楽くない。淡々仕事をこなす感じ。
新型パサート登場ではっきりしたことは、もはやフォルクスワーゲンのライバルは輸入車ではなく、国産車であるということ。ボ
2011.12.31
- 総評
- 楽くない。淡々仕事をこなす感じ。
新型パサート登場ではっきりしたことは、もはやフォルクスワーゲンのライバルは輸入車ではなく、国産車であるということ。ボディサイズ、車格を考えると、パサートのライバルは日産ティアナやスバルレガシィ、トヨタサイあたりであり、価格的にみても、廉価グレードこそ国産勢の方が目を引くものの、必要装備を積み込んだ仕様およびグレードで比較してみれば、目を剥くほどの価格差なんてない。あのTVCMの訴え方や、その価格戦略をとってみても、今フォルクスワーゲンのライバルが誰か、を判断するのは簡単だろう。
- 満足している点
- インテリアとエクステリア
シルヴァ顔になった。シルヴァというのはフォルクスワーゲングループの現デザイントップの名字だが、彼が統括するようになってからのフォルクスワーゲン車の顔つき、という意味である。別に彼がデザインしたというわけじゃない。そもそも最新の自動車においては、誰か特別なタレントが全体を描き切るなんて芸当はほぼ不可能。シルヴァとて、判断責任のある仕切り屋に過ぎない。
室内の広さ、ラゲッジの容量、ともにクラス最高レベルで申し分ナシ。ドライバーの疲労を感知するシステムも新たに採用された。
そして、最大の見どころが新ドライブトレインだ。フォルクスワーゲンのダウンサイジング路線が、いよいよ極まりつつある。オーバー2リッターがフツウだったこのセグメントに、満を持しての直噴1.4リッター+ターボチャージャーを積み込んだ。7速DSGとの組み合わせで、パフォーマンスはほとんど3リッター自然吸気並みながら、燃費は2リッター以下で同クラスのハイブリッド車の実用燃費レベルというから、注目である。
走りはどうだったか。実は旧型のレベルがすでに非常に高かったので、それゆえフォルクスワーゲンもフルチェンと言いつつブラッシュアップに留めたのだろうが、もちろん、新しいパワートレインがその痂皮となるようなことはなく、むしろいくつかの場面で積極的に賞賛したくなった。
ひとつは、テンポのいい加速だ。街中でゆったりと発進するときのみならず、ちょっと早く走り出したいときでも、気持ちよく、十分な推進フィールを伴って、前へ進む。タイムを計測するわけじゃないので、実際の数値など関係ない、そういう気分になることが大事。実生活でクルマを使っていて、1秒2秒はおろか、1分2分だって争う人はいまい。だったら、精神的な満足度=フィールを重視すべきで、そのあたりはディーラーで試乗して確認して欲しい。タンタンタンと小気味のいい、シームレスなDSGの変速も、ぜひ。
高速道路での、路面にへばりつくような走りもパサートの長所だ。ひょっとすると、昔ながらのドイツ車イメージで走ってくれる最右翼のドイツ車かも知れない。ひと通りのドイツ車に馴染んだ人が向き合っても納得できるパフォーマンスである。
- 不満な点
- DSGの欠点が出るとすれば、それは負荷がかかったときの粘りというか、パワートレイン系の踏ん張りだ。坂道のスタート時や頑張って追い越したいときなど、どうしてもダイレクトなパワー感に乏しい。そんなとき、人はふと、物足りなさというものを覚える。
フルモデルチェンジで7世代目と言うが、実質的にはビッグマイナーチェンジ。とはいえ、これだけ大掛かりなスキンチェンジとパワートレイン変更を受けていれば、フルモデルチェンジといっても通じるのだろう。このあたりの判断基準は、プラットフォーム(電子含む)やパワートレインの共有化、フレクシビリティが高まるなか、だんだんと曖昧になりつつある。新しいパサートでも、パッと見た目には、サイドウィンドウとインテリアくらいしか、旧型の面影は見いだせない(し、それで十分古いと思う人が居ても当然かも知れない)。
前述したように、インテリアのイメージは、さほど旧型から代り映えしない。けれども、シンプルな水平基調の、広く伸びやかなコクピットデザインは、未だに好印象だ。とても自動車らしい、いうことは、なかには古くさいとみる方もいるだろう。そこはフォルクスワーゲン、世界中に大量の顧客を抱える身であり、しかも日本ではそうでもないがパサートといえばこのセグメントの大人気モデルなので、そうそう奇をてらったこともできない。頑固な保守デザインでいいのだ。買いたい気分にならない。
- デザイン
-
-
- 走行性能
-
-
- 乗り心地
-
-
- 積載性
-
-
- 燃費
-
-
- 価格
-
-
- 故障経験