリップレベルのバランスも実に素晴らしく、それを最大限に生かすことができるスタビリティコントロールシステムも美点である。ヴェローチェにはリミテッド・スリップ・ディファレンシャルが装備されているが、残念ながら、電子制御を完全に解除できるのは最上級グレードのクアドリフォリオだけだ。

ターボチャージャー付き2.0Lガソリンエンジンは、280psという健康的なパワーを発揮し、4気筒ターボとしてはかなり心地よいサウンドと回転数を持っている。ただ残念なのは、このシャシーが持つ価値とはズレているということだ。他の点では、ジュリア・ヴェローチェは素晴らしいの一言に尽きる。特に、4万6000ポンド(約755万円)をわずかに超える価格と、2023年のフェイスリフトで外観が改められ、車載システムやインテリアの仕上がりが向上することも嬉しいポイントである。

3. メルセデスAMG C 43

メルセデスAMG C 43は、我々に高性能4気筒エンジン搭載のCクラスというものを初めて見せてくれた。トップエンドにはPHEVのC 63が控えているが、こちらは今のところ生ぬるい歓迎を受けている。C 43は、筋肉質なC 63とは異なり、高圧電力を使用せず、ターボチャージャー付き(コンプレッサーは電気モーターでアシストされ、ラグを減らす)の2.0Lエンジンを搭載し、48Vマイルドハイブリッド・システムとリンクしている。その結果、最高出力408ps、最大トルク51kg-mを発揮し、旧型のV6エンジン搭載車に勝るとも劣らない数値となった。

予想通り、先代のような特徴的なサウンドに欠けるものの、4気筒はスムーズかつ熱心にパワーを生み出し、0-100km/h加速は4.6秒と決して遅くない。コーナーではバシッと姿勢を決めて軽快に走り、ダイレクトで重みのあるステアリング、強力なグリップ、優れたボディコントロールが感じられる。しかし、四輪駆動システム「4マティック」では31:69の前後トルク配分を約束しているにもかかわらず、BMW M340iのようなリア偏向のフィールはなく、よりニュートラルなスタンスを好み、限界領域ではアンダーステアに陥る。

それ以外の点はすべて、Cクラスそのものである。つまり、快適で美しい仕上げのキャビン(テック的にはやや過剰だが)、一流のクルージング・リファインを備えているのだ。しかし、アダプティブ・ダンパーを一番ソフトに設定しても、乗り心地は硬いままだ。また、BMWのライバルよりも1万ポンド以上高い価格設定もネックになっている。

4. プジョー508 PSE

プジョーで最もスポーティな508は(厳密にはハッチバックだが)、税制面でお得なPHEVモデルが欧州の社用車ユーザーに大いなる楽しみを与えている。ターボチャージャー付き1.6Lガソリンと2基の電気モーターを組み合わせたPSE(プジョー・スポール・エンジニアード)は、360psというパワーを発揮しながら、EVモードで42km走行できる。

さらに重要なポイントとして、ハンドリングがダイレクト感と鋭さを持っており、かつてフランス車の名刺代わりだったコントロール性と快適性の稀有な組み合わせを示している。意気揚々とコーナーに飛び込み、立ち上がりでは、リアに搭載された電気モーターがラインをまっすぐにしようとするのを感じることができる。508 PSEは常に路面と呼吸を合わせており、曲がりくねったターマックを満足のいくまで走破できる。

トランスミッションは少し不器用に変速するが、ハイブリッドパワートレインと低速走行との相性がよく、狭い裏道や渋滞時には適している。そして、リラックスしたいときには静かで滑らかな走行を実現し、大胆にデザインされたインテリアが、素材の質感と堅実さで高級車に匹敵するほどの安定感を与えてくれる。他とは違うって最高だ。

5. メルセデスAMG CLA 35 4マティック

ドライバーズカー同士を比較するとき、小さい方が有利ということはよくある。では、メルセデスAMGの小型4ドア・クーペ、CLA 35の場合はどうなのだろうか。正直なところ、それは何を基準に比較するかによる。

まず、メルセデスには2つの4ドア・クーペがあるが、そのうち小さい方がCLAで、大型のCLSのエレガントさとスタイルをずっと安い価格で提供しようというコンセプトである。しかし、Aクラスのハッチバックよりも実用性に劣るのは間違いない。また、横置きエンジンのため、四輪駆動システムは限定的なものでしかなく、スロットル操作によるハンドリングのバランスでは、後輪駆動ベースの四輪駆動車と競合することができない。

AMGのCLA 35では、306psの2.0L 4気筒ターボエンジンが搭載され、肉厚で触感の良いステアリングや、適度で落ち着きのある乗り心地とハンドリングが魅力的だ。しかし、2ペダルのツインクラッチ・トランスミッションは、あまり洗練されておらず、その荒々しさと予測不可能さに失望することもある。

6. アウディS3セダン

S3の4ドア・セダンは、2013年の3代目までファミリーの一員ではなかったが、その後すぐにモデルレンジに馴染んでいったようだ。2020年デビューの新型A3のラインナップに加わることも驚きではなかった。また、S3は、尖ったパフォーマンスモデルのRS3の下に控えるモデルである。

新型S3は、標準車より角ばったデザイン、わずかに拡大したホイールアーチを使用することで、これまで以上にアグレッシブに見せている。MQBスケーラブル・アーキテクチャーを発展させ、従来からあるターボチャージャー付き2.0L 4気筒エンジン「EA888」から最高出力310psを発揮し、ハルデックス製トランスミッションを介して4本の車輪を駆動する。スムーズで艶やかなパフォーマンスを発揮し、低速域での力強さとリニアなパワーデリバリーで、0-100km/h加速を4.8秒で走破する。

しかし、やや控えめなドライビング・エクスペリエンスに変化はなく、アウディのスポーツ性もラグジュアリーなフィルターを通して伝わってくるため、楽しさの要素は(すべてとは言わないが)消されている。常に安定していて、悪天候でも落ち着きを保っているが、運転するための道具としては、メルセデスAMG CLA 35をはじめとする他車に遅れをとっている。オプションのアダプティブダンパーにチェックを入れなければ、しっとりとした乗り心地も捨てることになる。

デザインとしては、高級感ある素材を用いたインテリアと相まって、比類ない魅力を備えている。そして、毎日一緒に暮らす気楽でスポーティな小型セダンとして、無視できない輝きを持っている。

7. フォルクスワーゲン・アルテオンR

プジョー508と同様、アルテオンは厳密にはハッチバックだが、その流麗なラインはさながらセダンであるかのように錯覚させる。パサートに続いて、縮小しつつあるDセグメントでフォルクスワーゲンの旗手となるモデルである。しかし、今回アルテオンRをピックアップしたのは、洗練されたエクステリアにゴルフRの心臓が隠されており、パフォーマンスにも優れているためだ。

アウディS3と同様、定評のあるEA888型2.0L 4気筒エンジンが搭載されているが、アルテオンRでは最高出力320psにチューニングされており、0-100km/h加速4.9秒という速パフォーマンスを実現している。また、7速DCTはスムーズで素早いシフトチェンジを見せる。

大きなクルマだが、それでもハンドリングは落ち着いていて正確。ステアリングは滑らかで、自然な反応速度が特徴だ。また、ターンイン時の食いつきもよく、腰のあたりでクルマが綺麗に旋回するような、まるでカサガイ(貝の一種)のようなグリップがある。調整機能はほとんどなく、路面で何が起こっているかという基本的なことを教えてくれるだけのフィードバックしかないが、それでもつい道路に躍り出たくなるような好ましいデバイスである。

広々としたキャビン、快適な乗り心地、そして力強さを備えたこのドイツ車は、すべてをこなせる高速ファミリーカーを求める人にとって、素晴らしい選択肢となるはずだ。

8. アウディS4

アウディが2019年に、爽やかな「S」モデルの多くをガソリンからディーゼルに切り替え始めたのは、特にここ数年のディーゼルゲートの影響を考えると、大胆な決断だったと言えるだろう。これは、自動車業界のエンジニアや意思決定者たちが、スポーツセダンのスピードとドライバビリティ、そして効率性と洗練性の両方を求める人たちにとって、ディーゼルエンジンに勝るものはない、という考えをいまだに受け入れているという重要なサインでもある。

そして、アウディS4には大きなディーゼルエンジンが搭載されることになった。具体的には、ターボチャージャー付き3.0L V6ディーゼルエンジンに、48Vマイルドハイブリッド・システムと電気駆動ターボを追加し、最高出力340psと最大トルク71.4kg-mを発生する。

ローンチコントロールシステムとクワトロシステムの助けを得て、0-100km/h加速4.8秒という数値を叩き出す。そこから8速ATのギア比を活かして高速で駆け抜け、あまり意識させることなくスピードを積み上げていく。

クイックな走りが得意で、安定感も高いのだが、その運転体験は特に刺激的で豊かなものというわけではない。V6の音は印象に残らないし、ハンドリングが生き生きとしてくるのは、ハードなドライビングをしようとしたときだけだ。とはいえ、クイックに、控えめに、そして驚くほどの低燃費で走りたいなら、S4は一見の価値がある。

9. ジャガーXF P300 Rダイナミック

ジャガーのスポーツカーブランドとしての評価が、大排気量で後輪駆動のスポーツセダンによって築かれてきたことを考えると、スムーズな多気筒エンジンとFRの純粋さを求めるジャガーファンにとって、現代の選択肢がいかに乏しくなったかは驚きである。実際、XEもXFも、もはやそのような組み合わせを提案することは不可能になっている。

現在、クイックかつ有能なジャガーセダンは、最高出力300psの2.0Lターボと8速AT、四輪駆動システムの組み合わせに限られている。後輪駆動の場合は250psまでパワーが落ち、スポーツセダンの中では少し弱気な部類に入る。XEとXFはどちらも高出力仕様が用意されているが、編集部が好むのは後者で、広くて高級感のあるインテリアを備えている。

嬉しいことに、XFはハンドリングが特に優れている。自然なペースで直感的に操れるステアリングと、しなやかなシャシーは、安定した姿勢と乗り心地を見事に両立しており、P300は現在のジャガーから選ぶにふさわしいモデルである。また、後輪駆動が恋しくなるかもしれないが、リアバイアスのかかったセットアップにより同様のフィーリングを得ることができる。不意に横滑りする危険もない。

一番のウィークポイントはエンジンで、大した特徴がなく、0-100km/h加速も7.1秒と、速いというより「遅くはない」程度に考えるべきだろう。

BMW 5シリーズやメルセデス・ベンツEクラスほど広くはないが、両車にはない活気と魅力が感じられる。価格も英国では4万7000ポンド(約760万円)からと、比較的お手頃になっている。

10. テスラ・モデル3 RWD

テスラのエントリーモデルとはいえ、243psのパワーと後輪駆動、そして洗練されたセダンボディは、この記事を締めくくるのにぴったりだ。リアに搭載されたモーターがスムーズで瞬発力のあるトルクを発揮するため、0-100km/h加速5.8秒という数字からは想像できないほど速く感じることができる。

正確なステアリングと低く配置されたバッテリーパックによって、コーナーの入口から出口までフラットかつ敏捷に駆け抜けるような感覚を生み出している。フィードバックはあまりなく、特に過敏な電子安全システムが介入すると気が抜けてしまうが、介入度を少し下げると、流れるように地面を進んでいく。

ワイドスクリーンのインフォテインメント・スクリーンを備えたミニマルなインテリアレイアウトは、好き嫌いが分かれるところだ、広くて快適で洗練されており、品質も向上しているように見える。また、航続距離約380kmという数値はあまり自慢できるものではないが、テスラのスーパーチャージャー・ネットワークを利用すれば、充電についてもあまり難しく考えなくてよくなる。

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みんなのコメント

17件
  • ジャガーをねじ込むのがAutocar流。
  • それに対して国産車はね、
    エンジンは10モード燃費スペシャルで官能性が皆無。
    ミッションは出来が悪い3速か4速のオートマかCVT。
    足回りはひたすらフワフワでまっすぐ走らせるのも難しいか、極端にガチガチに固めてしなやかさ全然がないかのどちらか。


    (笑)
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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