トヨタ ノア 「ミニバンとは思えない乗り味、ガソリンでも不満なし」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西川 昇吾
西川 昇吾(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

5

デザイン
4
走行性能
5
乗り心地
5
積載性
4
燃費
3
価格
2

ミニバンとは思えない乗り味、ガソリンでも不満なし

2022.8.19

年式
2022年1月〜モデル
総評
約8年のモデルライフを過ごした先代は終盤にはライバルの進化もあり、古さが隠せない状況となっていた。そのような状態から登場した現行型は、想像以上の進化を遂げてきた。装備面はもちろん、走る、曲がる、止まるの全てが良くなり、ミニバンとは思えない走行性能と乗り心地を実現している。価格が少し高いのは確かにウィークポイントと言えるが、今このミドルクラスミニバンを購入するならば、ベストチョイスと言えるのではないだろうか。
満足している点
走行性能と乗り心地はこのクラスのミニバンとしてはトップレベルに進化したと言える。この点は本当にミニバンとは思えない素晴らしさがある。さらに良い点を付け加えて言うならば視界の広さだ。運転席からの眺めはかなり開放感があり、驚かされる。視界も良好なためボディサイズが大きくなった不安感は全くない。ミニバンを検討している人はぜひ実車を見て、触れて、そして乗ってほしい。その出来には驚かされると思う。
不満な点
やはり価格だろう。ミドルクラスのミニバン、ガソリン車で350万円が見えてくるという価格設定は懸念材料と感じてしまうユーザーもいるはずだ。しかし、その価格を出す意味があるほどの性能は有しているとは思う仕上がりだ。また、ハイブリッドの存在というのもガソリン車からすれば欠点だろう。ガソリン車1台だけで見れば全然満足のいく仕上がりなのだが、燃費と価格差、そしてリセールバリューの良さを考えると「もう少し予算を追加してハイブリッド…」という気持ちになってしまうところだ。
デザイン

4

先代はシンプル過ぎたためか、兄弟車種であるヴォクシーの方が人気が高い印象があった。しかし現行型になってからエッジを効かせたフロントマスクとなり、先代ヴォクシーと比べても先進性や外観の質感で優れた印象に。一方で現行ヴォクシーよりも押し出し感は少なく、ノアらしいシンプルな印象や先進性、フロントマスクのインパクトのバランスが上手く取れたデザインとなっている。また、エアロモデルの存在も幅広い需要に応えられる印象を受け、万人受けするのはヴォクシーよりノアという雰囲気になった。
走行性能

5

ミニバンだからといって侮るなかれ、実際に乗って見るとビックリする。TNGAプラットホームの採用により剛性が高まり、全高を感じさせないハンドリングと直進安定性を見せる。さらに、先代からの進化で驚かされたのがパワーユニットだ。ハイブリッドとガソリンというラインアップは同じだが、ガソリンは大幅に進化した。低速域からの加速でもトルクの細さは感じないし、ガサツな印象もなくスムーズにフケあがる。正直ガソリンでも不満を感じることはない。ガソリンも選択肢として大いにアリになった。
乗り心地

5

先代も悪くはなかったが、現行型を味わってしまうともう戻れないというのが素直な感想。ボディ剛性が上がったのが乗り心地に最も良い影響を与えている印象だ。不快な振動や騒音も入ってこないし、振動の収束も良い。路面からの入力が伝わってくる印象も滑らかで、アルファードに肩を並べるレベルかと思ってしまう。リアがトーションビームなのに驚かされる。乗り心地に関して言えば、ほんの気持ちではあるが、軽量な分ハイブリッドよりもガソリンの方が良いと感じる。
積載性

4

ライバルに比べて抜きん出ているわけではないが、同クラスのミニバンとしては十分な積載性を誇っていると言える。このクラスのミニバンを検討している人ならば、積載性に大きな不満が出ることはないだろう。ラゲッジスペースに関して優れているのが床下収納が大容量なことと、3列目シートの跳ね上げがとても簡単なことだ。この点はミニバンの中でもトップクラスに優れていると感じる。この利便性は購入を考える上で大きいと言える。
燃費

3

ハイブリッドと比較すると燃費性能が劣ってしまうのは仕方がないと言える。ハイブリッドとの本体価格の差は約35〜40万円。そして燃費性能はハイブリッドがWLTCモードで23.4km/L、ガソリンが15.1km/Lとなっている。価格差と燃費差をどんなバランスで考えるかは正直難しいところだが、この価格差ならば下取りも考えるとハイブリッドの方がオススメと言えるだろう。しかし、ガソリンの燃費性能だってガソリン車として考えれば決して悪くはない。
価格

2

車両の設定価格自体はさほど高いとは感じないが、各種セットオプションが高いという印象だ。一般ユーザーが購入を考えるならば上級グレードが中心となってくるが、そこにナビゲーションシステムや運転支援システムに関するパッケージオプションを選択するとガソリン車でも350万円を優に超えてくる価格になる。上級グレードはある程度標準装備化して、価格を抑えやすいグレードを用意しても良いのではないかと思う。
西川 昇吾
西川 昇吾
自動車ジャーナリスト
1997年生まれ、大学時代から自動車ライターとしての活動をスタート。現在はWEB・紙の各種媒体で様々なジャンルの記事を執筆するほか、車両解説動画にも出演し、喋りの分野にも挑戦中。愛車のマツダ・ロードスターで定期的にサーキット走行をし、ドラテクの鍛錬も忘れない、目指すは「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」
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