フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント 「最高の実用車が次世代HMIで昇華」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

4

デザイン
4
走行性能
4
乗り心地
3
積載性
5
燃費
4
価格
3

最高の実用車が次世代HMIで昇華

2022.6.24

年式
2021年7月〜モデル
総評
地味な存在に思えるゴルフシリーズだが、ガソリン、ディーゼル、GTIなど多種多様。そしてあまり声高にしないが先進安全技術のうち、ACCと車線中央維持機能の組み合わせである「トラベルアシスト」の性能が秀逸。ステアリングの中央維持サポートは正確ながら、サポート力はフワッと寄り添ってくれるので初めてでも疲れない。長距離を高速道路で移動するユーザーには最適。
満足している点
広さ、走り、そしてゴルフのブランドだ。欧州でもSUV人気が高いが、じつはステーションワゴンも地味に売れ続けている。欧州メーカーがいまだにワゴンボディをラインアップしているのは、各国が陸続きであり、高速道路を使った移動が主体であるからだ。速度が高いと背の低いボディの安定性が光る。そして荷物も積みたい、となるとワゴンになる。フォルクスワーゲンはそこをマジメに追求している。
不満な点
輸入車に乗っているステータス感は正直薄い。ここを重要視される方には上位のパサート・ヴァリアントか、アルテオン・シューティングブレークをおすすめしたい。車両価格は装備内容と走行性能、そして安全性能からすれば決して高くはないが、300万円の大台となると魅力的な国内外SUVも射程内に。よって、ゴルフのブランドにこだわりをどれだけ見つけられるかによって、評価は変わる。
デザイン

4

8代目ゴルフのステーションワゴンボディ版。現行ゴルフ(ハッチバックボディ)を最初に見かけた際はどうも新しい顔付きに馴染めなかったが、ステーションワゴンでは一転して馴染めた。延長されたルーフラインとの相性が良いからだ。リヤゲートの角度もワゴンが若干強められていることからワイドな顔付きとのバランスも良い。奇をてらった感はまったくないが紛れもなくゴルフのアイコンを踏襲している。
走行性能

4

現在、日本導入エンジンは直列3気筒1.0Lターボと、直列4気筒1.5Lターボの2タイプ。いずれもハッチバックに搭載されているパワートレーンだ。注目は1.0L。110PS/20.4kgf・mと1360kgの車両重量に対してはアンダーパワーに思えるがターボの過給効果が低回転域からたっぷり得られるため、2名 荷物程度なら十分。3名以上 荷物なら1.5Lが良い。ゆとりは二回り大きい。
乗り心地

3

セダンとステーションワゴンではセダンのほうが乗り心地面で有利。それがフォルクスワーゲンのハッチバックとステーションワゴンとなると、ワゴンが有利になる。後軸上の荷重が増えて、しっとりとした乗り心地が得られるからだ。一般的にワゴンは積載時に帳尻があるようにリヤサスを固める傾向にあるが、ゴルフの場合は空荷であっても十分にしなやか。ここは歴代モデルでも評価が高かった部分だ。
積載性

5

ただでさえ広いハッチバックをベースにワゴンボディとしたことから、ラゲッジルーム容量はじつに広大。後席を倒すと1642L(VDA方式)ものスペースが誕生する。また、ここもフォルクスワーゲンのこだわりでもあるが、リヤサスの張り出しが少ない。1.0Lはトレーリングアーム、1.5Lは4リンク式だが、いずれも同じ。リヤシートは背もたれが高いのでかさばる荷物でも安定させやすい。
燃費

4

正直、期待はしていなかった。いくらダウンサイジングエンジンの先駆けメーカーとはいえ、負荷が高まれば燃費数値が悪化するからだ。そこで高速道路主体の200km実走テストを行ったのだが1.0Lでは22.3km/L、1.5Lで20.7km/Lを記録した。同一ルートで1.5Lは若干の渋滞路を含む。空力性能とともに、1.5Lでは気筒休止(低負荷時に2気筒休止)が効果的に働き数値を伸ばした。
価格

3

1.0Lが3,162,000円〜、1.5Lが3,383,100円〜という設定。221,100円の差額はエンジンのほか、一部の先進安全技術に違いがある。また、カーナビのオプション設定内容が異なっている。選択の判断基準はずばり、使い方だ。走行性能で述べた通り、乗車人数などから選択すれば良いだろう。契約のタイミングでは納期が大きく異なる場合もあるので、ディーラーで確認頂きたい。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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