マツダからコンパクトSUVとなるCX-30がデビューした。新世代スカイアクティブを搭載したこのモデルに欧州で試乗することができた。(Motor Magazine 2019年9月号より)
広々とした室内と荷室が開発の最重要点
すでにコンパクトクロスオーバーとしてCX-3を用意するマツダが、新たにCX-30を投入した背景には、激戦のこの市場でコアとなるヤングファミリー層にCX-3では訴求しきれていないという現状があった。そこで重視したのは、まず空間設計。大人4人が快適に過ごせる室内空間と海外の大型ベビーカーまで容易に積み込める広い荷室を備えることが、何より最優先とされた。
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その上でサイズは、まず全長が4395mmとマツダ3よりコンパクトに。全幅も海外勢よりもナローな1795mmに抑えられ、全高は立体駐車場をカバーできる1540mmに設定。日本でも扱いやすいと評せる大きさである。
それでもデザインを疎かにしないのが最近のマツダ車。下回りとフェンダーアーチを覆うクラッディングパネルが印象的だ。室内高を犠牲にしないようルーフを後方まで引き伸ばしつつ流麗なフォルムに見せるなど、単に美しいだけでなく、それが機能性と高次元で両立しているのが良い。内装もすっきりとまとめられていて、高いクオリティと相まって、居心地の良い空間に仕立てられている。
レベルの高さを感じさせる走行性能
今冬という日本導入に先駆けてドイツで試したCX-30は、まず爽快なフットワークで魅了した。操舵に対して穏やかに、けれど正確に反応して、舵角を足すことも戻すことも求めないハンドリング、そして同様にドライバーの意思を正確に汲み取るアクセル&ブレーキペダルのおかげで、クルマとの強い一体感に浸りながら、自分に合った良いリズムで走らせることができるのだ。マツダ3でも感じたが、新世代のマツダの走り、レベルはきわめて高い。
欧州仕様の2Lガソリン+マイルドハイブリッド、1.8Lディーゼルターボの2種類のパワートレーンは、前者は力感が全体的にイマイチ、後者はトルク感はいいけれど回転フィーリングはやや雑味ありという具合で、そこまで印象は強くない。しかし室内は静粛性が思わず目を見開くほどに高く、快適に過ごすことができた。
パッケージ、デザイン、走りとすべてに一貫性があり、完成度が高く、個性も艶も備える。激戦区で存在感を放つ1台になりそうなニューカマーの登場である。(文:島下泰久)
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