車両や燃料価格が上昇し続けるなか、軽自動車が改めて注目されている。軽自動車の国内における保有台数は全体の4割を占めている。経済的、コンパクト、環境にもやさしいなど、3拍子揃う軽自動車の真価を改めて検証してみよう。
文/鈴木喜生、写真/ダイハツ、スズキ、写真AC
バカ売れN-BOXが超絶貢献!? 日本人の4割が軽オーナーに!! ファーストカーを軽にすべき理由4選
意外なほど高い!! 軽自動車のシェア
国内における軽自動車の保有台数は、2023年3月末時点で2307万718台。これは普通車(2057万58台)と小型車(1831万2359台)を大きく上回り、全体の37%以上にのぼる。
軽自動車の国内保有台数は、実は普通車と小型車よりもはるかに多い。もはや軽自動車がセカンドカーというイメージは払拭されつつある!?
また、貨物や特殊用途の車両まで含めれば、軽自動車の国内登録総数は3159万4922台(2023年3月末時点)にもなり、国内の総保有台数(7849万32台、二輪車除く)の40%以上を占めることになる。
軽自動車の保有台数は、国内の総保有台数の4割以上を占めている。ビジネスユースを含めているとはいえ、かなりの割合といえる
こうした軽自動車の人気はさらに加速しており、2022年4月から2023年3月における1年間の新車販売台数は、前年比7%増(日本自動車販売協会連合会の公表資料)という状況。昨今の経済状況からすれば、あらゆるコストが安い軽自動車の活況は、いましばらく続く可能性が高い。
100万円以下で新車が買えるお得感!!
軽自動車の人気の理由は、その車両価格の安さが第一にあげられる。近年では軽自動車においても豪華な仕様のモデルが多いいっぽうで、新車価格が税込で100万円を切るものもある。
車両本体価格が抑えられれば、そのぶん本当に必要と感じられるオプションを付ける金銭的余裕ができるというのもうれしいポイント。以下に紹介するモデルがその代表例だ。
●スズキ「アルトA」(2WD・CVT)94万3800円(税込)
アルトA(2WD・CVT)は、オプションのバックアイカメラ付ディスプレイオーディオ(5万5000円・税込)を付けても100万3000円とお買い得
丸みを帯びたデザインは女性に人気。同ラインナップのなかでもっとも低価格なモデル「A」は2WD仕様のガソリン車。夜間の歩行者も検知する「デュアルカメラブレーキサポート」や「6エアバッグ」を標準装備したサポカーS「ワイド」の適合車だ。
●ダイハツ「ミラ イースB」(2WD・CVT)86万200円(税込)
ミラ イースBは、4WDでも99万2200円(税込)と、100万円を切る価格。すうどんモデルとはいえ、これはお買い得!
ロングセラーシリーズ「ミラ」のなかで、特に低価格な「ミラ イース」のモデル「B」は、2WD仕様がなんと86万200円(税込)。4WDでも99万2200円(税込)であり、現行モデルとしてはもっともお手頃価格。
ダイハツの「ミラ」シリーズには「ミラ イース」のほかに「トコット」もある。こちらはどのグレードにおいても税込価格が100万円を超えるが、その内容からすれば、やはり超低価格モデルといえる。生活のアシとして長く乗るのであれば、あえて中古車を選ぶよりも安心で快適といえるのではないだろうか。
●ダイハツ「ミラ トコット L “SA III”」(2WD・CVT)116万2700円(税込)
装備が若干簡素にはなるが、ミラ トコット L “SA III”のG “SA III”との差額を考えると、こちらのほうがお買い得
クラシカルでシンプルなデザインが印象的な「ミラ トコット」は、ステレオカメラやソナーセンサーで歩行者や先行車などをとらえる「スマートアシストIII」を搭載しており、サポカーS「ワイド」の適合車。4WD仕様129万4700円(税込)もラインナップされている。
これらのモデルにおいて特筆すべきは、これだけ低価格でありながら、どれもが「セーフティ・サポートカーS」の適合車だということ。つまり、安全装備は充実しているという点だ。
軽自動車が我が家のファーストカーになり得るのは、学生からお年寄りまで、誰もが安心して運転できるからこそといえるだろう。
何より消耗品が安い!
軽自動車が必要とするオイルは乗用車と比べて量が少ないので、ワングレード上のオイルを選択してもお財布にやさしい
軽自動車に人気が集まる理由は、手頃な車両価格とともに、ランニングコストの安さにある。つまり、「消耗品」「税金」「通行料金」などだ。
まず「消耗品」からみていこう。消耗品にはエンジンオイル、バッテリー、冷却水、オートマチックオイル、タイヤなどが含まれる。
これらにはグレードや販売店によって価格がピンキリのため、軽自動車、小型車、普通車において厳密に比較することは難しいが、カー用品ショップや通販などの売れ行きやお薦め品をみてみると、おおよそ次のような平均値がみえてくる(※すべて工賃は除く、価格は税込目安)。
【エンジンオイル】
軽自動車/2100円以上(3L缶)
普通車用/4400円以上(4L缶)
【バッテリー】
軽自動車/4500円~1万2000円程度
小型・普通車/1万800円~5万円以上
【タイヤ】(4本セット)
軽自動車/9300円~2万円以上
小型・普通車/1万3000円~5万円以上
特に気候変動の激しい近年、居住地域によってはスタッドレスは必需品。また、車両価格と同様に、これら消耗品や交換パーツの価格も大きく上昇している局面においては、軽自動車の割安感がより際立つ。
自動車税がとにかくお得
また、ランニングコストにおいてもっとも気になるのが税金だ。クルマを所有すると、主に「消費税」「自動車重量税」「自動車税」(または「軽自動車税」)がかかる。
消費税は10%なので、全般的に車両価格が安い軽自動車が有利なのは明らか。また、「自動車重量税」については自家用乗用車の場合、新車から12年間は車両重量0.5トンごとに年4100円かかるが、軽自動車は3300円。つまり最低でも年800円安くなる。
そして、最も所有者に負担がかかるのは「自動車税」。軽自動車の場合は自家用であれば年間一律1万800円、営業用で6900円であるのに対して、用途区分が乗用車になると、その排気量の大きいかによって劇的に跳ね上がる。
下の表は、「2019年9月までに購入」した車両の税額だが、これ以前に購入した車両の場合、さらに高くなる。3リッター以上の排気量のモデルと比較すれば、その差は年間4万2700円にもなるのだ。
ドライバーにとってもっとも負担になる自動車税。軽自動車の税金がいかに安いかは一目瞭然!
通行料金も驚くほど安い!!
軽自動車の通行料金の多くは二輪車と同じ。通勤や通学で有料道を毎日利用するドライバーにとって、その恩恵はとても大きい
そして当然のことながら、軽自動車の場合は通行料も安くなる。
昨今では首都高速の料金は、ETCの有無や時間帯などによって正確な料金がスクランブルされている感があるが、その料金幅だけをみても以下のような格差がわかる。つまり軽自動車のほうが普通車よりも82~93%も安いのだ。
●首都高速(東京)のETC搭載車の場合
車種区分/基本料金
軽自動車/280円~1590円
普通車/300円~1950円
また、東名高速道路を東京から静岡までETC搭載車で走行した場合は以下の通り。その差は通常の時間帯で830円、深夜帯で580円となる。
●東名高速道路(東京-静岡)のETC搭載車の場合
普通車(通常料金)/4300円(深夜3010円)
軽自動車(通常料金)/3470円(深夜2430円)
こうした通行が毎日の通勤となると、その差はより明確に表れる。
例えば神奈川県の厚木から東京ICまでの片道料金(通常の時間帯)は以下の通りで、その差は320円。仮に月に20日間往復した場合、差額は1日往復で640円となり、月に20日間往復すると1万2800円にもなる。これを12カ月で考えれば、軽自動車と普通車では、年間15万3600円も違ってくるのだ。
●東名高速道路(東京-厚木)のETC搭載車の場合
普通車(通常料金)/2110円
軽自動車(通常料金)/1790円
クルマは趣味性の高いアイテムであり、好きなモデルに乗る喜びは大きい。しかし、経済的側面からフラットにみれば、軽自動車を選択することは、究極の財テクといえるかもしれない。
昨今の軽自動車はバリエーションが多く、居住性も良好で、機能も充実し、オプションパーツも多い。もしクルマに趣味性を高く求めないのであれば、軽自動車をファーストカーにするという選択肢を、いま一度検討してみてはいかがだろう?
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みんなのコメント
議員どもが触発されて軽自動車税を上げかねないからw
快適さも向上しましたので、軽自動車が売れるのは当然と思います、但しハイグレードになると
小型車以上の金額になってしまいますので、お得感はありません。