くっきり丸目のハンサムマスク。魅力はリア空間
自分だけの「テラス」を標準装備したフリースタイルワゴンが登場した。日本のベストセラー、N-BOXに加わったJoyである。N-BOX Joyは、「もっと気楽」をキーワードに、「気軽に使える/のんびり過ごせる/ゆったり時間を味わえる」を追求したニューカマーだ。
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ラインアップは自然吸気(58ps/65Nm)とターボ(64ps/104Nm)の2種。それぞれにFFと4WDを用意している。Joyを高速ツーリングを含めたファーストカーとして使いたいと考えているユーザーには、ターボの設定は朗報である。自然吸気のパフォーマンスも街中中心なら十分なレベルだが、やはり走りの余裕という点でターボの効果は大きい。いままでターボはカスタム系でしか選べなかったが、Joyの登場で、選択肢が広がった。
ターボは装備も充実している。本革ステアリング&シフトノブが標準になり、シートもプライムスムースとファブリックのコンビタイプにグレードアップ。リアドアも両側パワースライドとなる。
ちなみにメカニズム面は、従来のN-BOXと共通。Joy専用チューニングはあえて施していない。もともと高い完成度と安心感を実現しているだけに、手を入れる必要がなかったという。
スタイリングは、気楽に頼れる道具感を大切にしたファンクショナル造形。ヘッドライトは標準仕様の丸型とは違い、ランプユニット自体を一段と際立たせツールライクな目に仕上げている。前後バンパーは泥や傷つきが気にならないボディカラーと黒のコンビネーション仕様。フロントグリルは精悍なブラックタイプになる。ちなみに顔はディーラーopで「アクティブフェイスパッケージ」が選べる。アクティブフェイスパッケージは、中央にHONDAのロゴを配したグリルと、LEDフォグライトのセット。フォグのカラーはオレンジとホワイトが選択でき、価格は約10万円。なかなかハンサムで好印象だ。
Joyの新しさは、リアスペースにある。通常のラゲッジ空間を、丸ごとくつろぎの場所に変身させたのだ。N-BOXの利点を活かした自由スペースは、“ふらっとテラスと名付けられ、リアゲートを開けてバンパーサイドに座っても、室内に入り足を伸ばしても、新鮮な体験が味わえる。周囲の景色を独り占めできるその空間は、まさに特等席。メーカーの「自分の生活圏の中にある公園や、河原に寄り道し、ほっとひと息入れたくなる」という説明が素直に頷けた。
Joyが、楽しいフリー空間を実現した種明かしは、シート背面とラゲッジフロア面の処理にある。背面とフロアをシートと同一のチェック柄ファブリックで仕立てたのだ。基本的にそれだけ。今までブラック仕上げが一般的だったラゲッジをチェック柄にしただけで、こんなにイメージが変化するとは、本当に驚いた。
もちろん、リアゲートを開けて腰掛けた時にフロア面が最適な高さになるよう、フロア後端を通常のN-BOX比で80mm嵩上げしたり、シートをダイブダウンした折にフラット空間になるよう調整。さらにシートフレームの凹凸を感じさせないプレートを追加するなど、様々な工夫を凝らしている。だが何よりチェック柄の功績は大きい。これだけで“荷物のスペース”が、“人が憩うスペース”に変身した。
その空間は、フロントシートを一番前にスライドさせた状態でも前後長は161cmだから、流行りの車中泊には適さない。でも気持ちよさは絶大。後席シートバックを前倒しするだけで、瞬時にテラスに変身する手軽さも魅力だ。採用したチェック柄ファブリックは、汚れが目立たず、しかも遊び心を感じさせるカラーミックス糸が採用され、表面はNシリーズ初の撥水処理済み。うっかり飲み物をこぼしても安心だ。ちなみにフロア後端を80mm上げることで生まれたスペースは、フロアアンダーボックスとして活用。お気に入りの折りたたみ椅子を収納するのにぴったりの広さがある。
N-BOX Joyは、積極的にアウトドアフィールドに出かけるアクティブ派だけでなく、多くのユーザーに今までとはちょっぴり違うクルマの楽しみを提供してくれる日常生活に寄り添った存在。メーカーはユーザーターゲットを「20代の若者、2人の生活を楽しむプレファミリー、子離れした50~60代の夫婦」と説明するが、N-BOXの新たな主軸に成長する気がする。N-BOX本来のユーティリティをほぼそのままに、楽しさをトッピングしたJoyは実に魅力的である。
Honda N-BOX Joy 車種ラインアップ(編集部調べ)
・Joy(NA/FF)=価格:CVT 184万4700円
・Joy(NA/4WD)=価格:CVT 197万7800円
・Joyターボ(FF)=価格:7CVT 204万4800円
・Joyターボ(4WD)=価格:7CVT 217万8000円
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