■MTモードの採用はポルシェ「911」から始まった
いまでは新車で販売されるクルマの99%がAT車などの2ペダル車となりました。さらに最近ではATでもスポーツ走行が楽しめる「MTモード」が装備されるモデルも多く、軽自動車にも搭載されるケースもあります。
AT限定免許を取得する人も年々増えており、MTモードの使い方が分からないという人もいるのではないでしょうか。
AT車の「MTモード」が話題になったのは、1990年にポルシェが「911カレラ2」に搭載した「ティプトロニック」あたりからです。
それまでもセミATやシーケンシャルMTなどはありましたが「あのポルシェが911にATを!」ということで注目されました。
このティプトロニックは、BOSCHが電子制御部分、ZFがトランスミッション部分を開発。アクセル開度や加減速を制御するプログラムと横Gや縦Gのセンサーなどを採用した変速プログラムなど、当時としては最先端のメカニズムを採用しています。
デビュー当時はシフトレバーを前後に動かす、いわゆる「シーケンシャル」方式でしたが、のちにステアリングにシフトチェンジ用スイッチを搭載した「ティップS」へと進化。現在のMTモードに近いスタイルが確立されました。
一方、日本ではティプトロニックと同様に走行状況に応じてシフト制御をおこなうATが、バブル終焉直後の1992年にモデルチェンジした三菱「ギャラン」にトラクションコントロールや4WD・4WS、電子制御サスペンションなどを統合して制御する「INVECS」として搭載。
さらに、INVECS に加えてMTモード付きATトランスミッションを搭載したのは、1994年に登場したFFスポーツの三菱「FTO」に搭載された「INVECS-II」が元祖です。
MTモード付きATは当時人気だった2リッター前後の量販クーペに搭載されたことから身近な存在になり、その後、瞬く間に搭載する車種が増えました。
※ ※ ※
「AT車」と一括りに呼ばれていますが、実際にはさまざまな方式の2ペダル車が存在します。
一般的なATは「トルクコンバーター式」と呼ばれるものです。エンジンの回転をトルクコンバーターと呼ばれる装置と変速ギアを介して動力を伝達します。
現在でも搭載されるケースが多い「CVT」は、ギアではなくプーリー(滑車)と金属製ベルト(チェーンなど)を使うことで動力を伝達するトランスミッションです。ギアと違って連続しているので「無段階変速」とも呼ばれています。
さらに「DCT(デュアルクラッチトランスミッション)」というものがあります。これはギアを奇数段と偶数段に分けてふたつのクラッチが用意され、ギアによって交互にクラッチを自動操作。
ATよりダイレクトな加速感が得られる半面、変速ショックが大きいなどの弱点もあります。
もうひとつは、スズキ「アルト」などに採用されている「AGS(オートギアシフト)」です。「AMT(オートメーテッドマニュアルトランスミッション)」とも呼ばれますが、よりMTに近い構造を実現。
通常のMTで必要なクラッチ操作と変速操作を自動でおこなってくれるトランスミッションで、トラックなどにも多く採用されています。
■クルマに関わるプロたちはどんなときにMTモードを使ってる?
AT車のMTモードは、装備されていてもほとんど使ったことがないという人が多いようです。
MTモードは、ハンドルの奥にあるパドルシフトや、シフトレバーのMTゲートで操作して任意でギアを選択できます。
クルマに関わるプロたちはどんなシーンでMTモードを使用しているのでしょうか。
埼玉県で中古車を中心に販売しているショップの代表であるNさんは、スポーティに走行したいときにMTモードでギアを選択しているといいます。
「初期のMTモードは無駄にエンジン回転数が上がるだけで、欲しいエンジンブレーキ(エンブレ)がききませんでした。しかし最近のクルマは選んだギアの加速がしっかり得られるようになりました。
街中ではDレンジで流し、高速道路やワインディングではMTモードを使い分けるのが良いのではないでしょうか。
私の中古車販売店では、スポーティなモデルの注文も多いのですが、最近ではMT車を希望する人は非常に少なくなりました。AT車でクルマの性能を存分に楽しむためにも、MTモードを積極的に使ってみて欲しいです」
都内で国産・輸入の修理や整備をしている整備士のFさんは、ブレーキを使用せずに速度調整したいときにMTモードを使用することが多いそうです。
「首都高で少し角度のあるコーナーを曲がるときなどは、1速だけシフトダウンしています。また街中でも信号で止まる前などにもエンブレを使うこともあります。
通常のATモードでもいいのですが、欧州車など、時にはエンジンを回してあげたほうがいいクルマの場合はあえてMTモードで高い回転数域を使うようにとお客さまにも説明しています」
MTモードで気になるのは、頻繁にシフトチェンジして大丈夫なのかという信頼性の問題です。MTモードを多用しても問題ないのでしょうか。
「現在の国産メーカーが採用するATは耐久性を考慮して作られていますので、普段使いでもまったく問題ありません。
ただ輸入車で採用が多いDCTは場合によってはトラブルが発生する可能性もあります。そのため、最近では信頼性も含めて多段化したトルコン式ATに切り替えるケースも増えています」
また、イタリア車やフランス車の整備を得意とする神奈川県の整備士Oさんも、積極的にMTモードを使うべきだと教えてくれました。
「Dレンジで普通に乗るのも決して悪くはありませんが、車種によってはATのプログラムで加速にもたつきがあったり、低い回転数しか使わないとエンジンの吹けが悪くなることもあります。
エコな時代にそぐわない部分もありますが、レシプロエンジンの場合はたまにエンジンを高回転まで回してあげることも重要です。
そのためにもMTモードを上手に活用して意図的に高い回転数を維持することで、クルマのコンディションを保つことができます」
Dレンジは自動でシフトアップするのでなかなか高回転まで回す機会がなく、エンジンが低回転でしか仕事をしないクセが付いてしまうこともあります。
そこで、あえて低いギアで回転数を上げて走行することで、エンジンが高回転までスムーズに回るようになる、いわゆる「吹け」が改善することもあります。
人間と一緒で、エンジンという心肺機能を活性化させるためにも、たまには高負荷の運動も必要ということです。
※ ※ ※
長い下り坂を走行するときもMTモードを積極的に使いたいシーンだといえます。
ATモードのまま走行すると、スピードが上がりすぎてフットブレーキを多用して速度を調整しますが、フットブレーキを使いすぎるとブレーキの効きが悪くなる「フェード現象」や「ベーパーロック現象」が起きることがあります。
そのようなときにMTモードを使ってシフトダウンすることで、適度なエンジンブレーキがかかり、下り坂でのスピードの上がりすぎを抑えることができます。
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みんなのコメント
ギアを落として加速したい時。
特にブレーキランプがLEDの車でそれをやられるとまぶしいので、お願いですからシフトダウンしてください。