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中学生でプロのドリフトドライバー!? 横浜ゴムのサポートを受ける「箕輪大也」選手に独占インタビュー スーパー中学生はどのようにして誕生した?

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中学生でプロのドリフトドライバー!? 横浜ゴムのサポートを受ける「箕輪大也」選手に独占インタビュー スーパー中学生はどのようにして誕生した?

■日本のドリフトシーンを熱くする若干13歳に注目!

 今回の主役は13歳、中学1年生の箕輪大也(みのわひろや)くんです。成長を見据えて購入した学生服はまだブカブカで着こなせている印象は薄く、どこか着せられている感があふれています。身長こそ175cmと大人並みではあるものの、まだどこかあどけなさが残っている彼。

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 ところが、ひとたびサーキットに乗り込めばまさにヒーロー、箕輪大也“選手”に変身します。それもレーシングカートとかポケバイとか、昔からちょくちょく聞くような話ではありません。なんとフルサイズのレース車両に乗り、ドリフトの世界で大活躍しているのです。

 2022年シーズンは横浜ゴムのハイグリップラジアルタイヤ、ADVAN NEOVA AD09を履いた「GRヤリス」のドリフト仕様車に乗り、「FDJ(フォーミュラドリフトジャパン)」に参戦しました。ラウンドの単走(予選)では並みいる大人たちを押しのけて優勝を飾り、決勝最高位は5位、シリーズでは16位(55人中)という輝かしい戦績です。

 実は箕輪選手がドリフト大会にデビューしたのは小学校6年生のときであり、その頃からすでに横浜ゴムからのサポートを受け、FDJへの登竜門ともいわれるドリフトイベント「MSCチャレンジ」でチャンピオンを獲得しました。FDJ2(FDJの下位カテゴリー)にもスポット参戦し、最高位は2位を獲得しています。

 そんなスーパー中学生はどのようにして誕生したのでしょうか。そこを探ると、やはり親御さんに行き着きます。なんと、両親そろってドリフト選手なのです。お父さんは箕輪慎治(みのわしんじ)選手、お母さんは箕輪昌世(みのわまさよ)選手であり、夫婦でドリフト系のクルマのメンテナンスや販売を行う車屋さんを営んでいます。つまり、大也くんはサラブレッド中のサラブレッドというわけです。

 けれども、現在に至るにはどのような道を歩んできたのでしょう。まずはドリフトとの出会いを、大也くんとお父さんの慎治さんに振り返ってもらいました。

 幼いころから、お父さんやお母さんが出走するドリフト大会などを観て育った大也くんが、初めてクルマを運転したのは7歳のころだったといいます。当時、身長は140cm程度だったそうです。

「初めて乗ったクルマはJZX100『チェイサー』のオートマチック車です。場所はエビスサーキット(福島県二本松市)の広場でした。運転席にクッションを入れてなんとか操作できるようにしてもらったんですけれど、クルマが大きくて前が見えないというのが第一印象です」(大也くん)

 もちろんクルマを動かすところから始めたそうですが、慎治さんは、最初からドリフト選手に育てようという思いがあったわけではなかったそうです。

「たまたま乗れる環境があったからやらせてみたという感じです。普通の家庭だとそういうことを子供にやらせようとすると母親が止めるじゃないですか。けれどウチはそうじゃない。母親がぶっ飛んでいますから順調に行ったのかもしれません」(慎治さん)

 目を細めつつ、「きっと父親と息子だけじゃここまでは育たなかったと思いますよ」と慎治さんは話します。

■小学5年生が駆るはMTのトヨタ「チェイサー」

 そうして始まった英才教育でしたが、若年ゆえの壁もあったと大也くんはいいます。

「乗り始めて少ししてからドリフト定常円旋回を始めたんですが、ドリフトをやるとすぐに疲れてしまう感じでした。体力が無かったんです。

 エビスサーキットにあるクルクルランドという練習コースには、ウエット路面をあえて作れる環境があって、その状態だとGがかからず体力的にもラクになり、ドリフトも上達してきました」(大也くん)

 やがて2020年8月、小学5年生にしてMT車に乗りはじめます。

「はじめは発進も難しかったし、スピンするとエンストしてしまうところが難しかったですけれど、それも次第に乗れるようになりました」(大也くん)

「初めて乗らせたMT車はフルノーマルのJZX100『チェイサー』でした。売り物にしようかとたまたま仕入れたクルマがあったんですよ。これならクラッチも多少は軽いし踏めるかなってエビスに持って行ったのが始まりですね。商品車になるクルマだから妻から止められるかと思いきや、妻が『これならちょうどいいんじゃない?』って。イケイケの妻で良かったですよ(笑)」(慎治さん)

 自宅リビングにはシミュレーターが2台設置されており、ここで母と子の追走(先行車と追走車の2台でドリフト走行する、FDJ決勝などで見られる競技形式)トレーニングが行われているというから驚くばかりです。お母さんの昌世さんは、大会の時にスポッター(ドライバーにレース状況を伝えるなどサポート役をつとめる人のこと)をこなすこともあるのだそう。

 それにしても、初めて乗ったチェイサーの価格は、現在の相場で考えればおよそ300万円也。小学5年生にそれを託すのは凄いとしかいえません。

「シミュレーターを始めたのはMTに乗り始めた直後ですね。はじめはスピード感やGを感じることができないので戸惑いましたが、やっていくうちにそれも慣れてきました。普段行くことの無いコースを覚えるのに役立つし、ギアを切り替えるタイミングや追走の練習に役立ちました。母が練習相手になってくれて助かりましたね」(大也くん)

「シミュレーターではギア比もいじれるので、次に行くコースでは4速進入のパターンと5速進入のパターンを練習しといてと指示したりできたことがメリットですね。実車とシミュレーターの合わせ技が良かったのか、クラッシュをすることもなく順調に成長することができました」(慎治さん)

 近年ではシミュレーターで運転を学んで実車に移行し、輝かしい戦績を残している若手レーシングドライバーもいますが、大也くんの場合は実車が先という昔ながらのスタイルです。幼い頃からクルマの動きを体に染み込ませてきたこともまた、ドリフトドライバーとしては良かったのかもしれません。

 ここまで特殊な才能の持ち主である大也くんですが、一方で中学校ではあくまでフツーの生徒のようです。

■箕輪大也くんの成長が早すぎてお父さんは現役引退!?

「友達とはゲームとかサッカーの話で盛り上がっていますね。男子はドリフトしていることを知ってくれている人が多いですけれど、普段はそんな話はほとんど出てきません。将来も普通の高校に進学したいなと考えています」(大也くん)

 担任の先生にもお話を聞きましたが、あくまでも普通の中学生をしているといいます。そしてお母さんの話にもなりましたが、先生の前ではあくまで母の姿であり、とてもイケイケのようには見えないという話も飛び出しました。

 お母さんの昌世さんは「好きなことだけをやるのは許しません。勉強もきちんとやって、普通の高校に進学させたいです」と先生に話しているそうです。取材時、大也くんの目下の悩みは三者面談、実に中学生らしい悩みです。

 中学生といえば思春期であり反抗期も気になるところですが、現状はどうなのかをお父さんの慎治さんに聞いてみました。

「ただ単に口でアドバイスをすると『それは違う!』と反発することもあるんです。けれど、データロガーを使ってデータでひとつひとつ説明すると、本人が納得してくれますね。おかげでみるみる成長することができ、今では僕が越されてしまったかもしれませんね」
(慎治さん)

 慎治さんは結果として、現役を引退することになりました。それは息子の成長があまりにも早すぎたからかもしれない、と話します。胸中複雑かもしれませんが、それを話す“父”の表情はどこか嬉しそうに見えました。

 この先、一体どこまで行くのでしょうか。最後に大也くんに将来の夢を語ってもらいました。

「世界に出るドライバーになるのが将来の夢ですね。まずは普通の高校に進学しながら、アメリカのフォーミュラドリフトでトップを取ることが目標です。あと、ラリーやレースなどにも出られたらと思っていますよ」

 箕輪大也、13歳。みなさんもこの名前を覚えていて欲しいと思います。これからの有望株であることに間違いはないからです。5年後、10年後、一体どんなドライバーに成長するのか、非常に注目です。

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みんなのコメント

7件
  • 小学生の頃からお父さんのクルマを無免許で乗ってた
    豆腐を配達したり母親を送って行ったり…
  • 無免許で公道を走ってたんだろ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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