快活な走りと一体感 想像以上に熱くなれる92ps
ホンダCR-X Siの才能が如実に現れているのが、快活な走りと一体感。レスポンシブなステアリングに加えて、12バルブの1.5L 4気筒エンジンはエネルギッシュ。フロントノーズを僅かに上へ向けながら、小さなクーペを瞬間的に加速させる。
【画像】FFスポーツ実験は大成功! ホンダCR-X シビック 同時期の欧製ホットハッチ CR-Zも 全123枚
北米仕様の最高出力は92psしかないが、想像以上に熱くなれる。SOHCエンジンは、威嚇するスズメバチのようにビューンと唸りながら回る。安楽に速さを引き出せるわけではない。目一杯引っ張ることで、巨大な楽しさが湧いてくる。
穏やかな気持ちでも、運転しやすい。人間工学に優れ、視界は良好。ステアリングホイールの重さも理想的。ダッシュボードに並ぶ、車載機能の操作系は扱いやすい。シビックの優れた部分は、しっかり受け継いでいる。
今回の個体は、アメリカン・ホンダ・モーター社が有するコレクションホールの展示車ということで、オプションも充実。エアコンだけでなく、ステレオにはグラフィックイコライザーも備わる。低音と高音を、目一杯上げた読者もいらっしゃるだろう。
初代CR-Xの成功を受け、92psの1.5Lエンジンはハッチバックの3代目シビックにも投入された。これより前、2代目にもスポーティな仕様が存在していた。Sというグレードで、排気ガス規制に準拠しつつ、ツインキャブレターで僅かにパワーアップしていた。
3代目では、燃料インジェクションへアップデート。Siというグレード名は、ここから来ている。
充分にホットハッチしている「Si」
レッドが眩しいシビック Siは、1986年式。ささやかなフロントスカートとテールゲート・スポイラー、ディスクデザインのホイールカバー、ワイドなテールライト・クラスターが装備され、通常より若々しい雰囲気に仕上がっている。
またSiでは、リアサスペンションにアンチロールバーを追加。車内には、スポーツシートが組まれている。
ボンネットを開くと、CR-X Siと同じ4気筒エンジンが姿を表す。それだけでなく、エンジンルームはまるっきり同じ。基本的にはフロントピラーより前の設計は共通で、ヘッドライト回りの処理程度しか、見た目上の違いはない。
21世紀に入って、このフォルムはブレッドバンと呼ばれるようになった。ルーフラインが真っすぐ伸び、テールゲートは垂直に切り立っている。もう少し全長が長ければ、2ドアのステーションワゴンに見えなくもない。グラスエリアも広い。
乗り比べると、CR-X Siより重心は高め。プラスティック製ボディパネルも得ていないため、動きは若干スローに感じる。とはいえ、充分にホットハッチしている。
シフトレバーは軽く倒せ、ストロークが短い。クラッチペダルもスコスコ踏める。実用的で経済的でありながら、思い切り走りがいがある。この組み合わせが、別格の面白さを生んでいる。
望外な運転体験 自動車史のスイートスポット
車重は882kgと、クーペより50kg以上重いものの、走りは意欲的。0-100km/h加速を9.1秒でこなし、当時としては立派な動力性能といえた。CR-X Siより遮音性は僅かに高く、5速MTのギア比もロングで、比べれば車内は静かだ。
ダッシュボードのデザインは、明らかに異なる。基本的な特徴は似ているが、角ばった印象は抑えられ、恐らく製造コストも小さいはず。CR-Xではビニールで覆われる部分は、プラスティックが露出している。
人間工学の良さは共通。運転席へ座った瞬間から親しみが湧き、秘めた性能を引き出したい衝動へ駆られる。荷室には、荷物が滑るのを防ぐフックやネットなどは一切なし。スーパーからの帰り道で調子に乗り、食料品を暴れさせた人もいただろう。
最高出力は3桁に届かなくても、運転体験は望外に素晴らしい。過去最も楽しいクルマの1台だと表現していい。軽さという偉大なアドバンテージを、実感できる。当時のAUTOCARが、現代のロータス・エリートだと評価したことにも納得する。
装備は限定的で、信頼性が高く、燃費に優れ価格は現実的。エンジンは滑らかに回り、1.0L当たりの馬力も上昇しつつあった。1世紀以上に及ぶ自動車史の、スイートスポットにある。
その後、コンパクトカーも肥大化していった。車重へ対応するため、更なる馬力が求められた。1990年代のシビック・タイプRも面白いが、滑沢さという点では、ブレッドバンのシルエットで実用的な、3代目シビック Siには届いていないだろう。
現代人にとって理想的なデトックス・モデル
CR-X Siは軽さと短さが功を奏し、動的能力では一枚上手。より特別なホンダだと感じさせる。すっかり大きく重くなった現代のクルマは、一体感も薄まった。そんな体験からのデトックスを求める時、この小さなクーペほど理想的なホンダはないかもしれない。
ただし、この時代のボディは酸化しやすい。乾燥した南カリフォルニア以外の土地では、残存例が極めて少ないことが残念だ。
40年前のシビックとCR-Xで享受できる喜びは、現代のモデルでは得にくいものだ。より安全で快適になったとしても、もうこんなクルマは作れないという事実が惜しまれる。こんな気持になるのは、筆者だけではないと思う。
ホンダCR-X SiとシビックSi 2台のスペック
ホンダCR-X Si(1984~1987年/北米仕様)
英国価格:7000ポンド(1985年時)/1万5000ポンド(約291万円/現在)以下
生産数:22万502台(CR-X合計)
全長:3675mm
全幅:1626mm
全高:1290mm
最高速度:180km/h
0-97km/h加速:8.2秒
燃費:12.7km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:830kg
パワートレイン:直列4気筒1488cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:92ps/5500rpm
最大トルク:12.8kg-m/4500rpm
ギアボックス:5速マニュアル(前輪駆動)
ホンダ・シビック Si(1984~1987年/北米仕様)
英国価格:6595ポンド(1985年時)/1万2000ポンド(約233万円/現在)以下
生産数:107万5473台(北米仕様のみ)
全長:3810mm
全幅:1623mm
全高:1336mm
最高速度:175km/h
0-97km/h加速:9.1秒
燃費:12.7km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:882kg
パワートレイン:直列4気筒1488cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:92ps/5500rpm
最大トルク:12.8kg-m/4500rpm
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みんなのコメント
1.5リットルの軽快な走りを否定しているわけではないです。