現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 数値が小さくても「運動性能」に優れるわけじゃなかった! クルマ好きが大事にする「パワーウェイトレシオ」の落とし穴

ここから本文です

数値が小さくても「運動性能」に優れるわけじゃなかった! クルマ好きが大事にする「パワーウェイトレシオ」の落とし穴

掲載 更新 15
数値が小さくても「運動性能」に優れるわけじゃなかった! クルマ好きが大事にする「パワーウェイトレシオ」の落とし穴

 この記事をまとめると

■パワーウェイトレシオは車両重量を最高出力で割ったクルマの性能を示す一つの指標

究極ダイエットの激レア車!  走り命で思いっきり軽量化した強烈な国産スポーツモデル3選

■パワーウェイトレシオが優れている方が動力性能も優れているとは限らない

■トルクウェイトレシオに優れるEVだが総合的な運動性能面ではガソリン車には敵わない

 F1マシンのパワーウェイトレシオは1kg/馬力を下まわっている

 クルマの性能を示すひとつの指標として「パワーウェイトレシオ」がある。そのクルマの車重を最高出力で割った値(車重÷馬力)で示され、例えば車重1000kgのクルマに100馬力のエンジンが搭載されていたら、パワーウェイトレシオは10kg/馬力となる。同じ車重のまま馬力が200馬力に高まれば、同値は5kg/馬力となり、また同じ馬力のまま車重が1500kgに増えれば同値は15kg/馬力となる。つまり、パワーウェイトレシオは、その数値が小さいほど1馬力当たりの負担重量が軽くなるわけだ。

 それはとくに動力性能面で有利に作用する。ゼロ発進加速性能などを検証する場合、パワーウェイトレシオが小さいほうが、加速性に優れると判断できるからだ。

 このことからパワーウェイトレシオを好数値にするにはふたつの手段があることがわかる。車重を軽くするか、馬力を高めるかだ。その両方が果たせれば数値は劇的に向上する。

 たとえばランボルギーニ・アヴェンタドールの場合、最高出力は740馬力、車両重量も高価なカーボン素材の多用による軽量化によって市販状態で1575kgほどとなっている。そこからパワーウェイトレシオ値を求めれば1575kg÷740馬力=2.1kg/馬力となる。

 さらに世界最速のF1マシンをみれば、車両重量650kgに最高1000馬力のパワーユニットを搭載している。そのパワーウェイトレシオ値は単純計算で0.65kg/馬力となり、1kgを下まわっている。いかに強力な動力性能を誇っているかを知るには十分な指標になっているといえるだろう。

 パワーウェイトレシオに優れるから動力性能も優れるとは限らない

 だがパワーウェイトレシオは計算値であり計測値ではない。0-100km/hや0-400m発進加速タイムなどは実際に計測して示されるのだが、パワーウェイトレシオは計算式に過ぎないのだ。パワーウェイトレシオ値が半分の値なら、加速タイムも半分になるというわけではない。

 2012年に0-100km/h発進加速で2.8秒を計測し、世界最短タイムを誇った日産GT-Rは、当時の仕様で最高出力が550馬力、車両重量は1700kgほどだったから、パワーウェイトレシオは3.1kg/馬力。前述ランボルギーニ・アヴェンタドールの2.1kg/馬力より劣る数値だが、アヴェンタドールの0-100km/h発進加速タイムの公表値は2.9秒で、実際に計測される動力性能としてはGT-Rが上まわっているのである。

 このようにパワーウェイトレシオは性能を表す指標にはなっても、実際の走りが優れているとはいえないのである。

 たとえば雪道など路面ミューの低い場所を走れば、パワーウェイトレシオ値の如何より、雪道に適したタイヤを装着しているかどうか、のほうが大きく走行性能に影響する。いくら軽くて馬力の大きなエンジンを搭載しても、それを路面にうまく伝えられるグリップの優れたタイヤや、駆動力をうまく引き出せる電子制御がなければ、駆動輪はただむなしく空転するだけで軽さもパワーも意味を持たなくなってしまう。

 コーナリング性能など運動性能に関していえば、車体の軽さはアジリティを高め有効に作用する。だがハイパワーエンジンはランボルギーニのV12気筒エンジンのように重く、その搭載位置によっては車体の重量バランスを崩し運動性能に悪影響を与える。軽量コンパクトなパワーユニットから大きな出力を絞りだすにはターボ過給器の装着が効率よく、F1マシンも含め現代のスポーツカーの多くがターボチャージャーを装着している。

 またブレーキ性能面では重さは致命的となり、いくらパワーウェイトレシオが優れていても、絶対重量が大きければ減速時にブレーキに過大な負荷がかかることを忘れてはいけない。

 一方、トルクウェイトレシオという値もあり、これは車両重量をパワーユニットの最大トルクで割った値となり、低速域から最大トルクを幅広い回転幅で発揮できるEVモーター搭載車などは好数値になる。ただ、その動力を引き出すエネルギーの供給源となるバッテリーは重量が重く、こうした数値を低下させる要因にもなっている。

 テスラは電気モーターの特性を利してトルクウェイトレシオの優れたモデルSで0-100km/h発進加速タイム2.1秒という日産GT-Rを凌駕する発進加速性を計測することに成功し公表しているが、軽くて高効率なバッテリーが開発されないかぎり、総合的な運動性能面では軽量かつハイパワーなガソリン車を上まわることはできていない。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
AUTOSPORT web
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
AUTOSPORT web
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
ベストカーWeb
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
AUTOSPORT web
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
ベストカーWeb
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
AUTOSPORT web
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
Auto Messe Web

みんなのコメント

15件
  • パワーウエイトレシオを最初に見たのは「サーキットの狼」だったなぁ。
    特に加速性能の目安にされていたけど、実際には重量配分の前後上下やタイヤなどの付属品の条件によって違ってくるし、1000kgで100馬力と2000kgで200馬力はパワーウエイトレシオは一緒だが重さに働く慣性が違う。
    重たければ動き難く、曲がり難い、止まり難い。
    重量配分の50/50とかもそうだけど、条件がはっきりしないのに数値だけ一人歩きするのは良い事では無い。
  • だいたいの車両のパフォーマンスを示す数字でギア比や駆動形式で実際の性能は変わってくる。
    乗って見なきゃわからない部分があるが購入時にある程度予測する指標にはなる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

5567.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2950.09680.0万円

中古車を検索
アヴェンタドールの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

5567.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2950.09680.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村