2022年1月、大人気ミニバンであるヴォクシーとノアがフルモデルチェンジを実施しました。ノアには「標準仕様」と「エアロ仕様」があり(ヴォクシーは「エアロ仕様」のみ)、どちらにも2Lの純ガソリン仕様と1.8Lのハイブリッド仕様が用意されています。
発表発売までの事前予約時点で3万台以上の受注があり、すでに大ヒットといえる新型ヴォクシー/ノア、価格だけ比べると先代型より25万円ほど値上がりしているようですが、それでも「お買い得」と言えるのでしょうか?(言えます)
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そして一番お買い得なグレードはどれか? 最速で各グレードを細かく比較してみました!!
文/渡辺陽一郎
写真/TOYOTA、中里慎一郎
[gallink]
■先代と新型を比べると値上がりしててもお買い得?
新型ヴォクシー&ノアが搭載するパワーユニットは、2Lの純ガソリンエンジンと1.8Lのハイブリッドだ。グレード構成は、ヴォクシーはエアロパーツを装着した2グレードで、価格帯は309~396万円になる。ノアには標準ボディもあり、価格帯は267~389万円。
新型ヴォクシー(写真右)とノア(同左)、チーフエンジニアの水澗英紀氏(同中央)は3代続けてノア/ヴォクシーを担当した
ちなみに先代ヴォクシーの価格は、ノーマルエンジンを搭載するZが284万4600円だった。新型の価格帯が309~396万円では25万円以上の値上げになる。
新旧モデルで比較しやすいのは、標準ボディにノーマルエンジンを搭載するノアXだ。新型の価格は、7/8人乗りともに267万円になる。先代ノアXは、7人乗りが258万7200円、8人乗りは255万6400円であった。人気の高い7人乗り同士で比べると、新型は8万2800円高い。
その新型に加わった機能や装備には、歩行者の動きなどから危険を予測してステアリングやブレーキ操作を支援するプロアクティブドライビングアシスト、全車速追従機能付きレーダークルーズコントロール、操舵支援を行うレーントレーシングアシスト、後退時に衝突被害軽減ブレーキを作動させるパーキングサポートブレーキ(先代ノアXは4万5100円でオプション設定)、サイド&カーテンエアバッグ(先代ノアXは4万9500円でオプション設定)などを加えた。これらの装備を価格に換算すると19万円に相当する。
その代わり先代ノアXには、左側スライドドアの電動機能が標準装着されていたが、新型ノアXは両側ともにオプションだ。新型の左側スライドドアの電動機能は6万2700円になる。
つまり19万円から6万2700円を差し引いた約13万円が、新型になって機能や装備が向上した対価だ。新型の価格アップは前述の8万2800円だから、新型ではこの金額で13万円相当の機能や装備が加わった。従って若干だが新型は旧型より買い得度を強めている。
新型ノア&ヴォクシーの価格表
新型ヴォクシー/ノアの純ガソリンエンジンはWLTCモード燃費も向上して、2WDのX同士で比べると、先代型が13.6km/Lで新型は15.1km/Lだ。先代型から新型に乗り替えると、燃費数値上は燃料代を10%節約できる。燃費の点でも新型は買い得度を強めた。
■ヴォクシーハイブリッドの新旧比較
次はヴォクシーのハイブリッドで新旧比較を行う。新型ヴォクシーハイブリッドS-Gの価格は、7/8人乗りともに344万円だ。先代ハイブリッドZSは334万7300円だから、新型のハイブリッドS-Gが9万2700円高い。
新型ヴォクシーハイブリッドS-Gには、プロアクティブドライビングアシスト、全車速追従機能付きレーダークルーズコントロール、レーントレーシングアシスト、サイド&カーテンエアバッグ(先代型のXは4万9500円でオプション設定)、8インチのディスプレイオーディオなどが加わる。パーキングサポートブレーキは、ヴォクシーZSについては先代型も標準装着されていた。
以上、装備の違いを価格に換算すると、新型ヴォクシーS-Gでは、20万円相当の機能と装備が加わっている。新型ハイブリッドS-Gの価格アップは、前述の9万2700円だから、ヴォクシーも新型になって買い得度を強めた。
ハイブリッドもWLTCモード燃費が向上しており、先代ヴォクシーハイブリッドZSは19.0km/Lだったが、新型は23.0km/Lだ。先代型から新型に乗り替えると、数値上は燃料代を17%節約できる。
■一見すると高めに思える価格だが...
このように新型ヴォクシー&ノアの価格は一見すると高めだが、機能や装備の違いも含めて新旧比較を行うと、さほど高まっていないことが分かる。
ミニバンは競争が激しく、2022年の4~6月にはステップワゴン、9~10月にはセレナもフルモデルチェンジを行う予定。そうなるとヴォクシー&ノアも値上げはできない。仮に値上げすると、後発のステップワゴンやセレナに買い得度で負けるからだ。
特にミニバンのユーザーは、ファミリー層が中心になる。子供が就学年齢に達していると、いろいろと日常的な出費も増える。クルマの価格もシビアに判断され、割高になると売れ行きに大きな影響を与える。従ってヴォクシー&ノアは、先代型と同様、価格を割安に抑えた。
ヴォクシー&ノアを購入する時は、まず標準ボディか、エアロかを決める。標準ボディはノアのみの設定でヴォクシーでは選べないから、必然的にノアになる。
標準ボディとエアロの選択は、好みに応じて決めればいいが、エアロの価格は標準ボディと比べて7~8万円の上乗せに抑えた。数年後の売却額(下取り額)はエアロのほうが有利だから、選択に迷った時はエアロを選びたい。
■割安感重視ならノアがオススメ
エアロを購入する時は、ノアかヴォクシーを選択することになる。
ヴォクシーとノア、同じグレード同士で比べると、ヴォクシーのほうが5万~7万円高い。ヴォクシーのフロントマスクを見ると、LEDヘッドランプとクリアランスランプを分離させるなど、外装の形状がノアよりも凝っている。
そこで価格も高まったと考えられるが、5万~7万円の開きは大きい。2021年の登録台数を1か月平均で見ると、ノアは標準ボディとエアロをそろえて3684台、ヴォクシーはエアロ(特別仕様車 煌III)だけで5840台であった。この販売格差を是正するため、ノアは価格を戦略的に安く抑えた。そうしないとアルファードとヴェルファイアのように販売格差が開き、ノアが廃止に追い込まれるからだ。
もともとトヨタが全店で全車を売る体制に移行した背景には、タンクを廃止してルーミーに統合したように、姉妹車を削減する目的も含まれていた。
ところがヴォクシー&ノアでは、両方ともに残して個性化を図り、共存させる狙いがある。従来の姉妹車関係を発展させ、幅広いユーザーを獲得するわけだ。
話を車種&グレード選びに戻すと、前述の通り「割安感」を重視するならノアを選んだほうがよい。
パワーユニットはノーマルエンジンとハイブリッドがあり、後者が割安になる。価格差は35万円に抑えられ、ノアS-Z同士で比べると、購入時に納める税額もハイブリッドは約13万円安い。従って実質差額は22万円に縮まる。
そこでレギュラーガソリン価格を1L当たり160円で計算すると、約6万kmを走れば実質差額の22万円を燃料代の節約で取り戻せる。新型ヴォクシー/ノアの1.8Lハイブリッドユニットは新開発されており、実用回転域の駆動力を向上させて走りの満足度も高めたから、ノーマルエンジンよりもハイブリッドのほうが買い得だ。
■商談は早めに!! 納期に注意
以上のように、新型ヴォクシー&ノアではエアロのハイブリッドが買い得で、ノアが割安になる。そうなると最終的には、ノアのハイブリッドS-Gか、上級のハイブリッドS-Zか、という選択に行き着く。
S-Zには、S-Gがオプション設定しているバックガイドモニター(S-Gのオプション価格は1万6500円)、右側スライドドアの電動機能(同6万2700円)、100V・1500Wの電源コンセント(同4万4000円)が標準装着され、さらに17万円相当の装備が加わる。合計すると約29万円で、S-GとS-Zの価格差は28万円だから、S-Zが若干割安だ。この選択は装備内容を確認して決めれば良い。
結論をいえば、ヴォクシー&ノアの買い得な仕様は、ノアのS-GかS-Zだ。
ただし納期には注意したい。販売店では「2022年1月13日に契約した場合、基本的には3月に納車できるが、S-Zを選んだりブラインドスポットモニターを装着すると6月に伸びる可能性もある」という。ヴォクシー&ノアに限らず、商談は早めに開始したい。
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