BETAのX-TRAINERをミニモトにしてしまったり、ビッグオフでCGCに参戦したりと、エンデューロ界のパイオニア、AD/tacこと和泉拓が、理想のビッグオフを追い求めて作り上げたのが、テネレ700カスタム「セロー700」だ。SNSでは本当にセロー700が発売されたと勘違いしてしまったコメントも見受けられたほど、完成度は高い。なんと、欲しいと言えば同じ仕様で作ってくれるという。
モトクロスにもハードエンデューロにも対応する
セロー700のオフロード性能
「長距離ツーリングを余裕でこなし、CGCみたいなハードエンデューロや、けっこうハードな林道に入っていけて、モトクロスコースも楽しく走れるマシン」と、製作者の和泉が評価するセロー700。そのオフロード性能を左右するのは、サスペンションのセッティングとハイシートだ。
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前後サスペンションのセッティングを一番硬くして、ハイシートを装着すればYZ仕様。モトクロスコースのジャンプも飛べるし、コーナリングだってけっこうイイ速度で突っ込める。ちなみに僕も乗らせてもらったけど、ジャンプ中はさすがにフロントが重くて少しだけ前下がりになる感覚はあるが、それで着地で取っ散らかることはないし、底付きもしない。
テネレは元々、パリダカレーサーをルーツに持つ車種で、開発もオンオフ比率を1:9に設定して開発されたというから、数あるアドベンチャーモデルの中でもオフロード性能はピカイチ。サスペンションは元々優秀で、モトクロスコースだけならノーマルのままでもそこそこ走れてしまう印象だったが、和泉がカスタムしたセロー700はサスペンションを柔らかくセッティングし、ノーマルシートに換装することで、セロー仕様に変身する。
フローティングターンというには、あまりに大迫力。これも装備重量205kgという、アドベンチャーモデルとしては比較的軽量な車重と、柔軟なサスペンションが可能にした動きだ。
「去年の春先に試乗会で乗らせてもらった時に、テネレに使われているMT-07の2気筒エンジンは低速の粘りがすごくあって、フロントアップもやりやすいし、サスペンションもKTMほどハードじゃなくて、セローっぽいなという印象を受けたんです。それでネタでちょっと作ってみようか、という話になって…。
パニアケースにキャンプ道具を満載して500km自走して、CGCに出場してさわやかクラス一桁に入れるバイク。同時にアサマのようなハイスピードコースでも気持ちよく走れるようにしたかったんです」と和泉。
今日はセロー700の取材に来ています… pic.twitter.com/SYCj6FOdyS
— Off1.jp (@Off1_jp) May 26, 2021
テネレのツーリング性能とセローのオフロード性能
KTMアドベンチャーやBMWのGS、アフリカツインなど大型アドベンチャーマシンは高速道路の巡航性能が高く、ツーリングは快適だ。しかし、いざ旅先で林道に入ろうと思うとその重さが大きなハンデとなるオフロード性能にどうしても躊躇してしまう。
そんな和泉はヤマハが満を辞して発表したテネレ700を注文。入荷を待つ半年ほどの間にカスタム計画を進めていたら、気づくととんでもないことになっていたという。
思い起こせば和泉は2018年3月、愛知県スラムパーク瀬戸で開催されたCGCひなまつりハードエンデューロにKTM1190ADVENTURE Rで自走で乗り付け、現地でタイヤ交換を行い、さわやかクラスに出場し、ノーヘルプで見事に周回している。
「やっぱり、他のライダーに迷惑だけはかけたくないので、さわやかクラスなんですよね。あとノーヘルプはこだわり。人と違うバイクで楽しませてもらう以上、ヘルプ前提では行きたくないんです」と和泉。
その後、790ADVENTURE Rに乗り換え、そのオフロード性能の高さに舌鼓を打ったものの、やはり左右に大きく張り出したフューエルタンクがどうしても邪魔になってしまう。そこでいよいよ発売されたテネレ700をカスタムすることにしたという。
「足回りをしっかりいじってようやく790ADVENTURE Rと同じくらいの走破性になったかな、と思います。硬くすればYZっぽくなってモトクロスコースを楽しく走れるし、柔らかくすればセローっぽくなってちょっとハードなこともできる。
ツーリングする時はその中間くらいにしますし、実はフロント18、リア17のロードホイールも用意しているんです。フロントは17だとディメンションが変わりすぎてしまうので、19と18で悩みましたが、18の方がトレールタイヤのリア用を流用できてちょうどいいかな、と。まだメーターの補正をどうするか試行錯誤しているところで実用化はできていないんですよ」
ちなみに後日和泉はこのロードホイールを装着したモタード仕様のセロー700で、SUGOのイベントでクラス優勝を飾った。
セロー700に使われているパーツ紹介
ここで、セロー700に使われているカスタムパーツを紹介しよう。和泉曰く「去年試乗で乗らせてもらってエンジンの性能とかはわかっていましたし、やりたい方向も決まってましたから、あまり悩みませんでした。ヨーロッパで先に発売していたから、インターネットで簡単にどのパーツが良いか調べることができましたよ」とのこと。
フロントサスペンションにはイタリアのサスペンションプロショップ、Andreaniから発売されているKYBの30mmロングカートリッジキットを装着。
インナーチューブにはチタンコートが施されている。
リアショックもandreaniが手がけたOHLINSの4mmロングラリーリアショックを採用。
サイレンサーはMIVVチタンサイレンサー。
フットペグはまさかのKTMパワーパーツのラリーステップを加工して取り付け。
セロー仕様の時は純正シートを使うが、YZ仕様ではEUヤマハから発売しているラリーシートを装着する。サイドカウルのデカールに印刷されている「LIQUID COOLED」がとても良い味を出している。
デカールはJK design+products。最初はYZ風にすることも考えたが、どうしても既発のものに似てしまうため、セローに。いくつもの型式でデザインを起こして試行錯誤を繰り返し、最終的にこの1998年式、4JG6のXT225WEに落ち着いたという。
リアタイヤのリムにはEXCEL2.50-18リムを採用。タイヤは前後共IRCでiX-09w(90/100-21)とBR99(140/80-18)だ。
チェーンガイドはEUヤマハ純正。
CAMEL ADVアンダーガードは「たぶん日本でこれ使ってるのは僕だけじゃないかな」というくらいマニアックな一品。
ちなみにどのくらい予算がかかっているかというと、足回りで50万円くらい、その他も合わせて70万円くらいだそう。あとは工賃を払えば和泉の経営するバイクショップ・ストレンジモーターサイクルで同じ仕様を作ってもらうことは可能とのこと。もちろん車両代金は別だ。
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みんなのコメント
お調子モンの私が乗ったらヤバいバイク。
山に入る⇒おっいいじゃん♪⇒コケる⇒重くて起こせない⇒もしくは岩と車体に挟まって骨折
という図式が見えてきそう
その前に、思い通りに操れないフラストレーションにイラつきそう。