当時はまだ珍しかったコンピューターグラフィックスをいち早く取り入れ、画期的な映画として話題をさらったディズニー制作の『トロン』(1982年)。その28年ぶりの続編として公開されたのが『トロン:レガシー』(2010年)です。前作では技術的に描き切れなかった“デジタルの世界”が、最新技術で見事に表現されたSFアクションムービーです。
愛用のドゥカティで走り去る父ケヴィン。その姿を最後に、幼い主人公サムを残してケヴィンは突如として消息を絶ちます。それから20年。父が起こしたゲーム会社は、今やIT市場の大部分を担う大企業にまで成長。その会社の“形だけ”の取締役として日々を過ごす青年サムは、父の理想としたものからどんどんかけ離れていく会社を横目に、どこか空虚な日々を過ごしています。
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そんなサムに伝えられたのは、創業から会社を支え続けてきた父の相棒・アランに届いた父からの謎のメッセージでした……。失踪した父の消息を追い、“グリッド”と呼ばれるデジタル世界に偶然迷い込んだ主人公サムは、その世界に隠された人類の存在を脅かす秘密を知り、壮絶な戦いに挑むことになります。
『トロン』シリーズの中でも、最も印象的といえるのが“ライト・サイクル”と呼ばれるデジタル世界に登場するバイクです。車体に輝くネオン思わせるような光のライン、飛行機雲のように“光を引き”ながら走る特徴的なバイクアクションは、最新の映像技術により前作以上の驚きや感動を見る者に深く印象づけています。ライト・サイクルのシーンはもちろん、全編コンピューターグラフィックスで描かれていますが、その爽快な走りとスタイリッシュなバイクアクションは、バイクファンを満足させてくれるでしょう。その革新的な映像技術のみならず、フランスの電子ミュージックデュオ、ダフト・パンクが音楽を担当したことでも話題となり、音楽と最新映像の見事な融合も本作の見所のひとつとなっています。
デジタル世界で自在にライト・サイクルを操る主人公サムが、現実世界で愛用しているのがドゥカティのスポーツクラシックシリーズ「スポーツ1000」です。運転姿勢が前傾になりやすく、運転性では難易度の高いデザインですが、劇中でサムが見事に乗りこなすのは2人乗りタイプの「スポーツ1000ビポスト」。“グリッド”の中でサムを助けてくれたヒロインのクオラを乗せて、朝焼けの中を走るラストシーンが印象的です。作品の冒頭では、現在の会社のやり方に不満を持ったサムが会社侵入を企て、愛用のドゥカティで街を疾走します。そこに現れたのが速度違反を取り締まる警察。BMWの「R1200RT-P」を操る警察とサムのドゥカティスポーツ1000のチェイスシーンも見逃せません。
20年の時を経て父が息子に投げかけた言葉のひとつが、「ドゥカティはどうだ?」です。理由も告げずに姿を消した父が愛したドゥカティを、小さなガレージハウスでこつこつと整備を重ねながら乗り続けたサム。思い出のドゥカティは20年の歳月を結びつける重要なアイテムとしても描かれています。
思う存分バイクを走らせたあとは、久しぶりに親子で映画鑑賞などはいかがでしょうか。現実世界では味わえない革新的バイクアクションを『トロン:レガシー』で、親子そろって体感してください。
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