発売開始から1カ月も経っていないというのに、早くも受注が4万台を突破したといわれている新型シエンタ。その人気の秘密を探るべく試乗してみることにしよう。
目指したのは「どこに置いても馴染むデザイン」
従来型シエンタのデザインも嫌いではなかった。ちょっとトンガった、アクの強い顔つきにデビュー当初は賛否両論あったが、見慣れていくと気にならなくなった。新型はCMにもあるように「犬」をイメージしたのか、なんとなく可愛げのある顔に、あえてモールやバンパーに黒い樹脂を用いたツール的な印象も、いい感じだ。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
デザインを統括した加藤孝明 主幹は「どこに置いても馴染む、そんなデザインを目指しました」と語る。たしかに、都会の街中でも、自然の中でも、まわりと調和する違和感のないデザインだ。いまのところシエンタは日本仕様だが、海外の街並みに駐めても似合いそうだ。アースカラー的なボディカラーも、その印象を強くしている。
今回は、ハイブリッドのFFとE-Four、そしてガソリンの3モデルに試乗できた。いずれも7人乗りの最上級グレード「Z」だったので、内外装などの装備に大きな違いはない。市街地を中心に、少しだけ首都高速も走る。それもおとな2~4人での乗車だから、シエンタの日常使いには比較的近いシチュエーションといえるだろう。
チルト&テレスコピック ステアリングとシートリフターなどのおかげで、ドライビングポジションは決めやすい。従来型とサイズはほとんど変わっていないのだが、ボンネット前端が少し高められたので車両感覚がつかみやすい。この手のミニバンは、スーパーやファミレスの駐車場とか脇道とか、チョコチョコと走る機会も多そうだから、これはけっこう重要なポイントだ。
運転席と3列目シートで普通に会話ができる!
まずはハイブリッドのFFで走り出す。ドライブモードはノーマル/エコ/パワーと備わるが、市街地走行はノーマルならもちろん、エコでもけっこう走る。パワーではそれなりに力強く加速するが、高速道路の合流や急な登坂時以外は無理に使わなくても十分だろう。
ハイブリッドの制御は従来型より進化したようで、モーターのアシストも自然でスムーズだ。9月とはいえ気温がけっこう高く、ゴーストップの多い市街地走行ではあまり充電もできないので、エンジンは早めに始動したが、それでも室内騒音が低いのには感心した。市街地走行はもちろん、首都高速を走っていても、3列目シートに座ったパッセンジャーとドライバーとで普通に会話ができる。
乗り心地も悪くない。今回は比較的いい路面ばかりの試乗だったけれど、1列目はもちろん2列目もけっこう快適、そして3列目もフットスペースは少し狭いがヘッドスペースは十分だし、リアアクスルのほぼ上に座っているにもかかわらず突き上げ感は少ななかった。
また、従来型とサイズは変わっていないのに、室内は広くなった感じがする。これは2列目だけでなく、3列目に座っても感じられる。頭上だけでなく上側方のヘッドクリアランスが広げられたことも奏功しているのだろう。
FFとの違いを感じさせない乗り味のE-Four
続いてハイブリッドのE-Four(後輪をモーターで駆動する4WD)に乗ったのだが、これの出来の良さにも感心した。前述のように試乗はドライの市街地。したがって、メーター内の4WDインジケーターを見ていても、発進時にわずかに後輪にトルクが伝達される以外、ほとんど後輪が駆動されることはない。FFとの車両重量差は50kgあるのだが、重くなった感じもせず、また乗り心地も変わりない。
積雪地帯でも、この手のミニバンの需要は多いから4WDが求められる。それでも、コストやスペース効率を考えると、本格的な4WDまでは要らない。それなら、これにスタッドレスタイヤを履いていれば日常的な使い方なら問題なくこなせるに違いない。ちなみに、FFとの価格差は7人乗りのZで19万8000円だ。
最後に、ガソリンのFF車。ハイブリッドのものと基本的に同じ1.5Lの直3 ダイナミックフォースエンジンは、120ps/145Nmとモーターのアシストがないぶん少しパワフルになっている。車両重量もハイブリッドより70kg軽く、サスペンションのセッティングもそれに合わせて変更されている。
走りっぷりはけっこう軽快だ。モーターがアシストするほどの加速感はないが、市街地や首都高速での加速も十分。ただし、室内騒音はハイブリッドより少し高い。また、乗り心地も少し硬めに感じられた。乗車人数の違いや、まだ新車ゆえアタリがついていないせいかもしれないが、個人的にはハイブリッドの乗り味のほうが気に入った。
使い勝手は十分。運転支援装備も進化した
コンパクトなサイズながら、7人乗り乗車を可能にし、3列目シートを2列目シート下に収納できるユニークな機構などは、従来型を踏襲しているが使いやすくなっている。2列目シートは後ろに下げればフットスペースはタップリだし、逆に3列目に座る人のために前に出しても狭くはない。
大きく開くスライドドアと低いフロアのおかげで、お年寄りや子どもでも乗り降りやしやすそうだ。2列目シートの中央ヘッドレストの関係で、3列目シートへのアクセスは右側からは少しやりにくいのだが、安全性を考えて左側(歩道側)からアクセスするように考えられているのだろう。
ラゲッジスペースも、3列目シート使用時はそれなりといった広さだが、収納してしまえば最長990mm、2列目シートも倒してしまえば1525mmまで奥行きは広がる。人はあまり乗せないというのなら、2列シート5人乗りも用意されている。しかも、いずれも室内に収納スペースは多く、使い勝手はかなり高い。
運転支援装備も進化した。レーダークルーズコントロールとレーントレーシングアシストにより、首都高速のコーナーでも問題なくレーンをキープして走ってくれる。プロアクティブ ドライビングアシストは市街地走行でも周囲の状況に対応して減速やステアリングのアシストを行う。しかも、おせっかいなレベルではなく自然なレベルでのアシストだ。
CMのキャッチフレーズどおり「家族の相棒」にふさわしく進化した新型シエンタ。このクラスのミニバンとしては、装備も走りっぷりも十分以上なレベルにある。個人的にはハイブリッドのFFがベストかなとは思うが、ガソリン車との価格差は7人乗りのZで35万円。予算や使い方の問題もあるが、まずは実際に見て、さわって、乗って、自分に最適な1台を選びたい。(写真:井上雅行)
■シエンタ ハイブリッド Z<ガソリン Z> 主要諸元
●全長×全幅×全高:4260×1695×1695mm
●ホイールベース:2750mm
●車両重量:1370kg<1300>
●エンジン:直3 DOHC+モーター<直3 DOHC>
●総排気量:1490cc
●最高出力:67kW(91ps)/5500rpm<88(120)/6600>
●最大トルク:120Nm(12.2kgm)/3800-4800rpm<145(14.8)/4800-5200>
●モーター最高出力:59kW(80ps)<−>
●モーター最大トルク:141Nm(14.4kgm)<−>
●トランスミッション:電気式無段変速機<CVT>
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:レギュラー・40L
●WLTCモード燃費:28.2km/L<18.3>
●タイヤサイズ:185/65R15
●乗車定員:7名
●車両価格(税込):291万円<256万円>
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サイズはこれでということだ