近年、車載通信機を搭載した「コネクティッドカー」が続々と登場しています。クルマとインターネットを常時接続することで、これまで実現できなかった利便性や安全性の向上など、新しいクルマの楽しみ方を提供してくれますが、なかには有料のサービスもあり、利用したほうがよいのか、それとも必要ないのか、判断しかねている人も多いでしょう。コネクティッドカーの現状と必要性、今後の展開について紹介します。
文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
写真:TOYOTA、NISSAN
運転してる時くらい集中したら…??「コネクティッド本当にいるかどうか」問題
国内すべての自動車メーカーがコネクティッドカーの運営を開始
コネクティッドのベースとなっているのは、テレマティクス技術です。このテレマティクスとは、テレコミュニケーション(通信)とインフォマティクス(情報処理)を組み合わせた造語で、コネクティッドカーは、クルマに通信機(DCM)を搭載し、常時インターネットに接続して外部と連携しながら、さまざまなサービスを受けることが可能なクルマのこと。現在、国内すべての自動車メーカーが、IT関連企業などと協力して開発したコネクティッドカーの運営を始めています。なかでも、もっとも機能が充実していると思われるトヨタ「T-Connect」を例に上げ、具体的な運用サービスを紹介します。
トヨタは、2018年から車両の制御ネットワーク(CAN)に接続する車載通信機(DCM)を、ほぼすべての新型乗用車に標準装備し始めました。サービス登録車は、DCMまたはスマホ端末からのWi-FiテザリングやBluetooth接続によって、クラウド上にある「トヨタスマートセンター」とつながり、そこで膨大な登録車の情報をビッグデータとして収集処理して、以下のようなサービスを提供しています。
・ヘルプネット:事故発生の際に、エアバッグ作動状況を検知して自動で緊急通報
・マイカーセキュリティ:遠隔監視システムでドアこじ開けなどの異常を検知通報、盗難時には位置検出機能で追跡
・eケア:走行中に何らかの警告灯が点灯した際に適切にアドバイス
・ロードアシスト24:走行中のガス欠、パンク、エンジン不始動などのトラブル発生時に、JAFへ救援を要請
・ルート情報の音声対応:ナビに話しかけることで、目的地やルート検索などの情報を音声で対応
・マップオンデマンド:新しい道路情報をダウンロードしてマップを最新化
・Apps(アップス):T-Connect対応のカーナビに好みのアプリをインストールしてカスタマイズ化
・スマホ連携によるリモート操作:スマホをデジタルキーとしてドアロックの開閉やエンジンの始動、エアコン操作が可能
TOYOTA T-Connectのシステム構成。DCM(車載通信機)、またはスマホやBluetoothを介してトヨタスマートセンターと接続して車両/走行情報などを吸い上げて、各種サービスを提供
基本プランをベースに無料/有料のサービスを設定
コネクティッドカーでは、通信関連機器搭載やソフト開発、通信コスト、アップデートの費用などが車両価格に反映されていますが、ほかにも通信料金やアプリをはじめとするサービス利用料金が発生します。多くのメーカーは、安全やセキュリティ関連の機能については利用料金を課さないのが一般的ですが、サービスによっては有料のものもあり、多くのサービスを受けようとするとそれだけ多く課金されることになります。
各メーカーのコネクティッド利用料金は、車種やサービスプランによって大きく変わりますが、トヨタを例に上げると、T-Connectスタンダードの利用料金は、登録初年度から5年間無料で、それ以降は330円/月と設定されています。ただし、デジタルキーの利用料は550円/月(初年度から3年間無料)、専門オペレーターによる対応は330円/月、マイカーリサーチおよびリモートスタートは220円/月、車内Wi-Fiのデータ通信料は1100円/月となっています。
日産「NissanConnect」やホンダ「Honda CONNECT」など他のメーカーも同様で、車種とプランによって異なる定額の基本サービスをベースに、無料/有料のサービスが設定されています。
たとえ有料でも自身のカーライフに合ったサービスなら選択すべき
このように、メーカーが提供するコネクティッドカーのサービス内容と料金体系はさまざまですが、まず安全にかかわるサービスを優先し、次に不要なものと必要なものを選別することが大切です。
ユーザーによって、使用環境やクルマの使い方は違うので、例えば盗難に遭う可能性の高いクルマなら盗難追跡サービス、寒い地域や駐車場までの距離があるならリモートサービス(日産の「乗る前エアコン」など)、多人数でのドライブ頻度が高いならエンタメサービスやTVサービス、普段クルマをあまり使わないなら走行距離に応じて保険料が算出されるコネクティッドカー保険、という具合に自分のカーライフに合ったサービスを選択することが重要だと考えられます。たとえ有料サービスでも、料金が妥当であり、ご自身のカーライフにとって有意義であるのなら、課金する価値はあるはずです。
ただし、パソコンやスマホに不慣れな人、運転中に多くの情報が入ると運転に集中できないドライバーは、情報過多によって逆に安全運転に支障が出る可能性があるので、最初はサービスを限定したほうがよいかもしれません。
日産の一部車種で採用されている「乗る前エアコン」。エンジンをリモートで起動させ、ノートとオーラでは前回パワースイッチをOFFにした際の設定でエアコンを10分間起動、エクストレイルとセレナでは、25℃オートの設定でエアコンを10分間起動させる
利便性向上だけでなく、安全のためにも必須
今後さらなる普及が見込まれるコネクティッドカーですが、今後特に注目なのが、自動運転との融合です。2021年、ホンダ「レジェンド」が、決められた条件下で自動運転を行うレベル3(ただし、システムの要請でドライバーの運転に切り替える)を搭載し、話題となりましたが、このような自動運転車の安全を担保するには、クルマをあらゆるものとつなぐV2X(Vehicle to X)が大きな役割を果たします。
V2Xには、クルマとネットワークをつなぐV2N(車・ネットワーク間通信)だけでなく、クルマとクルマをつなぐV2V(車・車間通信)、クルマと交通インフラをつなぐV2I(路・車間通信)が必要。例えば、V2Vが多くのクルマで普及すれば、クルマ同士の情報のやり取りによって死角から接近するクルマを検知できるので、出会い頭事故のような多くの交通事故を防ぐことができるようになります。
2030年頃には、80%以上のクルマがコネクティッドカーになるという予測もあります。コネクティッド技術は、利便性向上はもちろんのこと、安全な交通を確保するためにも必須の技術なのです。
V2V(車・車間通信)のイメージ。クルマ同士が通信することで、死角となるクルマ同士の出合い頭事故を防止
◆ ◆ ◆
安全運転に効果的で利便性も向上できるコネクティッドカーは、今後も自動運転と融合してさらに進化を続けるでしょう。いまは必要ないと思っていても、10年後にはごく一般的なクルマとなっていることが予想されます。乗り遅れないようにするためにも、情報だけは常にアップデートしておきたいところです。
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みんなのコメント
まあモニターが無くてもスマホしか見てないけど
通信が必要なら、安全な場所に停車させてからにせよ