「スポーツカー」なんていう言葉が死語になりつつあるような2021年。たまには「ファン to ドライブ」してみようと2台のスポーツハッチバック、スズキ スイフトスポーツとルノー メガーヌR.S. トロフィーに試乗した。
安全装備が充実されたスイフトスポーツ
最新のモデルを試乗する機会があると、EVやHEVなど何らかの電動化モデルであることが圧倒的に多い。そういう時代だし、またそういうクルマも乗って楽しいのだが、やはり内燃エンジンだけで、しかもマニュアルシフトを駆使して走る楽しみには、まだまだ代えがたいものもある。
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というわけで、今回試乗したのはスズキ スイフトスポーツとルノー メガーヌ ルノースポール トロフィー(以下、メガーヌ R.S.)の2台。どちらも車名に「スポーツ(スポールはフランス語でスポーツの意)」と付くだけあって、走りを楽しむために生まれてきたクルマたちだ。
まずは「スイスポ」の愛称でおなじみのスイフトスポーツ。4代目となる現行型はデビューから4年近くなるからニューモデルではないが、2020年5月に一部改良され、安全装備が充実された。アダプティブクルーズコントロールやブラインドスポットモニター、車線逸脱抑制機能などが高速クルーズを快適にしてくれるし、後退時の衝突被害軽減ブレーキなどはイザというときに頼りになる。
もちろん、走りの楽しさは相変わらずだ。1トンを切る軽量ボディに140ps/230Nmを発生する1.4Lターボの組み合わせは軽快かつパワフル。ターボエンジンとはいえ低回転からレスポンスは良く、瞬時の加速も素早い。軽快なハンドリングにも変わりはない。街中でも、ハイウエイでも、そしてワインディングロードでも、「スポーツ」らしい走りっぷりを見せてくれる。
ひとつだけ気になる点は6速MTの操作感だ。シフトストロークが長めで、タッチも少しグニャッとした感じであること。この点が改善されれば、言うことなしと思えてしまうのだが・・・。
とはいえ、ベース車のスイフトが良くできたBセグメントコンパクトカーだから、街中を走り回るふだん使いの足としても適した特性を持つのもスイスポの利点。狭い住宅街でも走りやすいコンパクトさ、視界も良くインターフェースも扱いやすい。5ドアでおとな4人がキチンと乗れるし、ラゲッジスペースは週末の買い物や小旅行にも十分な広さがある。
さまざまな事情で2ドアやオープンカーなどのスポーツカーを所有することはできないけれど、クルマで走る楽しさを忘れられないスポーツ心のあるひと、人も荷物もそんなにたくさん載せないのなら安全装備も充実したスイスポはオススメだ。自分だけで使うならMTでもいいけれどパートナーが難色を示す・・・というのなら、ATも設定されている。以前に試乗したことのある6速ATも悪くないのだから。
サーキットで試してみたくなるメガーヌR.S.
ルノースポールが手がけるCセグメント ホットハッチのメガーヌR.S.も2021年初めに一部改良され、走りのレベルが引き上げられた。今回試乗したのはスポーツシャシを採用したトロフィー、しかも6速MTモデルだ。
スイスポと違い、この6速MTはタッチがカチッとしていて小気味良い。だが、走り出してスイスポ同様に低回転から無造作にアクセルペダルを踏み込むと、抜けたような感じになる。最近のクルマとしては珍しいくらいのターボラグののち、タコメーターの針が2000rpmを超えたくらいからターボバンが炸裂し、強烈な加速が始まる。
つまり、タッチの良いMTを駆使してある程度の回転数を保てばスポーツドライビングが楽しめるが、ズボラはできないということ。もっとも、メガーヌR.S.にはDCTも設定されているから、ふだんはイージーに走りたいのなら、そちらを選ぶといいだろう。
シフト手前のR.S.スイッチを押すと、ドライブモードが切り替えられる。アイドリングストップ機能も作動する「セーブ」モードでも十分に走るが、「スポーツ」モードではレスポンスが向上し、「レース」モードではESCがカットされる。
メガーヌR.S.は後輪操舵システムの4コントロールやトルセンLSD、さらにMTモデルではローンチコントロールなども装備されるが、今回の試乗ではヘビーウエットな路面状況となってしまったため、これらの効果を実感することはできなかった。
だが、RECARO製のアルカンタラ バケットシートに収まり、ナパレザー/アルカンタラのステアリングホイールを握り、タッチの良い6速MTを操作しているだけで気分は高揚してくる。そのパフォーマンスを存分に味わいたいのなら、やはりサーキットへ走りに行くのがベストだろう。
スイフトスポーツとメガーヌR.S.は、セグメントも違うし車両価格も倍以上違う。この2台を比較して、どちらを買おうかなどと考える人はいないだろう。だが「走りを楽しむ」というベクトルで考えると、スイフトスポーツの延長線上にメガーヌR.S.があるのではなかろうか。
クルマの電動化が進み、よりイージーでセーフティなモデルが増えていくのは時代の流れからして仕方のないこと。だが、そんな中で、こうしたプリミティブでもあるけれどファン to ドライブなクルマを作り続けてくれている、スズキとルノーにはクルマ好きのひとりとして感謝せずにはいられない。(文:Webモーターマガジン編集部 篠原政明/写真:井上雅行)
■スズキ スイフトスポーツ 主要諸元
●全長×全幅×全高:3890×1735×1500mm
●ホイールベース:2450mm
●車両重量:970kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1371cc
●最高出力:103kW(140ps)/5500rpm
●最大トルク:230Nm(23.4kgm)/2500−3500rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・37L
●WLTCモード燃費:17.6km/L
●タイヤサイズ:195/45R17
●車両価格(税込):201万7400円
■ルノー メガーヌR.S. トロフィー 主要諸元
●全長×全幅×全高:4410×1875×1465mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1460kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1798cc
●最高出力:221kW(300ps)/6000rpm
●最大トルク:400Nm(40.8kgm)/5200rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・47L
●WLTCモード燃費:12.2km/L
●タイヤサイズ:245/35R19
●車両価格(税込):494万円
[ アルバム : スイフトスポーツとメガーヌRS はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
スイフトに乗って、飛ばしまくってるおっさんを見ると切ないです。