両ブランドが関係した2台のモデル
前回はイベント取材に対する思い入れと、ランチアランチの簡単なレポートを書かせて頂いた。ここでは書ききれなかったオーナーさんのご紹介をしたい。今回はランチア・クラブ・ジャパンとクラブ・ザガート・ジャポネのコラボレーションということで、両ブランドが関係したモデル2台のオーナーさんをセレクトした。まずは1992年の『ハイエナ・ザガート』に乗る木村英智さんから。
【画像】『ランチアランチ2024ザガート・ミーツ・ランチア』参加車たち 全111枚
木村さんのことは一方的に存じ上げていた。2019年に京都の二条城で開催された伝説のイベント、『コンコルソ・デレガンツァ京都』の主催者であるからだ。そこにランボルギーニ350GTZという、これまで解像度が低い洋書やWEBサイトの写真でしか見たことのないこれまた伝説の1台が展示されており、取材に訪れた現場で悶絶したのをよく覚えている。他もラインナップが豪華すぎて……。
なおコンコルソ・デレガンツァ・ジャパンはコロナ禍などで開催されていなかったが、今年、2019年の二条城以来6年ぶりに復活する。3月15~16日に奈良の薬師寺での開催が決定しており、公式HPでの告知も始まっているので、詳しくはそちらをご覧頂きたい。
ハイエナ・ザガートは、0号車となるプロトタイプ
そんな木村さんは世界的なザガート・コレクター、アンバサダーとして知られていて、この日持ち込んだハイエナ・ザガートはなんと0号車となる、プロトタイプだという。
ハイエナ・ザガートは、ランチア・デルタ・エボルツィオーネをベースにザガートのオリジナルボディを搭載した伝説のモデルだ。1992年にザガート75周年記念に75台の販売が企画されたが、結果的には24台のみの生産となった。ハイエナは現在ザガートを率いるアンドレア・ザガート氏が最初に手掛けたプロジェクトということもあり、アンドレア氏の思い入れがあるそうだ。
木村さんは最初、フィアット・アバルトのザガート・ボディである(フィアット、アバルト、ザガートのトリプルネーム!)レコルト・モンツァを手に入れ、その後、ES30型SZを加えるなど、だんだんとザガートが増える中で、ハイエナの売り物を見つけたという。
そしてそれがプロトタイプとわかり、相場よりは高価であったものの、2019年のザガート100周年が迫っていたこともあり手に入れた。その後は100周年イベントに出場したり、イタリアに1年置いて、トリノの博物館に展示されたりと、様々な場所でイタリア車好きの目を楽しませている。ご本人もかなり気に入っている様子で、プロトタイプと市販版の違いなどを教えてくれた。
フラミニア・ザガートはめちゃくちゃいいクルマ
もうおひとりご紹介したいのが、1963年の『フラミニア・ザガート』に乗る森至布(よしのぶ)さんだ。写真はなんと自作されたというテーブルで、その左奥に写っているのが森さんのフラミニアである。
このクルマの美しさに関しては、今さら語るべきではないだろう。美しいフォルムではあるが、ダブルバブルのルーフに代表されるザガートらしいアイコンもあり、個人的にも憧れのランチアである。ちなみに森さんはピニンファリーナ・ボディである1954年のランチア・アウレリアGTもお持ちで、ザガートとピニンファリーナ両方がガレージに並ぶという、非常に羨ましい日常を送っていらっしゃる。
森さんは京都で亀岡トライアルランドを1972年に創業され、現在は息子さんに譲られたが、ガレージキットの販売でご存知の方も多いだろう。若い時にバイク選手として活躍し、社名のトライアルはバイクのカテゴリーに由来する。当初はトライアル系のヘルメットやブーツなどの輸入を行っていたが、それだけでは……と始めたのがガレージキット販売であった。
輸入のノウハウもある森さんはアウレリアを1993年にイタリアから直接購入したそうで、レストアもメンテナンスも全て自分で行えるため、ランチアはメカが面白いと語っている。例えばV6エンジンのクランクシャフトが、アストン マーティンやジャガーの半分くらいしかないことなどだ。
フロントのエンジン搭載位置が比較的後方で、重量配分もよく、エンジン自体はトルクがあってスムーズな走りを見せるそう。それほどスポーティではないが、乗りやすくて安心感もある。「フラミニアはめちゃくちゃいいクルマですよ!」とにこやかに語ってくれた。
なお取材日は、ランチアとザガート合わせて80台ほどが集結していた。一部押さえきれなかったクルマもあるが、会場全車を撮影してきたので、ギャラリーもご覧頂きたい。
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