トヨタ ノア 「先進装備の充実が見事」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

先進装備の充実が見事

2022.11.22

年式

2022年1月〜モデル

総評

プラットフォームからパワートレインまですべてを刷新したことで、走る、曲がる、止まるといったクルマとしての基本性能が大幅にレベルアップ。そのうえ快適装備も安全機能もライバル以上といえ、ミディアムサイズのミニバンとして死角なしといっていいのではないでしょうか。

満足している点

ミニバンとして求められる実用性の高さに加えて、従来モデルに比べて走行性能のレベルが大きく引き上げられたことと、トヨタの最新運転支援機能が惜しみなく投入されていることに注目したいですね。オプションですが、高速道路の渋滞（時速40km/h以下）で手放し運転できる機能やクルマの外からスマホ操作で駐車ができる機能なども用意しています。また、ベーシックグレードを除きナビが実質無料でついてくるのもいいですね。

不満な点

これといって気になる部分がないのがさすが。強いて言えば欲しい装備を積み上げていくと驚くほどの価格になってしまうことです。とはいえ、機能が大きく追加されているので仕方がないことでしょうかね。

デザイン

4

ライバルのステップワゴンがシンプルさを極めたデザインなのに対して、ノアは個性的。標準車の顔つきもちょっとアクが強めだけど、大きく口を開けたカスタムの意匠は好みが大きく分かれると思います。そういったデザインは主観的なことなので“好き”か“嫌い”で選べばいいと思いますが、個人的な注目はリヤフェンダー。新型ノアは車体が拡幅されて同車としてはじめて“ボディ自体が3ナンバー設計”となったのですが、結果としてリヤフェンダーが張り出しました（先代まではエアロ仕様のフロントフェンダーだけが張り出していた）。そのおかげで側面に抑揚がついで見た目の安定感が増したのが好印象です。

走行性能

4

先代に比べると比較的に進化しました。ひとつめのポイントは車体のフラット感が増し、揺れが少ないからドライバーとしては視線がぶれなくなって運転しやすくて疲れにくくなったことを実感します。それは同乗者としては、乗り心地の良さや車酔いしにくさとしてメリットを感じられますね。もうひとつは、走行安定性が増したこと。曲がるときのフラフラ感が減り、交差点を曲がるレベルでも感じられるほどハンドル操作に対して素直に動きます。加速性能に関しては、モーターのアシストのあるハイブリッドのほうが力強いし滑らかですね。とはいえ、ガソリン車でも十分に静かだし力不足があるわけではありません。現時点ではクラストップです。

乗り心地

5

荒れた路面や旋回中などに車体が揺さぶられる感覚が減り、それは乗り心地の良さとして実感できます。先代から乗り換えた人は「なんだか疲れない」と感じられると思いますよ。7人乗りの2列目はロングスライド機構が付いていますが、もっとも後ろへ下げるとゆったりとした足元になるのがいいですね。

積載性

5

ミドルクラスミニバンなので3列目展開時ではそれほど多くの荷物を積めません（3列目にシートスライドがないのも痛いです）が、3列目を畳んだ状態の積載性は素晴らしいです。それはひとクラス以上大きなSUVやステーションワゴンを上回るほどで、キャンプを楽しむファミリーにも好都合。荷室床下収納が広いのも便利です。

燃費

5

新世代のパワートレインはハイブリッドじゃなくても燃費がいいですね。FFモデルのWLTCモード燃費は15.1km/L〜で、これはハイブリッドの23.4km/Lと比べると控えめですがミニバンと考えればかなり立派。さすがに実燃費はここまで届かないとはいえ、このクラスとしては良好ですね。4WDでも14.4km/L〜とFFに対してガクンとは落ちないのも見逃せないところ。

価格

3

「オプションをつけていくとなんだかんだで乗り出し450万」なんて言われていますが、それはハイブリッドの上級グレードの話であって、ガソリン車に関しては267万円から選べ、最上級仕様でも332万円（FFモデル）です。たしかにかつてのノアのイメージに比べると高いですが、先進装備なども搭載されていることも考えれば仕方がないことかと。朗報は、「G」グレード以上だと実質的にナビが標準装備されていることです。