16年ぶり復活の名車 シロッコ
発売以降から、気になっていたシロッコをようやく、テストドライブしてみました。
初代の VW シロッコ・・・ 当時の
2009.9.20
- 総評
- 16年ぶり復活の名車 シロッコ
発売以降から、気になっていたシロッコをようやく、テストドライブしてみました。
初代の VW シロッコ・・・ 当時のロングセラー・ビートルがゴルフⅠに世代交代した1970年代前半に、ビートルをベースに1950年代以来長らく生産されてきたクーペモデルであった カルマンギア・クーペの世代交代もまた不可避となった事から 当時のゴルフⅠ(初代ゴルフ)をベースに開発されたのがシロッコで、ゴルフⅠに数ヶ月先立つ1974年3月に発売されたのがそのルーツ。
なお、初代・二代目とも、カルマンによって生産されたクルマなのです。
初代シロッコは好評で、1981年までに504,153台が生産されたのですが、ゴルフⅡ同様に、ジョルジェット・ジウジアーロの手を離れ、フォルクスワーゲン社内でデザインされた82年以降の 二代目はスタイリングの切れ味が落ちたことで、初代ほどの人気を得ることができなくなっていたのです。
7年間で50万台以上が生産された初代に対し、10年間で29万台強、という二代目の販売成績が市場評価を物語っています。
1974-1981 初代 ⇒ 1982-1992 二代目 ⇒ 2008~ 三代目
この三代目シロッコは2006年パリサロンで「フォルクスワーゲン・アイロック(Iroc)」というコンセプトカーが発表された二年後の2008年に発売されたもの。
同じようなクーペデザインのコラードが1995年に消滅以来 実に13年ぶりのクーペモデル復活でした。(二代目シロッコからは実に16年ぶり)
全長4256mm・全幅1810mm・全高1404mmという幅広く短い、ロングルーフでグラマラスなアンダーBODYのデザインを特徴とする独特なそのスタイルは、兄弟車のゴルフⅤシリーズとはかなり異なるプロポーションが特徴的なもの。
これは、同様の3HBで最も形状が似ていると思われる GOLFⅤのR32や、GTIカップカーともかなり違った雰囲気でした。
前置きが長くなりましたが、16年ぶりに復活したこの名車の ドライビング・インプレを 現愛車で同じ2Lターボの GOLFⅤ-GTIと比較したインプレで書いてゆきます。(今回の 三代目は GOLFⅤ-GTIがベースとのこと)
- 満足している点
- GOLFⅥ似のFマスクに、アルファのブレラを更にグラマラスにしたようなリアビュー、サイドからの姿はあたかも GTIカップカーを全高の低いコンセプトカーにしたものを実車にしたようなスタイリシュなデザインです。
エクステリアは、VW(ドイツ)車というより むしろ ボルボV30(スエーデン)やアルファ・ブレラ(イタリア)的ベクトルのデザインを感じます。
GOLFと同じジャックナイフ型のキーを握って乗り込むと、本革電動シートに標準装備のナビがまず目に付きました。
ルームミラーも楕円のポルシェボクスターのような洒落た形状ですよ。
内装もGOLFよりもスタイリッシュで GTIと同じ黒内装なので、Aピラーの傾斜もGOLFよりきつく、屋根も低いながらも 圧迫感は思いのほか気になりません。
キーを捻り、エンジンを掛けると 始動音はGOLFⅤ-GTIと似た感じで ステアリングもR32っぽいもの メーターも雰囲気はやはりGTIに似ていました。
なんの違和感もなく 走り始めて、まず気付くのは 同じ6速DSGながら 発進加速、中間加速、排気音ともに GTIよりはるかにスポーティーでギアチェンジのショックが少ないこと。
勿論、エンジンパワーもGTIより上げられているのですが、DSGとのマッチングがとてもよい感じです(明らかに GOLFⅤ-GTIより上)
車重もGTIより軽いので コーナリングも通常速度域でさえ旋回性がスムースに感じました。
なにより、本当にノーマル?って思うような乾いた排気音の大きめのマフラー音は、ついつい回転を上げてしまいたくなります。
後述する価格の件のみを度外視して 純粋に、『欲しいクルマ?』って聞かれたら 間違いなく 『欲しいクルマ!』です。
- 不満な点
- GOLFⅤ-GTIオーナーの見地から 感じた欠点は、以下の通り。
① 新車の設定価格が 一寸高すぎる
② このタイミングで出すなら GOLFⅤ内装ではなく Ⅵ内装にして欲しかった
③ ボンネットのダンパーがなく、つっかえ棒になっている(GOLFはⅤもⅥもダンパー付)
④ ジャックナイフ型のキーは時代遅れ、今の時代・・・ スマートキーにして欲しい
クルマとしての魅力は 見る以上に 運転してみれば とても楽しい良い車なんですが
①が、このクルマの美点を大きくスポイルしています。
標準装備の 電動本革シートは、OPでいいと思うし、むしろ R32のスポーツレカロの方が似合います。
ナビも日本で後付の選択肢のほうがはるかに 喜ばれると思いますが・・
ここでGTIよりも100万円近いプライスの余分が出ているなら、改めるべきでしょう。
あくまで、VWは 車種問わずに プレミアムカーとしての位置付けではなく、やはり輸入車のエントリーカー的位置づけなポジションのクルマなので 高額OPは後付の選択でよいのでは?(実際、ゴルフ⇒A3 トゥアレグ⇒カイエン など AUDIやポルシェの兄弟車のベース車種となっている)
①が 高いので ②③④部分が、さらに気になるといっても過言ではありません。
なので、高額装備を簡素化した 2Lターボの 新グレード追加に大いに期待したいです。
正直、あと100万安ければ GTIに並ぶ ベストバイなんですが・・・ 今のままなら はっきりいって、今後の中古のリセール相場も心配です。(中古で買う側にはありがたいのかも)
高額標準装備品の、メーカー・エゴパーツの てんこ盛による 設定価格がネック。
魅力的な良いクルマなのに こういった部分で魅力がスポイルされることがとっても惜しい限りです。
VWは、輸入車のなかでも コストパフォーマンスが総じて高いことがウリなのに、シロッコにはその部分の特徴が今の所残念ながら見えません。
- デザイン
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- 走行性能
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- 乗り心地
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- 積載性
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- 燃費
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- 価格
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- 故障経験