ルーツは第二次世界大戦で活躍したウィリスMB。現行型も偉大なる歴史を継承
ジープ・ラングラーを価値ある1台だと思う理由はいくつもある。まずはSUVのパイオニアと呼べる歴史だ。ルーツは第2次世界大戦中の1941年に軍用車として開発されたウィリスMB。終戦の年にこれを民生用に設計し直したCJから市販車としての歴史が始まった。その後、世界中で同種のクロスカントリー4WDが生まれたが、起源はすべてジープにある。
電動開閉式ルーフを採用したジープ・ラングラー・アンリミテッドの限定モデルが日本上陸
スタイリングはひと目でジープとわかる。丸型ヘッドランプと7本の縦スロットが入ったフロントグリル、ボディから独立したフロントフェンダー、垂直に近いフロントウインドーなど、70年以上前のCJで確立したデザインを、現在も受け継いでいる。機能に優れたものは変えないという主張だろうか。
メカニズムにも強いこだわりがある。ボディとは別体のラダーフレームを持ち、サスペンションは前後ともリジッドアクスルというシャシー構成をかたくなに守っている。もちろん駆動方式は4WD。最新モデルはセンターデフを備え、副変速機でリジッド4WDやローレンジが選べるヘビーデューティ仕様だ。ルーフとリアクォーターパネルは脱着可能な樹脂製。内側に頑丈なロールケージを装着し、安全性を確保する手法は、オープンボディが基本だったころの構造を継承している。
インテリアは機能優先。メーターは丸いアナログ式、ATセレクターと副変速機はレバー、スイッチは確実性を優先した形状と、ジープらしい造形である。
卓越した走破性。オフロードのスポーツカーと呼びたい!
走りは歴史や見た目から受ける印象にふさわしい。オフロードに行けば、卓越した走破性を発揮する。伝統的な設計で性能を追求したクルマならではの、操る楽しさが味わえる。オフロードのスポーツカーと呼びたくなるほどだ。
現行型はオンロードでの快適性や安定性も飛躍的に向上した。エンジンは旧型から継承した3.6リッター・V6自然吸気(284ps/347Nm)の他、新たに2リッター直4ターボ(272ps/400Nm)を設定。旧型で5速だったATが、一挙に8速になったため、2リッターでもアクセル操作に対してリニアに加速する。
新型はドライビングポジションが自然になり、乗り心地は格段に快適になった。旧型より小回りが効くことも朗報だ。フットワークはおっとりしているものの、コーナーでのロールの出方は自然で、腰高感はない。
長い歴史が培った比類なき個性を継承しつつ、現行ラングラーは実用車として満足できる柔軟性を持っている。根強い人気にさらに拍車が掛かるだろう。
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